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山崎まさよし 25th Anniversary Special マネージャー 向井康太郎氏インタビュー

山崎まさよし 25th Anniversary Special マネージャー 向井康太郎氏インタビュー

February 21, 2020 18:30

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2015年5月8日。筆者が向井康太郎氏と正式に挨拶をさせて頂いたのは、山崎まさよしさんのツアー【Yamazaki Masayoshi String Quartet "HARVEST"】東京公演の会場(東京文化会館)ロビーだった。向井氏が山崎まさよしさんのマネージャーについたのは2012年。歴代マネージャーの中で一番長く山崎まさよしさんを見てきた向井氏に、デビュー25周年を迎える山崎まさよしさんのミュージシャンとしての顔、昨年リリースした『Quarter Note』や映画『影踏み』でのエピソードなども伺った。


ー 確か向井さんって、エイベックスにいらっしゃったんですよね。

そうなんです。2011年5月頃までエイベックスにいて、オフィスオーガスタには同年12月に入社しました。そこからまず杏子の現場や【Augusta Caravan Vol.2】など色々なライヴを観に行き、翌2012年2月から山崎まさよしの担当になりました。だから今年の2月1日で丸8年。今は9年目ですね。


ー 担当としては長いですよね。

いつのまにか一番長くなりましたね(笑)。


ー いきなりですが、マネージャーになっての失敗談などありますか?

失敗談というわけではないですが、レコード会社でプロモーターをしていたので、宣伝したがるんですよ(笑)。当時はあくまでもリリースに紐付いたプロモーションなので、いくつ宣伝出来たかが大切になってくるんです。だから今マネージャーになって、ユニバーサルのプロモーターから「これやろうよ。」とか言われると分かるんですよ、気持ちが。「そうだよね。動いた方が良いよね、テレビだし。」とか「細かいプロモーションも大切にした方が良いよね。」って。だから山崎本人からは「お前、レコード会社の気持ちも分かるだろう。でも今はマネージャーとして、立場が真逆にあるからな。」と言われました。


ー 真逆?

つまりアーティストを守ることなんです。当然僕もすべてのオファーを受けようとは思っていないんですが、歴代のマネージャーは山崎と積み上げた時間があるから分かるじゃないですか。こういうのは嫌がるとか、不得意だとか。


ー ええ。

僕はどれが良いかなんて分からないから、ゼロからそういう感覚を掴んでいかなければいけないんです。


ー そういう部分の引き継ぎは…。

なかったです(笑)。 勿論ある程度の引き継ぎや相談することはありましたが、それぞれ別の現場を抱えているので全部が全部ではないんです。だから当時は山崎を説得して何とかやっていました。本人から現場で「嫌だなぁ…。」って愚痴が出ることもちょいちょいあって(笑)。でも当時は、急にマネージャー100%の感覚にはなれなかったです。何とかレコード会社の顔も立てたいし。


ー そうですよね。でもマネージャーのお仕事ってアーティストを守る反面、 山崎さんのようなベテランにも、時には苦言を呈さなければいけない時もあるんじゃないかと思うんですが。

そうですね。気持ち的に変わって、ちゃんと僕が自信を持って言えるようになったのは2015年、山崎がデビュー20周年を迎えた頃からかもしれません。当時は、初代マネージャーがプロデューサーとして音楽制作を担当。僕はスケジュールやプロモーションを担当していたんです。横浜赤レンガ倉庫での山崎20周年を記念して開催されたオーガスタキャンプで絆が深くなったような気がします。毎年オーガスタキャンプってライヴ制作一人と、マネージャー代表一人が二人一組になって、どういうキャンプにしようか話しながら、それぞれのマネージャーやアーティストに説明しつつ旗振り役として進めていくんです。
2015年以降は、その旗振り役を担当する事になったおかげもあって、「山崎まさよしの現場は向井」というのも何となく各イベンターさんにも浸透して、山崎本人からの信頼も築けてきた気がします。なのでその頃くらいからめちゃくちゃ言うようにしてます(笑)。


ー 実際、山崎さん自身も向井さんの変化に気づいていたんでしょうね。

だと思います。酔っ払うと当時のことをちょいちょい言いますからね。「あの時は大変だったよな。」って。その2015年のオーガスタキャンプはアニバーサリーということもあり、山崎が全45曲ほぼ出ずっぱりで、最後終わって「お疲れ様!」って言いながらハグしてる写真が僕の宝物です。


ー それは宝物になりますね。2015年のオーガスタキャンプはすごく印象的でした。

ありがとうございます。それ位からかな。本当の意味で山崎と密になりはじめたのは。

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ー 向井さんから見て、山崎さんはどんな人ですか?

