ー それこそFPMや小西康陽さんのようなDJの方みたいな考えですね。
そうですね。DJ的手法は初期から結構入っています。特にビンテージ物を扱う時はただ単に古い音を出せば良いというわけではなく、ただのトレースにならないよう今の時代の手法でやるというのがありますね。
ー “夜のドドンパ”はまたユニークというか、翻弄される感じが面白いです。
ドドンパって日本のオリジナルリズムとも言われているし、フィリピンマンボとも言われていて、フィリピンから伝わってきたビートという説もあるんです。
ー 知らなかったです。
エキゾチックで独特なビートなんですよね。僕は昔、家庭の事情で一ヶ月くらい兵庫県の親戚の家に預けられたことがあって、その時に観た<那智黒>という黒飴のCMが印象的で。リズムに乗せて黒人の男性が踊っている横で、着物を着たお婆ちゃんが「イエイ イエイ」って言って踊ってるんです。
ー かなりシュールですね(笑)。
シュールでした(笑)。でもいつかこのビートで曲を作りたいと思っていたんです。
ー それが今回この曲で実現したんですね。そのせいか、この曲も一種のシュールさがありますね。
曲として何を言いたいのか分からない支離滅裂さ(笑)。でもそれが男と女でもあるんですよね。それと冒頭の「特別な出会いって何?」という部分はメロディと歌詞がいっぺんに出てきて、変えようと思っても言霊としてどれも弱い。だからそのままいきました。ちょっと民度の低い曲ですね(笑)。
ー でもこういう曲が入るところがアルバムの面白さですよね。こういう曲もあると思えば“ぽんこつ”のようなアーバンな曲もあり。特にBメロには恋をしました!
ああ、嬉しいな。ありがとうございます。
ー 倫理感という無粋な話はおいといて、濃い大人の世界ですね。
ちょっと官能的な世界も描きたいと思ったんです。
ー 大人の曲という面では、“Honmoku Garage”はもっと渋くエロティックなムードがありますね。
「Honmoku Garage」という名前は、我々の実際の楽器置き場でありバイク置き場であり車置き場なんです。この年齢になると、出会うのは人妻だったり子持ちだったりバツイチだったり。勿論本当の「Honmoku Garage」はこの曲のようなムーディーな場所ではないし、エロティックな出会いもないですが(笑)、そこは想像力でね。
ー 横山さんは、曲のイメージに会う道を求めて車やバイクをを走らせたりするんですか?
あえてはしませんが、僕はお一人様ドライブが好きなので、車を運転していてふと曲や歌詞のイメージが思いつく時はあります。20歳の頃は“中央フリーウェイ”の「右に見える競馬場 左はビール工場」という歌詞を検証しに行きました。その時、助手席にいたのはCOOLSのジェームス藤木さんでしたけど。でもそういうのを検証したりドライブをしていると、良い意味で鳥肌が立つような磁場にやられることがあって、それに押し出されるように曲が出来るんです。そういう場所って人間で言うところの経絡。ツボ、ツボ、ツボ…そういう風に感じるから磁場を曲に閉じ込めるんです。それをユーミンさんはよくやっているんですよね。
ー “海を見ていた午後”もそうですね。
そうです、そうです。あと“雨のステイション”では西立川駅が目に浮かぶし。だから僕も運転している時に磁場から曲を作りますし、そういうのは録音しなくても覚えています。
ー 子供の頃に作った曲を覚えていることも含め、記憶力がすごいですね。
記録より記憶。今の人はすぐ携帯で撮るじゃないですか。
ー ええ。
それも良いけど、ちゃんと自分の目で見て感じないとね。その方が心に入ってくるから。撮ったものは色々なものが抜け落ちちゃっている気がするんです。サムネイルとしてなら良いけど、やっぱり自分の目や耳で記憶しないと血肉化しないから勿体無いんじゃないかな。曲も同じで、浮かんだからと言って、例えば録音したものを後から聴いても何も入ってこないんです。それに録音しないと忘れちゃう程度の曲なら、最初から忘れちゃった方が良いし。『ZERO』というアルバムは、ニューヨークに行った時に興奮して100曲以上出来たんです。それまで何故みんながニューヨークが良いと言うのか分からなかったけど、この時分かりましたね。音楽的にすごく刺激を受けました。それで出来た100曲以上を録音したのに、操作ミスですべて消えて。
ー え、それはさすがに…。
でも23曲入りのアルバムが出来ましたからね。あとから思い出したものも含めてちゃんと覚えていたんです。
ー やはり凄いの一言に尽きます。それこそポール・マッカートニーのように夢で曲が出来る人もいるようですが。
僕もポールほどじゃないですが、夢で曲が聴こえて来る時があります。
ー そうなんですか!?
