POPSCENE - ポップシーン
POPSCENE - ポップシーン
「20年間ライヴからは逃げずに」20周年アニバーサリー、矢井田 瞳が語る20年。ニューアルバム『Sharing』インタビュー

「20年間ライヴからは逃げずに」20周年アニバーサリー、矢井田 瞳が語る20年。ニューアルバム『Sharing』インタビュー

October 13, 2020 18:00

矢井田 瞳

0
シェア LINE

2000年に「B'coz I Love You」でメジャーデビュー。今年デビュー20周年を迎えた矢井田 瞳は今年8月15日に無観客生配信のライヴ【矢井田 瞳 20th Anniversary『ヤイコの日』】を開催し、10月14日にアルバム『Sharing』をリリース。様々なアーティストがそうであるように、新型コロナウイルスの影響を受け、ライヴ形態や制作形態も変えざるを得なかった。しかし産経新聞社とのプロジェクト『「#コロナの先で」希望のSTORY~歌のチカラ~』で制作された「あなたのSTORY」はまさに今の時代だからこそ生まれた名曲だ。更に今作には、オリジナルアルバムとして初めてのカヴァー「It’s too late?」(オリジナル / 高高-takataka-)、初めての提供曲となるGAKU作曲の「きっとJust fine」など、新たな挑戦が詰まったアルバムを届けてくれた。そんな矢井田に20年を振り返って感じることやアルバムのことなどを伺ってみた。


ー まずはデビュー20周年おめでとうございます!

ありがとうございます!


ー 矢井田さんにとってこの20年は、公私ともにターニングポイントがいくつかあったと思うんですが。

デビューした当時は、自分が20年も音楽を続けられると思っていなかったので、その点は本当に色々な方に感謝です。ただそういう中で何度か、“もう限界かな…”と感じて辞めようと思ったり、自分が母になった瞬間に、“このまま家庭に入るのもありなのかな”と思ったり、色々なターニングポイントがありました。でも振り返えると、身近にいる先輩ミュージシャンが「いや、あなたは歌うべきだよ。」と言ってくれたり「限界を感じているなら誰かと一緒に演れば良いじゃん。」と言ってくれた言葉に助けられて、また音楽の道に戻って積み上げた20年です。


ー そういう言葉は大きいですね。

まさにその通りです。ただ音楽はきりがないので、例えば良いバラードが書けたと思っても、書き終わった直後にはリズムがあるアッパーな曲が書きたいと思ったり、アッパーな曲を書いたら次は民族楽器を使った曲を書きたいと思ったり。「次はこんなライヴを演りたい。」、「今日はここを失敗したから次はもっと上手く演りたい」。そうやって目の前の課題や希望に取り組んでいたら20年経っちゃったみたいな(笑)。


ー 活動をお休みされている時期もありましたが、私の中での矢井田さんはとにかくライヴをされている印象でした。

ああ、なるほど。ライヴって楽しいけど常に試される場所なんですよね。自分が音楽へ携わる気持ちや向き合う気持ちがちょっとでもブレているとライヴでも大きくブレるし。だからライヴってそういう意味での判断基準にもなります。自分のライヴだと直前まで作り込むことが出来ますが、イベントやフェスなどのコラボレーションで想定外のことが沢山起きる時には鍛えられますね。それが怖くもあり刺激にもなり。でもそういう時ほどワクワクするというか。音楽の醍醐味が詰まっていると思う瞬間はステージ上で感じることが多いので、20年間ライヴからは逃げずにと自分に言い聞かせていました。


ー 8月15日の無観客生配信のライヴ【矢井田 瞳 20th Anniversary『ヤイコの日』】(以下:ヤイコの日)を観させて頂きましたが、観てすぐに「あ、このバンドめちゃくちゃ格好良い!!」って感じました。

うわぁ、それ嬉しいです!今回、初のワンマンライヴ生配信ということで、直前まで映像など試行錯誤しましたが、私がギターヴォーカルのバンドとして撮ってもらいたいとはリクエストしました。きっとその方がこのライヴやバンドの臨場感が伝わると思ったから。だからそう感じてもらえたのはとても嬉しいです!


ー じゃあ矢井田さんを囲んだスタイルや、バンドメンバーのプレイをアップでしっかり映すのも矢井田さんのアイデアだったんですね。

私もそうだし、マネージャーさんもそう考えていたようで、「無観客という形なら折角だから普段出来ないことにチャレンジしたいね!」って、音のことと同時に、どうやったら格好良くて「お!」と思ってもらえるか考えた結果、普段はお客さんが観るフロアで円を組んで演ることになりました。正直、お客さんを入れた普通のライヴとはやはり感覚的に違いますが、不思議と本番では画面越しに観てくれている沢山の人の想いみたいな、魂みたいなものが確かに会場に感じたんです。だからこそすごくテンションも上がって走り抜けることも出来ました。


ー 私は画面越しに観る側でしたが、いつしかあのライヴに入り込んで、無観客というのを忘れる瞬間がありました。

きっとそういう時に画面を通り越して想いが届いたのかもしれません!


ー そして10月14日にはアルバム『Sharing』がリリース。特にこのタイトルに込めた想いを教えていただけますか。

このご時世、特に必要性を感じるんですが『Sharing』というタイトルには「喜びや苦しみを分け合う」や「音楽を分け合う」という意味を込めました。それと今年は私の20周年のアニバーサリーイヤーという大切な年でもあるので、これまでデビュー当時から支えてきてくれたファンの方々と「大切な年を分け合う」意味も込めています。<Sharing>という単語には「分け合う」だけでなく「役割」とか「分担」の意味もあるので、20周年のアニバーサリーイヤーにリリースするアルバムタイトルには「自分の役割を果たす」という背筋がシャンと伸びる意味も含め、この言葉が一番ぴったりだと思ったんです。


ー オリジナルアルバムとしては4年ぶりですが、昨年8月に『Beginning』、今年2月『Keep Going』をリリース。制作が忙しかったのでは?

そうなんですよね!いざ振り返ってみると、この一年結構リリースしてるなって(笑)。アニバーサリーイヤーだからということもありますが、リリースやライヴ、制作など、実際忙しくさせて頂きましたし、『Beginning』と『Keep Going』があったからこそ、『Sharing』が完成出来たと思っています。


ー 今作は新型コロナウイルスの前と、緊急事態宣言からの自粛期間中、自粛明けで制作されたそうですが、いつもとは違う状況の中で制作やクリエイティブのテンションは変わらなかったですか?

緊急事態宣言が出て、家に籠もった最初の2週間くらいはさすがにシュンとしましたが、私はわりと切り替えが早かったというか(笑)、きっとこの状況は長引くと思ったので、だとしたらコロナ禍で何が出来るのか、リモートでのレコーディングならどこまで出来るのか考えたんです。音楽って割と一人で出来ることも多いのでデモ音源を作るなど、割とすぐに前向きな気持ちになれたし、曲に向き合う気持ちも変わりませんでした。