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スキマスイッチ、セレクションアルバム『スキマノハナタバ ~Smile Song Selection~』 インタビュー

スキマスイッチ、セレクションアルバム『スキマノハナタバ ~Smile Song Selection~』 インタビュー

August 18, 2020 12:00

スキマスイッチ

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ー 明るい曲が?

常田:最初の頃は基本的に暗い曲が多くて、何となく頑張って明るい曲を作っていたなぁって(笑)。そんな風に当時を思い出しながら曲選びをしました。でもそのせいか、最初は案外初期の曲が入っていなくて。でも探していくうちに、それこそ「かけら ほのか」なんかも今回のテーマにはすごく合っているんじゃないかと思って入れてみたり。あとリリースが夏ということも大きいですよね。「夏のコスモナウト」もそうですが、そういう季節感含めての収録曲になった部分はあります。


ー 曲順も、2019年リリースの「青春」の次が2006年リリースの「ガラナ」で、歌声の変化なども楽しめました。

大橋:曲に関しては、“あぁ当時こういうアプローチをしたかったんだよな…”って思い出して、古い曲だとしても全く否定的にはならないんだけど、声はね(笑)。“この頃全然歌えてないな”とか、“今ならもう少し違う歌い方するな”とか思っちゃいます。当時は勿論精一杯歌ってるんですけどね。


ー ええ(笑)。

大橋:ただ、じゃあ今、昔みたいな歌い方が出来るかって言われると出来ないので、そういう意味では当時の歌声がきちんと残っているのはこの仕事をしていたからこそなのかなって思うし、ありがたいですよね。…いや、でもそりゃ恥ずかしくはなりますよ(笑)。

常田:一番最後のマスタリングで全曲聴くんですが、その時でもそういう話ししたよね(笑)。

大橋:したした(笑)。それこそ「かけら ほのか」、なんであんな歌い方したんだろう……あれが精一杯だったんだと思うんですけどね(笑)。


ー え、いいじゃないですか。優しくて。

大橋:いや、下手ですね(笑)。


ー M1「全力少年」はディズニー & ピクサー最新作「2分の1の魔法」の日本版エンドソングとしてリマスタリングしたもの。映画の公開は8月21日ですが、実際エンドソングとして流れた時はどうでしたか?

常田:やっぱり15年前の曲をこうやって起用して頂けることが嬉しくて、試写で、“どこで流れるのかなぁ”ってワクワクしていました(笑)。だからかかった瞬間は、“うわぁ、凄い!映画の主題歌だ!”って率直にそう感じましたね。昔の曲を高く評価してくださる嬉しさに、若干の悔しさも入り混じってはいますが(笑)。


ー ああ、なるほど(笑)。

常田でもそうは言っても、やっぱりこういう映画に起用して頂けるのは嬉しいです。ディズニー・スタジオ公式で「全力少年」のスペシャルミュージックビデオを作ってくださったんですが、カセットテープのシーンに合わせて曲が始まったり、曲と共に寄り添って頂いている感じがとても嬉しかったですね。


ー 大橋さんはいかがですか?

大橋:シンタ君の言うとおり、昔の曲が使って頂けることは本当に嬉しいですし、「全力少年」は僕らの代表曲と言ってもらえる曲だと思うんですが、この「2分の1の魔法」の日本版エンドソングをどうしようかとなった時、例えば最近流行っているアーティストの新譜ではなく、この曲が議題に上がったのがまず凄いですよね!本当に嬉しかったです。僕らもある意味でのスタンダードを作れたのかなって、自信にも繋がりましたし。


ー この曲は他にもCMソングや映画、テレビ番組などタイアップがついていて、スキマスイッチさんのコアファンでなくとも耳にする機会の多い曲ですよね。

常田:間違いなく助けてもらっている曲です。それを一番に感じるのがフェスかな。多分僕たちのライヴを初めて観るんだろうと思われる人たちも盛り上がってくれるのが、イントロから感じるのでそれは嬉しいですね。“この曲から15年やってきてるんだけどなぁ”っていう悔しさもなくはないですけどね(笑)。勿論作って良かったという前提があった上での話ですけどね。作って良かった……というより作れて良かったと言った方が正しいかな。でもそういう両方の意味で背中を押してくれる曲です。

大橋:やっぱり僕も作れて良かったという感謝みたいなものは大きいです。自分たちで作った曲なので感謝って変ですが(笑)。でもシンタ君も言ったように、この曲に助けられたことも沢山ありました。僕らが学生時代だったりリスナーの立場で、イントロが鳴った瞬間に「ウワー!」って盛り上がる。もし「全力少年」がそういう曲になっているのなら凄いと思います。なかなかはっきりとした実感って持てないんですけどね。例えばMr.Childrenの「innocent world」のイントロが流れたらお客さんが湧くような。それと同じものが「全力少年」なのかと言われると、そこまで自信を持てないというか……。


ー いやいや、こんな有名であり名曲なのに!でも当事者はそういう感じなんでしょうかね。

大橋:そうなんですよ。でもお客さんがすごく喜んでくれているし。だから思うことは結構色々ありますね。


ー 今年もまた8月18日(火)から8月31日(月)まで「スキマの花屋」をオープンされますね。ここ数年、お二人にとって<花>がひとつのキーワードになっていると思うんですが。

大橋:花って音楽の中に入ると表現力が増すんですよね。それに楽曲の中に出てきた<花>という言葉から、今現実に「スキマの花屋」企画で全国のお花屋さんに協力して頂けるって嬉しいです。僕らが花を大好きで歌詞に入れたというよりも(笑)、曲の中に出てきた<花>というワードがフォーカスされて、色々な展開に結びついているのは曲を作っている立場として冥利に尽きますし、面白い広がり方が出来て良かったなと思っています。


ー このアルバムの最後は、書き下ろしの新曲「あけたら」ですが、<あける>という言葉をテーマにした、3篇の短編小説のような曲だと思いました。

大橋:ありがとうございます。先程も話に出ましたが自粛中に曲を書く気持ちになれなかったんですが、アーティストとしての色々な経験って、多分死ぬまでアーティストをやるなら一生ついてまわることだと思うんです。そういう中で、今回のコロナという経験を望んではいなかったですが、それも直面した現実なんですよね。そこで曲を書いておくというのは今しかない経験のひとつだし、そのうちすべてが終息して普通の日常が戻ってきた時に思い返すじゃないですか。


ー ええ。

大橋:僕らは、曲を書くことによって自分たちの歴史にひとつひとつ思い出の1ページを刻んでいくような、そういうことはしておいた方が良いんじゃないかなと思ったんです。そこでパッと頭に浮かんだのが「あけたら」というワード。だからそこから書いてみようと思って普段はなかなかやらないんですが、この曲は詞先で書いてみました。


ー スキマスイッチさんとしては本当に珍しいですよね。

大橋:そうですね。この時期に書いた曲を残したくて…言い方は悪いんですが、無理やり言葉をひねり出して書きました。でも不思議なことに書いたら少し気持ちが楽になったんですよ。あぁやっぱり自分は表現したり、歌って吐き出すことでバランスを取っているところがあるのかなって思いました。