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CRCK/LCKS 1stEP『CRCK/LCKS』インタビュー

CRCK/LCKS 1stEP『CRCK/LCKS』インタビュー

May 3, 2016 22:00

CRCK/LCKS

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「秋山さんが影響を受けた音楽ってなんですか?」渋谷の某カフェでのインタビュー、先に到着した小西遼に筆者はそう聞かれた。「雑食で。“はっぴいえんど”から“D'Angelo”まで(笑)」。そんな話をしていたところに小田朋美、ほどなくしてAPOLLO SOUNDSの阿部淳が到着。インタビューがスタートした。

2015年よりアメリカでの音楽留学を終え、自らのプロジェクト「象眠舎」も含め、日本での活動を本格化し注目を集めるリーダーの小西遼(sax,etc)、2013年にアルバム 『シャーマン狩り』でデビューした作曲家の小田朋美(vocal,keyboard)、2015年にフジロック出演を果たし今後の活動が注目されるバンド"ものんくる"のリーダー角田隆太(e.bass)、リーダーアルバムを既に2作リリースしている人気若手ギタリスト井上銘(guitar)、メンバー 最年少ながら数多くのレコーディングやライブに出演、天才ドラマーとも呼び声の高い石若駿(drums)、5人の若き才能が結集したCRCK/LCKS(クラックラックス)。耳の早い音楽ファンの間では既に話題となっていた彼らが4月20日に1stEP『CRCK/LCKS』をリリースした。メンバーの様々な要素を上手くミックスしたハイクオリティなポップミュージックは、小気味良いグルーヴとエモさが中毒性になる。そんなCRCK/LCKS(通称クラクラ)の小西遼と小田朋美、そしてレーベルオーナーのAPOLLO SOUNDS阿部淳氏に今作やバンド結成についてなど伺った。


ー 3月に六本木VARIT.で行われたライヴを観させていただきました。

小西:ありがとうございます!

小田:いかがでしたか?


ー 最高だったです!『CRCK/LCKS』のサンプル盤は聴かせていただいていたんですが、ライヴでは音の再現だけではなく更にグルーヴを感じました。

小西:嬉しいなぁ。


ー その1stEP『CRCK/LCKS』ですが、タワーレコード渋谷店のポップスフロアでは一度品切れになったとか。

小西:そうなんです。フラゲしてくださる人たちがいたので店頭から一瞬無くなって。でも、もっといって欲しい!CDを聴いてもらえさえすれば、良い作品が出来上がっているとことを分かってもらえると思うので。


ー 発売後、改めて作品を聴き返した時に感じることはありますか?

小西:ありますね。多分僕らが終わりのない凝り性なので(笑)、「あそこはああしたい。」とか「やっぱりこっちの方が良かった。」とか思っちゃうんですよね。

小田:でも制作から時間が経って、今は結構客観的に聴けるようにはなりました。最近ランニングの時によく聴いているんですよ。30分くらいだから軽めのランニングにちょうど良くて。走って心拍数が上がっていると聴こえ方が違って面白いんです。曲によっては動きながら聴くと楽しいと感じました。ー見慣れた風景でも、音楽ひとつで違った見え方したりしますよね。

小西:あぁ、それはあるかもしれないですね。別世界感がある気がするな。


ー 元々、レーベルオーナーの阿部さんが結成のきっかけだったとか。

阿部: はい。菊地さん(菊地成孔)が開催するイベント【モダンジャズディスコティーク】の若手枠をブッキングすることが多くて、彼からも「誰かいない?」と言われていた時だったんです。

小西:僕がちょうど日本に帰ってきた直後だったんですよね。

阿部:そうだったね。それで小田さんと小西くんに話を持って行けば何かやってくれるんじゃないかと思って(笑)。


ー じゃあ成孔さんのイベントありきでバンドが作られたんですね。

小西:そうなんです。それでCRCK/LCKSという名前は付けたけど、どこまで長続きするか分からなかったし。

阿部:そうだよね。小田さんと小西くんだからジャズではないだろうけど、どういうことになるのか興味津々で話を持っていきました。

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ー お二人はいままで面識は?

小田:小西くんのプロジェクト「象眠舎」の公演を観に行ったことはありましたが、それまで一緒にプレイしたことはなかったんです。

小西:僕はCDを聴いたり動画サイトを観たり。何回か飲んだくらいだよね。

小田:そうだね。でも絶対に面白いことが出来る!という直感はありました。

阿部:僕は途中経過を聞く程度でしたが、びっくりするくらいに仕上がっていったんです。勿論その間にはすごく努力を重ねたんだと思いますが。

小西:でも二人でめっちゃ作り込んだという訳ではなかったかな。何となく打ち合わせをしてリハで作って本番に持っていくみたいな。

小田:そうだね。


ー 他のメンバーはお二人が選ばれたんですか?

小西:駿(石若)はベーアーさん(阿部)から紹介で、角田(隆太)はオダトモが以前一緒にやっていたので、また一緒にやろうということになり。でもこの4人中、僕だけがフロントに立つのも違うと思ったので、銘(井上)にも入ってもらい、この体制になりました。あそこで守りに入らなくて良かったね。


ー 守り?

小西:もっと仕事っぽくやってくれる人に入ってもらうことも可能だったと思うんです。でもこの人選じゃなかったら、こうやって続いていなかったかも。多分、僕フィーチャーや「小田朋美さんの曲」を演ります的になりかねなかったかも。

小田:このメンバーだからこその絶妙なバランスだよね。

小西:本当!飲みながらメンバーを決めたわりにはね(笑)。

阿部:あの時、飲んでたからついつい派手なメンバーにしようとしていたのかも(笑)。

小田:阿部さんが「スタープレイヤーを集めるんだ!」ってはりきってましたよね(笑)。


ー 実際阿部さんが作品を聴いた時はいかがでしたか?

阿部:みんな楽器だけ巧いという訳ではなく、作曲もアレンジも楽器も出来る人たちですからね。でも正直これだけ素晴らしい作品に仕上げてくるとは…(小西・小田に頭を下げながら)すみません!(笑)仕上がりが予想を超えたものだったので驚いています。

小西・小田:笑。

小田:クラクラのメンバーは音楽全体を見渡せる人が多いんです。例えば駿くんはドラムだけでなくハーモニーにものすごいこだわりがあって、結構色々な場面でハーモニーのアイデアを出していたり。自分の担当楽器のことだけではなく、みんなで幅広くアイデアを出していくことが出来ました。

小西:本当にみんなそれがあるよね。だから誰か一人が黙っちゃうという状態はほぼない。みんな何かしら思っていて、それを良いタイミングで言おうとしているんです。今、話が出た駿のハーモニーへのこだわりですが、同じ音でも音の並びを変えさせたり、細かかったよね。

小田:すっごく細かい!

小西:あと角田はダイナミクスに敏感。銘はそれを全部聴いた後に一言「でもあまり良くなくないんじゃない?」って言う(笑)。

小田:みんなが「いいね!」って調子に乗ったところで「そうかな?」って(笑)。

Information

Release

CRCK/LCKS
「CRCK/LCKS」

2016年4月20日発売

-収録曲-

1. グッバイガール
2. いらない
3. 簡単な気持ち
4. スカル
5. 坂道と電線
6. クラックラックスのテーマ

CRCK/LCKS

CD

/ 1,800円(本体価格)+税

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