ー 例えばどういうこと?
私が一番嬉しかったのは、「Anlyちゃんの声はカッコいいから、そのままで良いんだ」と言われたことです。みんな誰しも自分のことを真正面から認めることって難しいじゃないですか。
ー そうですね。
中には自分を100%大好きって言える人もいると思うけど、言えない人も多い気がして。実際私も、自分の声に対してみんなが「素敵だね」と言ってくれるから “これで良いのかも”と思いながら歌えているけど、レコーディングの場合は本当に自分と向かい合う空間なので、ナイーブになったり“これで良いの?私の声”と疑心暗鬼になったりして、それこそ“何で大橋さん、あんな素敵な声が出せるの?”とか思ってしまうんです。でもそうやって私が不安がっているところに、ミキサーブースの常田さんと大橋さんが「いや、そのままで良いんだよ。」と言ってくれて。その時、私の胸の中でくすぶっていた不安が消えた気がしました。
ー そういう言葉って、本当に力になりますよね。
そうなんです。20歳になって、今後もっと私が出したい声で音が取れるよう努力はしていきたいと思いますが、今までも一生懸命歌ったので、それこそ今回の1stアルバム『anly one』に入っている過去の自分の声も好きなんですが、もっと大好きと思えるようになりました。
ー 今、お話に出た1stアルバム『anly one』が4月26にリリースですが、ご自身としてはどんなアルバムになったと思いますか?
原点です。デビューシングル曲の“太陽に笑え”から始まって、“Come back”という私らしい曲で終わる。その真ん中には素の部分というか、10代の私が詰め込まれているので、「ジャンルにとらわれずに好きな音楽をやっていきたいんです」という意思表明のようなアルバムになりました。
ー “サナギ”は力強さと疾走感がカッコ良くて大好きです。
本当ですか?嬉しい!この曲は沖縄時代にはよくライヴで歌っていたんだけど、東京ではまだ歌ったことがなくて。
ー 是非聴いてみたい!かと思うと“傘”のような可愛らしい女心の曲もあって。この曲はバースデーライヴの時も歌っていましたよね。
はい。よく歌っています。この曲は高校生の時に作った曲で、今回収録した中でもかなり初期の頃の作品なんですが、シングルとして既発してる曲以外は高校生の頃に出来た曲ばかりなんです。
ー それを20歳になった今のAnlyさんが歌う上で変わる部分はありましたか?
どうだろう…。でもあの頃私が描いていたものを出来るだけ形にしようと思って、レコーディングには臨みました。思い描いていたキラキラ感とかテンションとか。だから歌う時もあの頃にダイヤルを合わせる気持ちでした。
ー この中で一番難しかった曲は?
“レモンティー”です。この曲は全部自分で演奏しているんです。ドラムもベースもエレキギターも。
ー そうなんだ!
でも今まで経験がない楽器ばかりだったので、練習も大変で(笑)。
ー 何故この曲でそういう試みをしてみようと?
高校生の頃、初めて自分で作ったデモがこの曲で、その当時の宅録感を残したいとアレンジャーさんに相談したら「それなら自分で全ての楽器を挑戦してみたらどう?」というアイデアを頂いて、頑張ることになりました!
ー うわ、本当に頑張ったね。
ドラムはブラシなのでずっとシャッシャシャッシャやっていました(笑)。それとこの曲でベースに挑戦したことがきっかけで、他の曲のベースも意識して聴くようになったし。だからそういう意味でも、私の中でこの“レモンティー”という曲はすごい達成感を感じています。でも今後もアルバムを出すごとに1曲はこういう試みをしてみようかなと考えているんです。1曲必ず収録しておけば、アルバムごとの成長が見られるんじゃないかって。まあ、自分の楽しみなんですけどね(笑)。
ー いえいえ、それはファンにとっても楽しみですよ!じゃあライヴでも何か別の楽器を披露することが…。
お!あるかな?いや、やっぱり私はアコギがいいな(笑)。
ー Anlyさんが感じているアコギの魅力って?
魅力だと意識しないくらいずっと一緒にいるので、何の迷いもなく自然にアコギを選んでしまうんです。エレキはまだ始めたばかりなのでそこまで仲良くなっていなくて(笑)。でも最近はスタジオでエレキを弾くようになって音を作るのが楽しくなってきている最中です。エフェクター欲しいー!
ー アハハ。これはエレキを使った曲が増えるのも、そう遠くないかも。
そうかもしれないですね!
ー 6月からはツアー【Anly 1st Live Tour 2017】がスタートしますね。
はい。バンドもあるしアコギもあるしループもあるので、セクションセクションで飽きさせないようなライヴにしたいと思っています。盛り上がる部分もアルバムを聴いてリサーチしてくれたら嬉しいです。
ー 最後にポップシーン読者のみなさんへ一言お願いします。
やっと皆様にアルバムを届けられることを嬉しく思っています。このアルバムは本当に「Anly」というアーティストの始まりのようなものなので、是非手にとって頂いて、ライヴにも来て頂けたらと思います。6月のツアーも是非お待ちしています!
ー ありがとうございました!
取材・文・インタビュー写真/秋山昌未
■ Anlyオフィシャルサイト
http://www.anly-singer.com/