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CRAZY KEN BAND、デビュー20周年記念オリジナルアルバム「GOING TO A GO-GO」インタビュー

CRAZY KEN BAND、デビュー20周年記念オリジナルアルバム「GOING TO A GO-GO」インタビュー

August 1, 2018 21:00

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今年でデビュー20周年のクレイジーケンバンド。5月には配信シングルを3ヶ月連続リリース。第一弾が“そうるとれいん”は日本テレビ「ぶらり途中下車の旅」エンディングテーマ、第二弾は NHK「みんなのうた」6月~7月の“山鳩ワルツ”。8月1日リリースのアルバム・タイトルナンバーでもある第三弾の“Going To A Go Go”はアグレッシブなサウンド。その配信シングルも収録したアルバム『Going To A Go Go』は約3年ぶりのオリジナル・アルバムとあって、東洋一のサウンドマシーン横山剣からは混沌とした最高の無国籍音楽が繰り広げられた!この日、横山が名誉館長を務める横浜マリンタワーにて、そんなアルバムエピソードや旧譜の話など、様々な音楽話を伺った。


ー 今年はクレイジーケンバンド(以下:CKB)がデビュー20周年。昨年は結成20周年。一昨年は横山さんのデビュー35周年と周年続きですね。

来年はユニバーサルミュージック移籍10周年だし、再来年は僕と廣石恵一(Dr,Per)と河合わかば(Tb,Fl)の3人が還暦。そんな感じで本当に毎年何かあるんですよ(笑)。だから振り返る間もなく、突き進みながらアルバムが増えていく感じです。別に周年を迎えてノスタルジックに浸りたくないわけではないんですが、やりたいことが次々出てきてしまうので、その暇がなくて(笑)。


ー 本当に勢力的な活動をされていますよね。6月にはデビュー20周年記念ライブハウスツアー【PUNCH! PUNCH! PUNCH! 2018】がありましたし。

これはデビューアルバム『PUNCH! PUNCH! PUNCH!』をほぼ演奏したのでノスタルジックな意味合いが強かったですね。デビュー当時、本当はホーンセクションを入れたかったとか、女性コーラスやキーボードを入れたかったとか、色々と悔いが残っていたので、そういう想いをやっと叶えることが出来ました。当時はお金がなかったけど歳いってからやっと挙式するみたいな(笑)。その時演りたくても演れなかったアレンジを今、その時の気持ちになってファンの皆さんにお届けしました。


ー いいですね。9月にはデビュー20周年記念 スペシャルライヴ【 CRAZY KEN BAND TOUR 2018 GOING TO A GO-GO Presented by NISHIHARA SHOKAI】を横浜アリーナで開催。オーディエンスとの距離が近いライヴハウスからアリーナ級のステージまで、本当に幅の広さを感じます。

基本はライヴハウス的概念で演っているので、逆に言うとデカイ会場で演ってもライヴハウスのようなライヴを意識しています。デカイ会場だと細かいニュアンスが伝わりづらくなったりするでしょ。そこはビジョンで追うとかね。なるだけ大味にはしたくないんです。だからすごく細かい、どうでもよいことまでこだわってライヴハウスと同じようなレベルで演りたいと思っています。


ー 今年5月より3ヶ月連続配信シングルをリリース。その第一弾が“そうるとれいん”。心地よいギターとメロディで、気ままに知らない街を散策をしたくなりました。

フォーキーソウルって言うんですかね。フォーキーなんだけどソウルミュージック的なニュアンスも入れてみました。電車と言っても新幹線みたいにビューンという感じではなく、ダダンダダン…くらいの気分でゆっくり車窓から流れてくる景色に押し出されて出てくるメロディが良いと思って、コーラスでも「ガタゴトガタゴト」という擬音を入れたんです。前にしか進んでいないんだけど、じゃあ後ろには何もないかというとちゃんと足跡が残っている。そういう自分たちの周年とも掛けた歌詞になっています。


ー 第二弾は“山鳩ワルツ”。ジャジーなワルツで、フルートの音色やメロディが郷愁を誘いますが、幼少期にアイデアだとか。

そうなんです。子供の頃、はじめて山鳩の鳴き声を聞いた時に「何が鳴いてるんだろう?」と気になって突き止めに行ったんです。そしたら鳩で。でもドバトとも少し鳴き方が違ったし、見た目も茶色い羽で小ぶりだったので調べたら山鳩だということが分かり、写真を撮ったりもしましたね。 今回曲にするにあたり、叔父さんと箱根に行った時の思い出とミックスさせましたが、フィクションとノンフィクションが混ざり合っている感じです。


ー ということは、子供時代すでに山鳩の鳴き声がワルツっぽいと思ったんですか?

