秦 基博、ニューアルバム『コペルニクス』インタビュー
December 27, 2019 21:00
秦 基博
ー 今まで「恋の奴隷」や「美しい穢れ」、「自画像」などで、道ならぬ想いや一途さ、愛を幻想と言いながらも愛について考えてしまう自分を、少しエロティシズムな歌詞で表現した曲はありましたが、シングル曲でこういう秦さんを見られたのは少し驚きました。
そうですよね。最初に出来たリフやリズムにどういった歌詞が合うのか本当に色々考えました。そういう中で曲調のダークさやスリリングさは勿論なんですが、ダークなだけではなくポップさも欲しくて。結構悩みました。
ー それはメロディに繋げる世界観ですか?それとも言葉選び?
言葉選びですね。どういうニュアンスの言葉がこの曲にふさわしいか、見つけるまで時間がかかりました。でも“Raspberry Lover”という言葉がサビの部分に浮かんできたことで歌詞の世界観を広げられました。
ー「アース・コレクション」は情報に翻弄されてしまいがちな、まさに現代社会に投げかけた曲ですよね。
ファッションや流行について自分が思っていることを書きました。
ー 歌詞にあるような「トレンドカラーって いつ誰が決めんだ」とか?
そうです、そうです。トレンドカラーって会議で決めているという話は聞いたことがあるんですが、じゃあどういう基準なのかとか自分には分からない。大体そんなに流行に敏感な方ではないので(笑)。でも流行にしろファッションにしろ、みんながそうしているから自分も同じことをするのではなく、<自分がどうしたいか>で良いんじゃないかというのがこの曲のメッセージです。そうは言っても、僕自身も流行りに翻弄される時もありますけどね(笑)。かと思えば逆に全然流行っていることを知らないこともいっぱいあるし。
ー あえて流行を拒むことは?
あー、それはないですね。どちらかというと好きか嫌いか。自分のところにその流行が届いた時、自分の感覚として好きなら取り入れるし。そういう感覚が強いですね。
ー なるほど。サウンドとしてはファンキーなベースの音が印象的で、ボーカルライン自体は秦さんらしいのに、特にAメロなど今までにない秦さんのサウンド感も得られました。
この曲はベースラインとリズムから作り始めました。ファンクをあまり通ってない自分がファンクをやったらどうなるかという曲ですね。
ー「Joan」は花王株式会社の「クイックルJoan」CMソングのために書き下ろされた曲ですね。
はい。“Joan”という言葉を歌詞に入れて欲しいというオーダーとCMのコンセプトを伺った上で作りました。この曲は、悩んで悩んで…という感じではなく、一筆書きみたいな感じでイメージがメロディや歌詞が出来ました。
ー「在る」についてはいかがですか?
この曲は色々なものを削ぎ落として、余白というか行間みたいなものを感じられる曲にしたかったんです。削ぎ落としたことで、聴く人に想像が沢山広がり、芽生えてくるんじゃないかと。
ー 音楽から受ける想像力って面白いですよね。そういう意味では秦さんのスニーカーのサイズ9inch(=27cm)をタイトルにした「9inch Space Ship」も面白いと思いました。
まず曲が出来た時に、メロディしかない段階で宇宙とか星のイメージがあったんですよね。自分にとって遥か彼方にある宇宙や星をどうやって自分の言葉として歌おうか考えました。そんなすごく遠い存在のものでも、きっと自分の一足からそこへ向かって始まって行くんだと思って、そこを着想としてスニーカーのサイズに繋げたんです。
ー「漂流」についてはいかがですか?気だるさや憂いと共にあるサビのメロディの切ない煌めき。特にサビは理屈抜きで好きです!
