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近石涼、「ラベンダー」インタビュー。アレンジャー平畑徹也氏と作り上げた曲とは?

近石涼、「ラベンダー」インタビュー。アレンジャー平畑徹也氏と作り上げた曲とは?

July 8, 2022 20:00

近石涼

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ー 近石さんとしても新しい作り方だったんですね。そういえば平畑さんにはいつ頃からアレンジをお願いしていたんですか?

えっと……「ライブハウスブレイバー」(2021.8.4 Release)が一番最初でした。そこからずっとお願いしています。


ー 近石さんから観て平畑さんってどういう方ですか?

すごく優しい方です。関西出身なのでそういう空気感もあるし、あ、あと音楽のインプット量がすごいんですよ!


ー インプット量?

「ここはこういう感じでどう?」みたいなことを言われるんですが、提案してくれるリファレンスみたいな曲が、かなりニッチで(笑)毎回初めて聴きましたみたいなところから引っ張り出してくるので、いつも勉強させていただいてる感じです。平畑さんが提案してくれるのはやはりバンドの音源が多いんですが、僕もバンドサウンドをずっと聴いてきた人間なので、すんなり受け入れられますね。


ー そういえば近石さんはBUMP OF CHICKENが好きなんですよね。

はい。


ー 特に最近の近石さんの楽曲はバンドサウンド感が強くなっているという印象でしたし、やはりBUMP OF CHICKENの影響も感じられます。その他RADWIMPSやandymoriなどの影響を経てアウトプットされてるというか。近石さんからみたバンドサウンドの魅力ってどういうところにありますか。

やはり今おっしゃったようなバンドはずっと聴いてきましたし、単純にその楽器編成や音が好きやったんですよね。好きになったきっかけはメジャーで今まで聴いたことがない音楽だったということかな。中学、高校の時に周りに流れている音楽と違っていたのが第1にあるかもしれませんし、そのインパクトは強かったですね。最近バンドセットでライブをすると、やはりバンドの人たちと対バンすることが増えてくるんです。そこで感じるのってバンドはバンドというひとつの生き物というか、そこで全部出来上がっていてそれが好きな人がいるということ。でもシンガーソングライターのバンドセットはまたちょっと違うんですよね。


ー 確かにバンドの空気感とシンガーソングライターの方のバンドセットでは空気感というか、在り方が違う気がします。

だから、“じゃあ自分が出来ることは何やろ?”って考えてやっていかなあかんなって、最近バンドセットでライブを始めて思いました。差別化というかシンガーソングライターの僕がやるバンドサウンド。


ー そこは確かにポイントかもしれませんね。そこと声の話も伺いたいんですが、近石さんの魅力のひとつはやはり声だと思うんです。個人的には近石さんの「寂しさは夜のせい」が好きです。あとキリンジの「エイリアンズ」をカヴァーされていたのをsus4(近石所属のアカペラ・グループ)の動画で観ましたが、あれはシビレました!

ありがとうございます(照)。


ー 今回の「ラベンダー」の間奏前、“ラベンダーの香り”の部分や「ライブハウスブレイバー」でのエモーショナルな歌声や、それこそ「寂しさは夜のせい」や「お守りの唄」を歌った時の声の表現力の違いはすごいです。表現力に加えて何オクターブ出るのかも興味深かったですし。

3オクターブも出ないんじゃないかな。多分2.5オクターブくらい。ただアカペラを始めてから優しい歌を歌うようになった気がします。キリンジの「エイリアンズ」とも出会っていなければああいうタイプの曲を歌うことはなかったと思いますし。ただああいう歌を歌った時のファルセットが僕は強く出ちゃうんです。ファルセットが強いのってあまりポップスに適してないんじゃないかな。


ー そういうもんですか?

例えばKing Gnuの「白日」はすごくハスキーに歌ってるんですが、あれを真似しようと思ったら僕、めっちゃ咳出るんですよ(笑)。


ー アハハ!練習が必要ってことですね。

ええ、ちょっと練習しないと(笑)。ファルセットにも歌い分けがあるなって「白日」を聴いた時に思いましたね。だから声の表現や表情ってやはり今後も考えていくと思います。色々な声を出せても、一番はどれなんやっていう話にもなりますし。そこをどう聴かせるかは曲にもよりますけどね。ただ僕自身シャウトも好きやし、綺麗に歌うのも好きやし……。だから器用貧乏になっている感じもするんですが、それを何とか肯定したくて前作の『Chameleon』というアルバムでそういうのを詰め込みましたし、カメレオンという名前を付けたのもそういう想いから来ているんです。


ー あのアルバムは声だけでなく楽曲のイメージを含め、本当に色々な近石さんの魅力が見えた気がしました。

ありがとうございます。そう言ってもらえると安心します。まぁ、「寂しさは夜のせい」みたいなテンションから「ライブハウスブレイバー」のテンションになる曲を入れている人ってあまりいないかもしれませんけどね(笑)。


ー (笑)。そういえばジャケットのイラストは今回も近石さんが描かれたんですか?

そうです。


ー 『ハオルシアの窓』のジャケットイラストも好きなんですが、「ハンドクラフトラジオ」 のジャケットイラストがすごく好きで。

ありがとうございます!線だけ手描きしてそれを読み込んでスマホのアプリで色をつけているんですが、「ラベンダー」は画家の兄の部屋に内緒で忍び込んで絵の具をちょっと借りて描きました(笑)。


ー 内緒でね(笑)。

あと前まではデジタルで描いているが故に原画が手元に残らなかったんですが今回は手元に残ったし、それがMVに一瞬映っていたりするので、そこも楽しんで頂けたら嬉しいです。


ー そうですね。それと現在ライブもかなり勢力的に行っていますが、「ラベンダー」もライブで聴きたいです。

そうですね。ただこの曲ってギターが多いからバンドでどうなるのか……今ちょっと模索中です(笑)。でも曲としては自信作が出来たと思っているので、是非皆さんに聴きにきてもらいたいです。


ー ありがとうございました。


インタビュアー:秋山雅美(@ps_masayan


■ 近石涼 オフィシャルサイト
https://www.chikaishiryo.com/

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