ええ。本当の山鳩はもっと「クックポッポ」とリズムが早いんですが、僕には「クークー ポッポー クークー ポッポー」と聞こえたんです。ズチャンチャチャンズチャ ズチャンチャチャンズチャというビートと、クークー ポッポーという鳴き声でオーケストラみたいなサウンドを作りたいと思っていたんですが、そこまでしか出来ていなくて。その続きを50年以上経った今、形にしました。


ー そういうアイデアって覚えていたりするもんなんですね。

子供の頃に作った曲は結構覚えていますね。CKBの作品でも10曲くらい反映されています。例えば“男の滑走路”とか。「機内食の肉か魚か」という部分は大人になって後付けしましたけど。でも何かに似てるなと思ったら、The Driftersの“ラストダンスは私に”に似てて。だからこわいですよね。自分の中に刷り込まれたメロディって、自分のオリジナルだと思うから気をつけないと(笑)。とは言え“男の滑走路”はそこまでではないので大丈夫でしょうが、思い起こすと当時“ラストダンスは私に”をよく聴いていたなと思って。


ー そういう意味では今、口づさんで頂いたズチャンチャチャンズチャというビートは“Take Five”っぽいですよね。

そうなんです!子供の頃に両親と箱根小涌園に行った時に熱を出しちゃいまして。両親は生演奏が入ったプールサイドのビアガーデンで呑んでいたんですが、 僕は熱にうなされながら部屋で一人寝ていたんです。その時、ビアガーデンからはバンドの演奏がズチャンチャチャンズチャ ズチャンチャチャンズチャって聴こえてきて。あれは5拍子ですが、その時の音が印象に残っていて、それを3拍子の解釈でやったのが“山鳩ワルツ”で、そこにちょっと箱根感が混ざっていますね。


ー そうだったんですね!

あと叔父がよく連れていってくれたのが芦ノ湖だったのでそんな3つの思い出が入っています。それとCKBで毎年「箱根ヨコワケハンサムワールド」というイベントを開催していて、箱根の峠を登っていくたびに当時は叔父さんの運転する車の助手席に座っていた自分が今、同じ道を運転しているんだと感動する瞬間があるんです。


ー まさにそれが「昭和へと続く峠の道」ですね!

そうです。富士屋ホテルとか十国峠とかパノラマとか、昭和へ続くものが多くて。箱根って箱庭っぽい雰囲気があるし、昭和の贅沢が詰まった場所なんです。


ー いいですよね。若大将が出てきそうな雰囲気もあるし。

そうそうそう!僕らが毎年プリンスホテルのバンケットホールで行うディナーショーで「ラウンジ不良倶楽部」というDJコーナーがあるんですが、その場所が若大将の映画のロケ地として使われた場所なんです。先日も加山雄三さんとライヴでご一緒した時にその話をしたら「ああ、やったやった!」と覚えていらして。だからすごく磁場を感じますね。


ー 歌詞のエピソードも素敵ですし、山鳩の鳴き声をリズムにするというアイデアもやはりユニークですね。“血の色のスパイダー”(『Spark Plug』収録)で咳払いをリズムにした時も面白さは感じましたが、発想の柔軟さに驚きです。

例えばセルジュ・ゲンスブールにはゲップやおならをリズムにした作品があるように、常識に囚われない方法って面白いんですよね。“踏切シャッフル“(『Spark Plug』収録)でも実際の江ノ電のガタンゴトンガタンゴトンという音を入れていますが、踏切の「カーンカーン」というビートに押し出されてリズムやメロディが出てきたんです。“山鳩ワルツ”も、決して音楽的作り方ではないんですけど、それをメンバーと話し合ってより音楽的に、マニアックに仕上げていきました。


ー そして今回のアルバムタイトルにもなっている“Going To A Go Go”が第三弾。

今までCKBを20年やってきましたがある種のハーフタイムというか、ここからまた先の20年を、サッカーで言うところの後半戦だと考えると、歳は重ねていきますがエキサイティングでアグレッシブな気持ちにもなれる。だからジャケットデザインも黄昏の中、デパーチャー(旅立ち)しているんです。今はトランジットラウンジに居る感じかな。終わりの始まり。あとは終わりに向かうだけ。でも計算が狂ったのはあと20年続けても78歳なので、加山さんよりまだ年下なんですよ(笑)。ただひとまず気合を入れるのに、後半戦のスタートって言うと、決勝に向かうような気持ちにもなりますからね。


ー “不良倶楽部”でも入っていましたが、今回もさりげなく勝新太郎さんのお名前が入っていて。

勝さんは本当に愛に溢れた人で!(中村)玉緒さんや娘の(奥村)真粧美さんともお付き合いがあってお話を聞くと、勝さんをよく知る人は皆さん言うそうなんです。勝新太郎さんは愛の塊みたいな方だって。

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