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まだ「何だこいつ」って言われ続けていたい - 高橋優の10年とその先に在るもの。高橋優『PERSONALITY』インタビュー

まだ「何だこいつ」って言われ続けていたい - 高橋優の10年とその先に在るもの。高橋優『PERSONALITY』インタビュー

October 25, 2020 12:00

高橋優

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ー それで今回サウンドアプローチがそれぞれ違うんですね。

ええ。だからそういう感想を持ってくださるのはすごく嬉しいんです。自分の殻を自分で破って、破った後の転がし方もみんな違っていて。ただ共通しているのは皆さんが高橋優の音楽をきちんと聴いてくださっていて「自分の思う高橋優とは」をそれぞれ言ってくれること。それがすごく楽しかったし、この10年間で培ったものが出たとも感じました。


ー 今までにないという意味で気になったのは河野 圭さんがアレンジを担当した「CLOSE CONTACT」。ドラムの速さがすごく耳に残るけど、ストリングスはめちゃくちゃキャッチーで、アニメとかの主題歌になりそう。

この曲は最初のアレンジから何度か変わりました。3月中旬頃には元になる部分が出来ていたんですが、スタッフも良い形に仕上げたいって熱を持ってくれていたので、それもあって河野さんにお願いしたと言っても過言ではありません。河野さんは河野さんで、ご自身が思うこの曲へのアプローチをしてくれているので、みんなそれぞれベクトルが合う場所を探すのに結構時間はかかりましたが、最終的に良い形になりました。


ー「大切に縛られた ガラクタばかりの部屋」って、ある意味人生そのものだなって思いました。「両手ふさがらないくらいの荷物で会いに行く」こうありたいって。

この曲の裏テーマは“断捨離”です。僕自身、断捨離が結構好きで。どこからどこまで捨てるのか毎回自分の人間性込みで考えちゃうんですよね。何だったら全部捨てられるじゃないですか。


ー まぁね。

大事なものだけ残そうと思ったら、財布だけあれば良いかなとか。絶対に必要だと思う人は会いに来てくれるだろうからスマホはいらな……いやいや、違うだろう!スマホはさすがにないとまずいでしょうって段々ハードルを下げていった時に、人から貰ったものや卒業アルバムはどうだろうって考えちゃうんです。たまに卒業アルバムを捨てる人いませんか?


ー ああ、いますね!

僕、卒業アルバムを東京にまで持ってきてるんですよ。でもたまに引かれてしまって。「何で卒アル、持ってきてるの?いらないでしょ。」って。


ー え、そうなんだ。私は優くん派だな。

でしょ!自分の友達を忘れたくないというか。東京で友達が出来たことは勿論嬉しいけど、地元で仲良くしてくれていた友達はやっぱり特別で。僕、学年集合の空撮で一人だけ胴上げされてるんですよ(笑)。


ー え、何で?(笑)

分かんない(笑)。そんなキャラのつもりではなかったんだけど、何故か制服のネクタイを頭に巻いて胴上げ。


ー それってサラリーマンの…(笑)。

花見ですよね(笑)。何か当時男子からは人気があって「優ちゃんを胴上げしよう!」ってなって。空撮だから胴上げされてる僕だけデカイんですよ。遠近感狂うし(笑)。


ー アハハ!それCDジャケットに使って欲しいなぁ(笑)。

いやいや、恥ずかしすぎて使えないです(笑)。だからこんなに高校生活を派手にしてくれた卒業アルバムは大切にしなきゃって思うけど、全然友達が出来なかった人からすれば黒歴史みたいなものだから捨ててもおかしくないのも分かるんです。断捨離って面白いですよね。


ー 価値観や経験によって何を捨てるか本当に変わるよね。

そうなんです。それが「両手ふさがらないくらいの荷物で会いに行く」に繋がるし、言ってもらったようにまさに人生なんですよね。今までのことにずっと拘っているやつって格好良くないと思う自分もいるけど「じゃあどこまで捨てるんだ?どこまで身軽に出来るんだ?」ていう部分をこの曲では書きたかったんです。


ー それと先程少し話に出た「ABC」からの「本命」は両曲に「おいでよ」という歌詞が出てきて、もしかしたら同じ人のことを歌っているのかなとか勝手に想像していました(笑)。

この流れは今回のアルバムの中でも好きな部分なんです。同じ人かどうかは聴く人に想像してもらったとして、僕の中で「おいでよ」という言葉、実は言いたくない言葉なんですよ。


ー え、何故?

そんなに会いたいならお前が来いよって思っちゃうんですよ。「おいでよ」って自分はソファにでも座って相手を待ってるだけなのかって?でも「おいでよ」って言われたい女子が多いって聞いて。


ー もう“女子”の域はとうに超えてるけど、私も好きな人に「おいでよ」って言われるの好きだけどな。

女子の域を超えてるって。なら僕だって男子の域はとうに超えてますよ(笑)。でも僕の中での「おいでよ」は皮肉というか、言いたくない言葉。「頭なでなで」とかも男尊女卑っぽくて嫌だなぁ。


ー それはどうなんだろう(笑)。

同じ理由で「壁ドン」とか「顎クイ」とかも男性至上主義に法った考えのような気がして。でも僕は決して女性崇拝主義でもないんですよ!平等が良い。だから「ABC」も「本命」も、男性が優位に立っていないんです。負け惜しみなんです。


ー だって自分は選ばれていないからね。

そう。結局大体みんないるんですよ、他に好きな人が…(失笑)。


ー おい、どうした?何があった?!

<一同爆笑>

だからって自分の思い込みや諦めで書いたわけではないですが、女性のズルさも知っているんですよ。『タイタニック』のローズではないけど、最愛の人と出会って子供もいるのに3日間だけ船の上で過ごしたジャックのことを忘れていないみたいな。


ー あぁ。

だからって自分が『タイタニック』における(レオナルド)ディカプリオとは思わないけど(笑)、でも裏切られてているのに「寄り道した俺のことを何かの拍子に思い出して悔しがれば良い」って、さも自分が優位に立っていると思おうとしている男性像って面白いなと思って、ああいう曲を書いてみました。