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松室政哉、1st Album「シティ・ライツ」インタビュー

松室政哉、1st Album「シティ・ライツ」インタビュー

October 30, 2018 19:30

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ー じゃあ、そこを軸に他の曲づくりに繋げていったんですね。

そうです。


ー 作り終えての手応えは?

アルバムは初めて作るのでどうなるのかなという期待と不安はありました。スキマスイッチのツアーを回りながらのレコーディングだったので、怒涛のスケジュールでしたし(笑)。


ー じゃあ、かなり苦しかった?

いや、そうでもなくて。レコーディングは音楽をやる上で好きな作業なので、楽しかったですし、今回殆どが新曲なので今の松室政哉が出せるものはすべて出せたかなとは思っています。


ー アルバム曲についても伺いたいのですが、“Fade out”は“きっと愛は不公平”の主人公の続きを書いたとか。

“きっと愛は不公平”の主人公というよりかは、この曲のMVの主人公ですね。演じてくれた長村航希くんがあまりにも良い演技をしてくれて、悲しすぎて、どうにかしてこの人を大丈夫にしてあげたいなって思ったんです。


ー ああ、そういうこと!

そうそう。“きっと愛は不公平”のMVでは監督を務めさせてもらいましたが、あれがなければ“Fade out”の世界観は浮かんでいないだろうから、そういう繋がりは面白いですね。


ー 表現の連鎖。

そう。“きっと愛は不公平”があって、それを聴いて表現してくれた航希くんがいて、その航希くんの演技を見て、表現したいものが出来た。そうやって、表現する人たちと関わっていく中で曲が生まれたのは面白かったですね。


ー 終わってしまった恋愛をフェイドアウトさせる方法は、ショートストーリーみたいだと感じました。

確かに映画っぽい。こういう展開が僕自身好きなんですよね。多分この主人公は、大丈夫になろうと思って行ったわけではないと思うんです。ふと…思わず向かってしまった。その結果、感傷旅行になった。だから「大丈夫」と言い切っていないんです。それに断言してしまうと、この後の広がりがなくなってしまう気もするし。ただ、“きっと愛は不公平”で航希くんが演じてくれた<主人公>の気持ちをここまで持ってこれただけで、僕は良かったと思います。


ー そう考えると、また長村さんでこの曲のMVを作って欲しいかも…。

それも面白いかもしれませんね。


ー “アイエトワエ”は憂いのあるデジタルビートで、 個人的にかなり好きな曲です!

ありがとうございます!曲作りの時はどういう歌詞にするか全然想像していなかったんですが、仮歌を入れている段階で「アイエトワエ」みたいな母音の言葉を何となくコーラスで入れていたんです。その時は全然意味は不明だったんですけど、日本語にしてみたらちゃんと意味がある言葉がハマって。でもこういう曲調なので表記をカタカナにすることで一瞬聴く人に「?」を浮かばせる、そんな世界観がこの曲には合っているかなと思ったんです。カタカナにすると一見おまじないのようにも見えるじゃないですか。


ー おまじない感はすごく感じました。

そういう視覚的イメージでカタカナにしてみました。この曲は悲しい別れをテーマにしましたが、その中には恋愛の別れもあれば、例えば死別のようなものもあると思うんです。僕がこの曲で描きたかったのは残された人。そこを大切に考えました。こういう曲が入っていることで、アルバム全体のカラーもより鮮明になった気がします。


ー 今回、この曲の他にも英語表記された“Matenro”や、「ドラマチック」を平仮名で表記した“群像どらまちっく”などタイトルにも面白い要素が入っていると思いました。

こうした方が、群像劇とかオムニバスとか短編集の目次っぽいですよね。


ー ああ、なるほど!

とは言え、それをひたすら意識したわけではないですが(笑)。やっぱり曲ごとにちゃんと主人公がいることが、タイトルの付け方にも表れたかもしれないですね。すべて自分のことを歌っているわけではないし、僕の目線から見た色々なストーリーということで、今回は自然とそういうタイトルになりました。


ー 確かに同じ言葉でも、どう表記するかでかなり印象はかわるし。

そうなんですよ。そこって結構大切なんですよね。


ー “午前0時のヴィーナス”は 80年代後半から90年代の匂いを感じました。

世代によってはスタッフにも「懐かしい」って言われますけど、結局その時代の音楽って年齢関係なく気持ち良いんですよね。それこそ、その当時のシンガーソングライター、例えば大江千里さんみたいな雰囲気はちょっと意識しながら作りました。


ー 納得出来ます。

この曲のアレンジは河野さんにお願いしたんですが、河野さんにもその部分はかなり伝えました。


ー 河野さんや本間さんのアレンジで刺激を受ける部分は多かったですか?

すごく多かったです。自分でアレンジを担当している曲もあるけれど、アレンジャーさんにお願いした時「ああ、そういう発想があるんだ」とか「ここの部分の解釈ってそうなるのか」って発見が色々あって。分からない時は都度聞いたりしました。知らないこともまだまだあるので勉強になったし、特に本間さんにアレンジして頂いた“衝動のファンファーレ”は一番変わりました。


ー デモ段階ではどういう感じだったんですか?

エレキがギャンギャン鳴って、ロックっぽい感じの曲だったんです。でも本間さんに初めて “衝動のファンファーレ”でアレンジをお願いしたら跳ねているこの感じに変わって、それが素晴らしく良かったんです。それこそ「本間さんはこの曲をこう解釈したのか」っていうのが面白かった!


ー ドキドキやワクワクが詰め込まれていて、その跳ねた感じがすごく良いですよね。

ありがとうございます!


ー MVは山口県の下関で撮影したとか。

はい、下関に行きました。“きっと愛は不公平”以降、ずっと同じ映像チームにお願いしているんですが、主人公の男子高校生役を演じてくれた原沢侑高くんが下関出身で、お兄さんは柔道日本代表の原沢久喜さんなんですが、彼が行っていた学校や当時の同級生にも協力してもらいました。青春っていっても色々な形があって人それぞれ違うじゃないですか。サッカーや野球をやっていてキラキラしているということも青春だし、放課後に仲の良い友達と教室でずっと喋っているのも青春だし。

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