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【コラム】オフィス オーガスタ特集 Vol.4 後編

【コラム】オフィス オーガスタ特集 Vol.4 後編

February 17, 2016 21:00

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ー そしてポップシーンでも密着させて頂いた松室政哉君ですが、彼と出会ったきっかけを教えて下さい。

松室に関してはうちの会社にデモテープが送られてきたんです。日々の業務と並行してだとなかなか集中して聴けないので、定期的にデモテープを聴くだけの日を作っているんですが、ある日聴いていた中に松室のデモテープがあって。…でも正直、ひどかったんです(笑)。


ー え、ひどかった?

写真がね。今より太っていたし「何でこの写真を送ってきたんだ?」というもので。


ー なるほど(笑)。楽曲はいかがでしたか?

センスの良さは感じたんですが、送ってきた曲もまだまだ荒削りで、歌詞もツッコミどころ満載でした。でも僕の中のフィルターに引っかかるポップさがあったんです。それで後日、他の曲も聴いてみたいので本人に連絡を取ってみたら、沢山の楽曲をデータですぐに送ってきて。中には、このまますぐにリリース出来そうなほど高いクオリティの作品もあり「彼、面白いな。」と思ったんです。でも色々とあって実際に会ったのは一年後でした。それが2014年。ちょうどその頃、【Augusta Camp】のオープニングアクトをどうしようかという話が社内で持ち上がっていたんです。それで松室のことを思い出して、改めて一度会うことになりました。ただ、僕もライヴに行けば良いものを、何故か新宿に呼び出して、二人でご飯を食べたんです。


ー ご飯ですか(笑)。

ええ(笑)。しかも初対面にも関わらず「Augusta Campに出たい?」「はい!出たいです!」という感じで。お互いギクシャクしながらも、こちらはAugusta Campに出演させたい、向こうは出たい。向かっている方向は一緒だったので、「じゃあ一度デモテープを録ってみようか」となり、そこからはあっという間に…という感じでした。

20160217Handa_san02.jpgー 昨年のレコーディング合宿ですが、色々なサポートミュージシャンを招いてのレコーディングについて半田さんは、松室君の経験値を上げて鍛えることが目的だとおっしゃっていました。半田さんから見て、初日と最終日ではかなり変わっていましたか?

自分の思い描く完成形を作るために、そのプレイヤーに何をしてもらえば良いか、多分、初日の段階では全く分かっていなかったと思います。特に初日は、カースケさん(河村”カースケ"智康)や種子田(健)さんのような大御所でしたから、そんなにズケズケ言えるわけもなく。ただ初日にあのお二人がいてくれたことは良かったと思います。お二人とも優しいじゃないですか。


ー 優しいですよね。

お二人の方から「松室君はどうしたいの?」と訊いてくれて、「だったら、こういうアプローチはどうだろう?」と教えてくださり。それで松室の中でも、少し緊張感がほぐれた筈なんです。と同時に、「そういう方向へ持っていきたいなら、こういうプレイを要求すれば良いんだ。」とか「こういう音色にすれば良いんだ。」ということを吸収したでしょうし。これは僕が第三者として見ていた感覚でしかないですが、8日間の合宿の中で徐々に分かってきたというよりは、初日、二日目くらいで急激に成長しているんです。そこでレコーディングがどういうものか分かって、サポートミュージシャンの人たちにも色々と言えるようになったと思うし、自分の立ち位置を把握して、ディレクションをしながら楽曲をまとめられるようにもなった気がします。


ー そういう姿を見ることが出来るというのは、印象深いですね。

ええ。僕自身も十年以上、同じ会社で同じ制作という仕事をやっていると、悪い言い方をすれば時としてスタジオワークが流れ作業のようになってしまいそうになることがあるんです。でも松室みたいな新人と、ましてや合宿という密度の高い制作現場に“今”一緒に入ったことによって、僕自身がすごく初心を思い出したんです。「そうだ、レコーディングってこうだった。新人の頃ってこうだった。」って。


ー なるほど。

松室も松室できっとそれを感じていただろうし。いや、感じていないかな…(笑)。


ー アハハ。きっと感じていたと思いますよ。

レコーディング密着の記事にも書いて頂きましたが、合宿の中で僕はあまりディレクターっぽい立ち位置にいなかったと思うんです。


ー 細かく意見をするというよりは、背中で見ているような印象でした。

どこか冷静でなければいけないというか。僕は松室の音楽が大好きなんです。勿論、自分が関わってきたスキマスイッチも大好きですし、さかいゆうも大好きですし、手前味噌ですがオーガスタのアーティストはみんな好きだし、昔から聴いているスピッツも大好きです。そういう音楽に初めて触れた時の「うわぁ、何だこれ!?」という感覚が松室にもあって。でも好きだからこそ、盛り上がってはいけないと思ったんです。好きなものって、「無条件に好き!」ってなっちゃうことがあるじゃないですか。

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