“零”がそうですね。イントロのホーンセクションの部分は朝5時頃浮かんで、すぐに飛び起きて鍵盤と家の機材でとりあえず録音しました。
ー ホーンは基本的に横山さんの指示なんですか?それとも各メンバーで話し合うんでしょうか?
僕から指示を出すこともあるし、浮かばない時は「ワカバさん、ここにこういうホーンを入れて。」と言う時もありますし、全くの丸投げもあります。ケースバイケースですね。でもワカバさんの趣味をわかっているし丸投げの面白い点は、「何かこのフレーズ聴いたことあるぞ」と思うフレーズを入れてきたりして。それを何も言わずとぼけているんですが、後で元ネタと思われる曲名を言うと「気づいた?」って喜んでくれて。そういうやりとりはすごく楽しいですね。ギターソロも小野瀬(雅生)さんのパッションに任せる時もあるしイメージを伝える時もあるし。昔と違って編集も自由自在だから色々試せますよね。昔ならちょっと試しにやったことが取り返しのつかないことになって顰蹙買ったこともありましたが(笑)、今はそういうことがないので自由ですね。
ー 8月からは GOING TO A GO-GO ツアー【CRAZY KEN BAND TOUR 2018 GOING TO A GO-GO Presented by NISHIHARA SHOKAI】が始まりますが、菅原さんはおめでたいことに第二子を授かられたということで、このツアーには出演されないんですよね?
はい、産休に入りますのでそれに代わるウルトラC案を考えております。CKBならではのフレキシブルな部分が垣間見えるのではないかな。横浜のバンドって昔から型にはまらないフレキシブルなところがあるんです。普通であればネガティブになりそうな要素が逆に面白い要素になったり。まだ言えないことも色々ありますが、ヒントとしては「フレキシブル」です。
ー “Going To A Go Go”の歌詞ではないですが、今年のCKBさんのテーマは 「24時間営業」だそうですね。
レコードのようにぐるぐるぐるぐる回っているうちに池谷・関彗星のように尾を引いて流れる(笑)。24時間営業のレストランとかって朝行っても夜が続いてるし、夜に行っても昼の灼熱が燃え残ってる。そういう名残の中でレコードのようにぐるぐる回る円運動を基本にグルーヴを続けていき、第一章が終わってthe beginning of the end(終わりの始まり)をここからスタートさせ、アグレッシブな気持ちになっているのでみなさんも一緒に歳を重ねましょう!
ー ありがとうございました!
