ー 発想の行き詰まりからは、かなり解放されましたか?
そうですね。多分鈴木さんもそこは意識していたと思うんですが、“何となくこうかな?”って、私の中でモヤッとしていることを「それで良い、やれやれ!」って言ってくださって。だから気持ち的な面でもとても助けて頂きました。
ー リードトラックの“Someday”では、感情の断片をコラージュしたような歌詞の美しさを感じました。
嬉しいです。この曲は珍しく作る特にストーリーが浮かんでいた曲なんです。今(取材時)、この曲のMVを作っていて、そのストーリーを元にしているんですけど、靴職人の男の子のお話なんです。 ショートフィルムみたいな感じが良いと思って、ドイツで撮影中です。曲を作るときに言葉と一緒に自然と映像が浮かんできたので、どこから靴職人という発想が生まれたのか自分でも分からないんですが(笑)。
ー なるほど(笑)。
靴を作っている若い男の子が、ちょっとした挫折もあるけど前を向いて頑張っていく。そんな何とないストーリーというか画が浮かんだので、そのイメージをMVにしてもらいました。
ー 完成が楽しみです。ストーリーで言えば、“October”はご自身の体験を歌われているんですか?
そうですね。この曲も少し特殊で、気持ちが先にあった曲なんです。こういう歌詞を書きたいというい想いがあって。
ー というと?
自分の中でモヤモヤしているようなことや、ずっと感じていたことを曲にして今回のアルバムに入れたいと思って作った曲なんです。サビでは「もし心がいつかなくなったら 空に溶けて消えてしまいたい。」ということを歌っているんですが、私は元々敏感で、気持ちの浮き沈みが激しいタイプなんです。でも歳を重ねるごとに鈍感になっていって、涙が出ることが減ったり、昔だったらいちいち気にかけていたようなことが段々気にならなくなってきたり。感情の揺れがすごく減ったことにふと気付いた時があって、そのことがすごく寂しいなと思ったんですね。 そういう心の機微から曲が生まれることが多かったので、どんどん感じなくなっていってしまうんじゃないかなって、その気持ちを曲にしました。
ー Nozomiさんの歌声が、今作の中で一番感情が露出しているように感じました。
それこの間、鈴木さんにも言われました。確かにこの曲は特に想いが強いので、伝わるんだなって驚きました。
ー 逆回転のようなイントロがアウトロへ繋がる感じがすごく美しかったです。
あ、嬉しい!あの部分はエレキギターを逆回転させたんですが、私もすごく気に入っているんです。
ー 浮遊するようなNozomiさんの高い歌声も好きだけど、“Because It's Raining”の冒頭でみせるような、意思ある歌声みたいな感じも大好きです。
ありがとうございます!確かにああいう歌い方はあまりしないですね。実は最初にデモを家で作っていた時はもっと歌っていたんです。でもこれは歌い過ぎだと思って(笑)。元々合唱をやっていたこともあり、バン!って歌おうと思えば歌えるんですが、あまりああいう歌い方は見せないですね。今はこういう音楽をやっていてああいう歌いになっている。曲との相性ですかね。自分では意識していなかったですが。
ー ちなみにオクターブはどれくらい出るんですか?
3オクターブくらいかな。
ー すごい!高音も無理なく美しいし。
最初の頃はすごくレンジの広い曲を作っちゃって、ライヴハウスの人に言われたことがありました。「レンジが広すぎる。」って(笑)。
ー アハハ。今作で一番苦労した曲は?
アレンジで大変だったのが、“White Days”です。曲の方向性がなかなか決まらず、10回以上くらいやり直しをしました。あの曲はポップなので、最初は本当に純粋なポップサウンドにしたんです。その後にちょっとシンセを入れたり浮遊感を感じるアンビエント寄りのアレンジをしてみたり、テンポを変えてみたり。曲作りに関しては全体を通してそれほど苦労はありませんでしたが、1曲目が出来上がるまで時間がかかりましたね。昨年の夏に“Someday”を最初に作ったんですが、それまで全然曲が出来なくてスイッチが入るまでは長かったです。でもそれからはほぼ順調に、曲作りもアレンジも進みました。
ー 確か【THE CIRCLE vol. 3】の1曲目が“Tonight”だったと思うんですが、あの時にNozomiさんの歌声を初めて生で聴いて、曲の雰囲気も含め“なんて心地良いんだろう”と感じました。
ありがとうございます!あの曲は私も気に入っています。真夜中に帰宅した時、“何か曲が出来そうな気がする”と思って、窓を開けてベランダに足を投げ出してギターを弾いて作ったんです。すごく良い風が吹いていて。
ー それだけですごく絵になる!
普通のベランダなんですけど(笑)。あの曲だけ曲と歌詞が同時に出来た曲なんです。
ー じゃあ、ベランダから見た風景や空気のにおいも曲に収められている感じですか?
まさにその通りです。
01 Someday
02 White Days
03 October
04 The Silent World
05 Because It's Raining
06 Tonight
07 Tokyo Lullaby
"We Are Always a Bit Lonely"リリースツアー
6月17日(金)熊谷 モルタルレコード
6月20日(月)恵比寿BATICA
6月24日(金)大阪 FLAKE RECORDS インストアライブ
6月25日(土)大宮 more records インストアライブ
7月2日(土)盛岡 nutmeg
7月3日(日)仙台 SENDAI KOFFEE
7月6日(水)渋谷 EdgeEnd
7月16日(土)米沢 ARB
7月17日(日)酒田 hope
7月18日(月・祝)郡山 THE LAST WALTZ
9月4日(日)名古屋 HONEY BUNNY
9月11日(日)熊谷 モルタルレコード
9月24日(土)難波 artyard studio
10月1日(土)原宿 VACANT ツアーファイナルワンマンライブ
and more..