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コアラモード.『ビューティフルデイズ』インタビュー「コアラモード.と春」について

コアラモード.『ビューティフルデイズ』インタビュー「コアラモード.と春」について

March 1, 2019 18:30

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ー 残念!

小幡:ええ。だからそこ演奏以外に演技シーンは特になく、ただただ寒い中で頑張っているあんにゅに後ろめたいなと…(笑)。でも本当に素敵なスタジオの空間で、桜の花びらを散らすなど、ひとつひとつの温かい演出と雰囲気をそのまま映像として閉じ込めた感じでした。あと園長というキャラクターもいて。あの白い着ぐるみの…。

あんにゅ:着ぐるみって(笑)。

小幡:あ、着ぐるみじゃなく桜のモンスターです(笑)。


ー そうそう、着ぐるみじゃないからね(笑)。あと同シングル収録の“ありがとう、そしてさよなら”は学校の予餞会で歌われることが多くなったとか。

小幡:そうなんです。あんにゅと僕という作詞作曲をする二人がユニット内でどちらが良い曲を作れるか、ある意味、このシングルはせめぎ合いが出ています。まず桜のシーズンに合う曲をテーマに二人で曲を持ち寄って、ギリギリまで僕が作ったこの“ありがとう、そしてさよなら”がタイトルナンバーになるんじゃないかというところで、あんにゅが“さくらぼっち”を書いてきて。曲を聴いた途端、これはすぐに音源化した方が良いと思えて、すぐにデモテープを作ったんですが…あの時って、締め切りの前日くらいじゃなかった?

あんにゅ:うん、ギリギリだったよね。

小幡:そういうエピソードもありつつ、巡り巡って再び光を当ててもらえたのは本当に嬉しいことです。


ー このシングルは長い期間かけて、きちんとリスナーによって育まれたことがわかります。リリース当時には、この曲を神奈川県の高校や専門学校でこの曲を歌われましたね。

あんにゅ:はい。実際、卒業生の前で歌うのはものすごく緊張しました。小中校、専門学校と、その学校での卒業式はそれぞれ一度きりなのでその瞬間に立ち会い、歌うというのは責任が大きいと思いながら歌いました。歌いながら卒業する生徒さんの顔が見えて、更にそのご家族の顔も見えて。卒業生よりお母さんたちの方が泣いていたんですよね。


ー ああ、そうかもしれませんね。

あんにゅ:そういう風景を見ていると感慨深いものがあります。今、一人一人目の前にいる生徒さんを見ていると、きっと友達や家族と仲が良かったんだろうなとイメージが湧いて、背中を押していけるよう歌っていこうと、より一層歌に気持ちが入りましたね。


ー この曲は譜面の問合せがかなり多かったことから、ピアノ譜プレゼント企画を経て昨年3月に合唱譜も発売。合唱譜となると通常のバンドスコアと意味合いも違うと思うのですが。

小幡:そうですね。合唱譜って学校で歌われることを想定しているので、実際に担任の先生や生徒さんたちの手元に渡り、色々な人の大切なシーンを彩る為に僕らの楽曲が使われているんだと思うと感動です。


ー 今年も来年もそうやってきっとこの曲が歌い継がれていくと思うのですが、この曲でピアノを弾くアドバイスと歌のアドバイスを頂けますか。

小幡:この曲は技術的に結構難しいんです。転調が何度かあって。その為、伴奏する方は神経を使うことも多いと思いますが、何はともあれ歌の為の伴奏なので歌に寄り添う。歌を聴きながら奏者に徹する。僕としてはそれが一番正しい伴奏の形だと思っているので、是非そういう点を意識しながら弾いてもらえたらと思います。

あんにゅ:合唱譜に関しては私のキーと歌い方も発声も違ってくると思いますが、歌詞のひとつひとつが、学生の方たちが今まで目にしてきたもので出来ているので、実際に自分の日常過ごしてきた教室とかを思い浮かべながら歌詞を読んで歌ってもらうのが一番よいと思います。


ー そういえば、曲のタイトルにもなっている「ありがとう、そしてさよなら」という言葉は、小幡さんが中学で生徒会の副会長をしていた頃、会長が卒業式で何度も言っていた言葉だったんですよね。

小幡:そうなんです。よく覚えていましたね(笑)。


ー 今ふと思い出して(笑)。その後、その会長だった方とはお会いしたんですか?