インタビュー:秋山雅美(@ps_masayan)
■ クレイジーケンバンド 公式サイト
http://www.crazykenband.com/
■ ダブルジョイ・インターナショナル(ユニバーサルミュージック クレイジーケンバンド専用レーベル)
https://www.universal-music.co.jp/ckb/
□ CD(通常盤 / 初回限定盤)
01:GOING TO A GO-GO
02:eye catch*出發 Departure
03:そうるとれいん(日本テレビ「ぶらり途中下車の旅」エンディングテーマ曲)
04:棕櫚
05:ZZ
06:GARDEN(デルモンテリコピンリッチトマトケチャップCMソング)
07:883
08:LOCOMOCO
09:山鳩ワルツ(NHK「みんなのうた」6月~7月)
10:せつ子
11:eye catch*過境 Transit
12:SOUL 痛 SOUL
13:夜のドドンパ
14:Parang tanga iyan
15:ぽんこつ
16:MIDNIGHT BLACK CADILLAC
17:Honmoku Garage
18:オハヨウゴザイマス(NHK「あさイチ」金曜エンタメテーマ曲)
19:eye catch *到來 Arrival
20:のっぺらぼう
※曲順&タイトル及びタイトル表記は予期無く変更の可能性がございます。
□ DVD1(初回限定盤)
CRAZY KEN BAND 結成20周年記念スペシャルライブ
20TH ATTACK![攻] 赤レンガ野外特設ステージ 2017.9.2(SAT)
1.スージーウォンの世界
2.GT
3.☆☆☆☆☆︎
4.欧陽菲菲
5.太陽のプレイメイト
6.Loco Loco Sunset Cruise
7.せぷてんばぁ
8.中華街大作戦→世界、西原商会の世界!(Bossa ver.)→本牧ビーチフィールド→本牧仕様のサーファーガール
9.けむり→ざくろ→右手のあいつ
10.タイに行きたい→路面電車
11.シンガプーラ
12.ランタン
13.タオル→音楽力 with Full Of Harmony × ISO from I.S.O.P.
14.Midnight Cruiser→ボックスフィッシュパラダイス→マカロニイタリアン→SUMMER ANTHEM with RHYMESTER→肉体関係part2 feat. RHYMESTER
15.37℃
16.Bomb!Cute!Bomb!→HONOLULU BBQ
17.BRAND NEW HONDA
18.逆輸入ツイスト
19.LADY MUSTUNG with IKURA
20.流星ドライブ
□ DVD2(初回限定盤)
CRAZY KEN BAND 結成20周年記念スペシャルライブ
20TH ATTACK![攻] 赤レンガ野外特設ステージ 2017.9.2(SAT)
Encore
21.不良倶楽部
22.Let’s Go CKB→タイガー&ドラゴン→タイガー&ドラゴン(ska ver.)with CHIBOW from SKA9
23.マリンタワーゴーゴー→タツノオトシゴ→よこはまたそがれ→ハマのテーマ→Wonderful days with FIRE BALL
24.生きる。
Encore2
25.発光!深夜族
26.愛の世界
27.葉山ツイスト
28.ガールフレンド
デビュー20周年記念 スペシャルライヴ
CRAZY KEN BAND TOUR 2018 GOING TO A GO-GO Presented by NISHIHARA SHOKAI
9月24日(月・休)神奈川・横浜アリーナ
CRAZY KEN BAND TOUR 2018 GOING TO A GO-GO Presented by NISHIHARA SHOKAI
8月25日(土)福生市民会館(東京)
9月1日(土)酒田希望ホール(山形)
9月8日(土)釧路市民文化会館(北海道)
9月9日(日)札幌市教育文化会館 大ホール(北海道)
9月14日(金)NHK大阪ホール(大阪)
10月7日(日)日本特殊陶業市民会館ビレッジホール(名古屋市民会館中ホール)(愛知)
10月8日(月・祝)福岡国際会議場メインホール(福岡)
10月10日(水)宮崎メディキット県民文化センター演劇ホール(宮崎)
10月13日(土)高知県立県民文化ホールグリーンホール(高知)
10月19日(金)倉敷市芸文館(岡山)
10月20日(土)京都劇場(京都)
10月27日(土)白河文化交流館コミネス(福島)
10月28日(日)仙台電力ホール(宮城)
11月1日(木)防府市公会堂(山口)
11月2日(金)鹿児島市民文化ホール第2(鹿児島)
11月9日(金)幸田町民会館(愛知)
11月10日(土)中野サンプラザ(東京)
11月15日(木)富山県教育文化会館(富山)
11月17日(土)北國新聞赤羽ホール(石川)
11月23日(金・祝)神戸国際会館こくさいホール(兵庫)
11月25日(日)ナムラホール(沖縄)