腰は重いです(笑)。腰は重いけど、いざやるとなった時のパワーはやっぱり凄いですね。天の邪鬼だし、提案するとまず「え?」って言われるんですよ。何でもやると思うなよっていう感じで。まぁそれは半分冗談でやっていることなんですけどね(笑)。ただ最近はかなり付き合いが長くなってきたので、「これやりますから。」って普通に対応しちゃいますけど(笑)。


ー 向井さんも、もう分かっていますからね(笑)。

そうそう。ただ腰が重いのは今でも変わりませんね(笑)。アルバムを作るにしても曲を書くのは時間がかかるし。でもいよいよ納期がヤバイとなった時は瞬発力があるし、ライヴでステージに上がる前と上がった時の切り替えは凄いです!例えば福耳としてオーガスタキャンプに出る時も、楽屋ではのんびりしてるのにステージに上った時の長男っぷりや存在感はやっぱり凄いと思いますね。


ー オーガスタキャンプへのスタンスはどうなんでしょう。

もともと「何でオーガスタキャンプを毎年やらなきゃいけないの?」っていう疑問を持っていましたね。毎年やらずに休む年があったり、地方を転々と回っても良いんじゃないかなって。それで【Augusta Caravan】を開催したんです。ただ2013年のオーガスタキャンプがスキマスイッチ10周年、2015年は山崎本人の20周年、2016年は秦と長澤の10周年。それくらいからかな…すごく前向きなんですよ。それは多分、松室政哉の出現や浜端ヨウヘイのメジャーデビューなど、後輩を盛り上げなきゃいけない意識だと思うんです。オーガスタキャンプへの出演を目指す新人も多いはずですし、そのステージを絶やしちゃいけないと気付いたんでしょうね。


ー オーガスタキャンプの現場で…というより、もっと深い部分から考えているんですね。やっぱり長男!

松室のことにしたって「売らなきゃ駄目だ。」って言うし、松室と一緒なら地方のロケも行くし。まぁ冗談で「あいつらが売れたら俺はもっとノンビリ出来る。」なんて言っていますが(笑)、それだって愛情ですよね。オーガスタキャンプの半年前くらいに全員が集まるミーティングを開くんですが、その時だってやっぱり山崎の発言が一番影響あるんですよ。「ヨウヘイや松室を盛り上げなきゃまずいんじゃないか?」とか。そうなると「山さんが言っているからそうだよな。僕たちもそうされてきたよね。」って周りの意識も変わって、松室が福耳の曲を書いたり。あの流れを作ったのはやっぱり山崎まさよしですからね。


ー 山崎さんの深い愛情を感じます。ではミュージシャンとしての山崎さんをどう観ていますか?

尊敬と嫉妬です。


ー 尊敬はわかりますが、嫉妬とは?

僕、小さい頃から音楽をやっていたんです。実はこう見えて4歳からピアノをやっていて。映画のサントラとか好きだったからその技術を身につけたいと思って、音楽の専門学校で作曲やアレンジの勉強もしました。途中バンドも組みましたし。でもプロのミュージシャンになろうとは思っていなかったんですよね。ピアノを習っていた流れできちゃったというか。だから、25年もプロとして飯を食えてる山崎へ、ある種の嫉妬があるんです。山崎が書いた手書きの譜面を清書しながらコード譜を作ったりしてるんですが、コードが凄く難しい!多分普段観ている分には皆さん分からないかもしれませんが手癖も強いし、あれだけ弾きながら歌うことへの尊敬と、“こんなコード進行を思いつくんだ、この人は……”という尊敬。僕なんかじゃ絶対に思い浮かばないことを山崎らしさで作っていくから、そこで生まれる尊敬と嫉妬はずっとあると思います。


ー なるほど。譜面起こしもしているということは、制作も兼任ですよね。

ええ。2016年から制作の仕事も徐々に始めて、昨年リリースした『Quarter Note』は一緒に作りました。


ー ということは、マネージャーとしてではなく、制作の立場で音的なことを山崎さんに意見することはあるんですか?

あります。歌詞のやり取りは必ずやりますね。山崎本人が周りのスタッフの意見を欲しますし。「こういうフレーズどうですか?」とかアレンジの事も意見しますし。あとは、今こういう音楽が流行っているとか教えたり。それこそ昨年エド・シーランがループマシンを使ってギター1本で東京ドームを沸かしたじゃないですか。


ー ええ。

ただ山崎自身打ち込みは10年以上前から取り入れているし、今どういう音楽が流行ってようが、きっと山崎まさよしの中に根付いている音楽からしか出てこないんですよ、あの人は。影響を受けないというか、良い意味で自分の色が音楽に出ている。逆に言うと全部そういう色になってくるということでもあるんですが、流行りの音楽には本当に疎いし、僕が渡しても聴かないし(笑)。


ー(笑)。

多分興味が向かないんでしょうね、最近の音楽に。


ー では普段の山崎さんはどういう感じですか?

素面の時?


ー ええ、素面の時(笑)。

他のスタッフも感じているかもしれませんが、多分怖いと思うはずです。本人は怒っているわけでも不機嫌なわけでもなく普通なんです。でもその普通が怖いって思われる!


ー アハハ!

例えば仕事の打ち合わせをしていてもぶっきら棒な感じなので、特に新しいスタッフが見ると、ちょっと機嫌が悪いように見えるかもしれません。でも外でファンの人から声をかけられても普通に握手したり対応しますし。基本的にシャイなので、飲んじゃうのが一番早いんですよ(笑)。だから新しいスタッフが入ったら「飲みに行きましょう!」って誘いますもん。まぁ飲んだ翌日、本人は何を話したか大抵忘れますけどね(笑)。ただこちら側は一緒に飲めた安心感もあるし、話が出来て距離感が縮まったと思えますから。山崎も飲むとすごくフレンドリーだしひょうきんだし、バイオレンスはないし、楽しい時間です。普通にインタビューで会うと怖いだけですから(笑)。まぁそこは気にしています。

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