小幡:会えていないんですよ。ただ噂によるとその彼はクラシック音楽の道へ進んでいるらしくて。


ー クラシック・バージョンの “ありがとう、そしてさよなら”!

小幡:それも面白いですね(笑)。フィールドは違いますが、何かで会うことがあれば「その節はお世話になりました!」って事後報告できれば良いですね(笑)。


ー やはりコアラモード.さんは春にまつわる曲やエピソードも多いですが、3月6日にリリースの『ビューティフルデイズ』。タイトルナンバーは切なさと強さ、コアラモード.さんらしい優しさを感じました。

あんにゅ:シングルとしては7枚目になるんですが、振り返ってみると自分たちの節目節目で楽曲の方向性が変わっていったと思うんです。例えば特徴的な曲をあげると“大旋風”と“花鳥風月”。この2曲は大きく一括りにできるしもっとも変化を感じた曲と言えますが、そこから今作のタイトルナンバー“ビューティフルデイズ”は、また違った作品になったと感じています。柔らかさがあり、とにかく前に進んでいくぞという感じではなく、過去を振り返っていま自分はどう思うのかというメッセージを込めました。


ー この曲はTVアニメ「逆転裁判~その「真実」、異議あり!~ Season 2」のエンディングテーマとして書き下ろしですね。

小幡:実はメロディのモチーフはデビュー前からあったんですが、僕ら自身、この作品はゲームの頃から知っていたので、今回どういう形にすれば合うかを色々と考えました。裁判は結果的に守りたいものがあるからこそ法廷という場で戦い、決着をつけていくわけで、守りたいものは何か掘り下げると、今は手元になくとも自分のことを後押ししてくれる家族との思い出や自分が今までみてきた景色。そんな美しい日々は誰しもが持っているものだと思うんです。裁判というテーマ性だけでなく、自分たち自身が現在のコアラモード.のフェーズとして今後も歌っていけるテーマなんじゃないかと思っています。だから一番最初に出てきたのは「守りたい ビューティフルデイズ」のフレーズでした。


ー ストリングスが更にメロディをドラマチックに演出していますね。

あんにゅ:元々私が弾き語りをしていた時の音源では、そこまで壮大なイメージはなく、どちらかというとアコギでつぶやくように歌うイメージで作っていたんです。ただデモ音源を作る時に小幡さんがアレンジを加えたことで、とてもサウンドの世界観が大きくなりました。作曲は私ですが今回サウンド面に関しては小幡さんに任せたんです。

小幡:サウンド的に天井は高くしようと思っていたんですが、そこまで壮大にしようとは思っていなくて。ひとつずつの言葉に隙間があるメロディで、なおかつ歌詞はすごく抽象的な言葉が並んでいるんですよね。良い意味で言葉で説明しつくそうとしない余白があるモチーフだったので、そういうものを活かす為にはどうアレンジすべきかすごく悩みました。ひとつひとつの音は力強いんですが、言葉に隙間がある分、最終的にはその隙間を活かすアレンジにしようと思って。楽器と楽器の間にも呼吸を感じられる隙間を作りたかったんです。だからサビでストリングスが入ってきて広がりはありますが、隙間やゆらぎを感じられるよう意識しました。そうするとあんにゅの歌い方も今までと違ってくるんですよね。

あんにゅ:どちらかというと、今までのコアラモード.の楽曲って隙間がないんです。それが個性でもあるんですが、この曲に関してはアレンジを最初に聴いた時、呼吸感がより分かるようになったと感じました。

小幡:「力強くこのメッセージよ、刺され!」と言うよりは、心が温かくなる小説の読後感みたいに、この曲を全編聴き終わった後、じわっと余韻に浸れるような楽曲にしたいなと思ったんです。

あんにゅ:でもいつもより隙間が多いことでレコーディングでも明らかに聴こえ方が違うというか、歌うのが最初難しかったです。でもレコーディングに参加して頂いた村石雅行さんのドラムが入った時に、私の中で曲のイメージがすごく固まって。気持ち的にはすごく不思議でした。それまで歌でリードしていかなきゃいけないと思っていたけれど、村石さんのドラムに説得力を感じて、サウンドに導かれるかのように歌のレコーディングが進んだんです。でもそういうことって初めてで。

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