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【レビュー】海蔵亮太『四つ葉のクローバー』

April 22, 2023 10:30

海蔵亮太

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【レビュー】海蔵亮太『四つ葉のクローバー』

2018年6月にシングル「愛のカタチ」でメジャーデビューし、今年デビュー5周年を迎える海蔵亮太が新たな挑戦を始めた。“Anniversary Every Week Project 週刊海蔵”と題して1年に渡り毎週楽曲配信。これは現在の世界記録(54週※)の更新を目指し、最低でも55週という前代未聞のハードルに挑戦となる企画だ。(※レコード会社スタッフのリサーチによる情報)

その記念すべき第1弾シングル「明日への手紙」(オリジナル:手嶌葵)が4月12日にリリースされ、4月19日に第2弾の「四つ葉のクローバー」がリリース。この曲は海蔵自身も「好きなアーティスト」に名前をあげる槇原敬之氏のオリジナルで2012年にリリース。同年放送された阿部寛・山口智子主演のドラマ『ゴーイング マイ ホーム』の主題歌として記憶している人も多いのではないだろうか。(筆者も楽曲含め大好きなドラマだった)オリジナルがケルト調のアレンジだったのに対し、今作はピアノと歌のみのシンプルなアレンジで歌声がより強調されている。海蔵は今まで数多くの楽曲をカバーし、今年2月にはカバーミニアルバム『Communication 2 ~ Covers』をリリース。決してオリジナルの歌い方を意識しすぎず……言ってしまえば“真似”することなく、自らが感じる表現を大切にしている。それは今作もしかり。

槇原敬之氏の楽曲は簡単なようで結構難しい。(特に譜割り)それは筆者が過去、様々なアーティストから聞いてきた共通点だ。この曲も優しい顔して譜割りトラップがあちこちに仕掛けられている。それを海蔵はいとも簡単に……かどうかは分からないが、真っ直ぐ伸びる軽やかな歌声と自らが感じた表現は、心地よさと力強さが絶妙なバランスで混在している。

『Communication 2 ~ Covers』のインタビューで、海蔵は「一つの型にはめて音楽を届けるのは違う」と語っている。その考えは“この目で見ることが出来ないからといって そこにはないともう決めつけたりはしない”という歌詞、そして楽曲の本質に繋がっており、この選曲が単純な企画のひとつではないことを意味しているのではないだろうか。

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