この曲は玉田豊夢さんにドラムをお願いしたんですが、音の質感は打ち込みっぽいんですが、でもそれを生で叩いてもらっています。それがこの曲のテイストに合っていると思いました。それと、ガットギターもこの曲のポイントですね。ギターをこういう形で重ねたのはこのアルバムでこの曲だけなんです。自分以外のギターを重ねて、しかもそれがガットギターなので音としても特徴が出ました。
ー 歌詞も「欠け落ちた月」や「形式的なキス」など詩的な表現が素敵だと思いました。
そういう言葉はメロディやサウンド感から生まれてきたものですが、コラージュ的というか、散文詩的に書けたら良いなとは思っていたんです。自分の中にある曲のイメージをひとつずつ言葉にして、ストーリーとまではいきませんが場面場面を切り取るような歌詞が良いなと思って作っていきました。
ー アルバムの最後を締めくくる「Rainsongs」はすごく大きなテーマを表現していますね。
アコースティックギターの16ビートのカッティングが着想としてありました。そこからメロディラインを広げていったんですが、曲がスケール感のあるものになっていったので、アルバムの最後にふさわしいと思ったんです。それは曲が出来た時にまず思ったことでした。そこから制作していく中で、このアルバムは2019年にリリースされるので、2019年の今、自分が何を考えているか、今の時代や社会で生活している“自分”というひとりの感覚がより強く出る曲で締めくくりたいなと思って。それが曲が持っているスケール感に繋がるようなものにしたいと思い、こういう楽曲になりました。
ー 2020年3月から全国ツアー「HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2020 ―コペルニクスー」が開催されますね!
まずは『コペルニクス』の世界観をライヴでどう構築していくかが自分自身のポイントではありますが、曲やアルバムって聴いてくれる人に届いて初めて完成すると思うし、ツアーで演ってみてその曲の意味を知ることもあるので、それも楽しみでもありますね。だからツアーに来て下さる方々と一緒にアルバムの世界を作り上げたいです。あとは久々の全国ツアーなので、皆さんと一緒に空間や時間を共有出来ることがすごく楽しみです。
■ 秦 基博 OFFICIAL WEB SITE
http://www.office-augusta.com/hata/
インタビュー:秋山雅美(@ps_masayan)
Information
HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2020 ーコペルニクスー
03/04(水)埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール
03/08(日)香川・レグザムホール(香川県県民ホール)
03/13(金)兵庫・神戸国際会館こくさいホール
03/18(水)大阪・フェスティバルホール
03/29(日)石川・金沢歌劇座
03/31(火)愛知・名古屋センチュリーホール
04/03(金)福岡・福岡サンパレス
04/07(火)大阪・オリックス劇場
04/11(土)広島・広島文化学園HBGホール
04/15(水)京都・ロームシアター京都
04/19(日)北海道・札幌市文化芸術劇場hitaru
04/24(金)宮城・仙台サンプラザ
04/29(水・祝)岩手・岩手県民会館
05/02(土)滋賀・びわ湖ホール
05/10(日)群馬・高崎芸術劇場
05/15(金)静岡・静岡市文化会館
05/21(木)神奈川・横浜アリーナ
■ チケット料金:全席指定¥7,150(税込)・5/21(木)横浜アリーナのみ¥7,700(税込)
※未就学児童のご入場はできません。
※小学生以上の方はチケットが必要となります。
Release
6th ALBUM
「コペルニクス」
2019年12月11日発売
-収録曲-
□ 全形態共通(CD)
1. 天動説(instrumental)
2. LOVE LETTER
3. Raspberry Lover
4. Lost
5. アース・コレクション
6. Joan
7. 在る
8. 地動説(instrumental)
9. 9inch Space Ship
10. 仰げば青空
11. 漂流
12. 花
13. Rainsongs
□ 初回限定盤(DVD)
「日南市合併10周年記念 “HATA EXPO” in 飫肥城下町」(2019.10.20)
・グッバイ・アイザック
・フォーエバーソング
・花咲きポプラ
・仰げば青空
・Raspberry Lover
・シンクロ
・スミレ
・鱗(うろこ)
・ひまわりの約束
□ Music Video
・Raspberry Lover(Music Video)
・仰げば青空(Music Video)
・花(Music Video)
□ 封入特典 ※全形態共通
・HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2020 ―コペルニクスー CD購入者限定 チケット抽選応募受付案内
・HATA MOTOHIRO CONCERT TOUR 2020 ―コペルニクスー CD購入者限定 ミート & グリート抽選応募受付案内
・「コペルニクス」CD購入者限定 スペシャルイベント参加抽選応募受付案内(東京、大阪の二箇所を予定)
※封入特典の詳細は後日発表致します。
□ Home Ground限定盤 特典
「コペルニクス 」ビジュアルフォトブック 秦 基博による全曲セルフライナーノーツ付