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【レビュー】ポルノグラフィティ『証言』

July 27, 2022 20:50

ポルノグラフィティ

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【レビュー】ポルノグラフィティ『証言』

8月3日(水)リリースのポルノグラフィティ12枚目のオリジナルアルバム『暁』に収録の「証言」が7月25日(月)に先行配信リリースされた。新藤晴一が作詞を、岡野昭仁が作曲を担当し、アレンジャーには江口亮を迎えている。

この世に完璧と言える愛はどれだけ存在するのだろうか。そしてその愛が何かしらの事情で終止符を迎え、喪失感しか残らない自分はどうやって再び歩みを進めれば良いのだろう。ドラマチックなこの曲の主人公はそんな痛哭の闇を彷徨っている。しかし、ただ悲しみが詰まったバラードと言ってしまうのはあまりにも秀逸だ。

BPMは低めと予想するも実は約150と、かなり高め。ヴォーカルメロディやストリングス、ピアノなど壮大な世界観の演出で体内リズムは完全に狂っていた。唯一BPMの高さを感じるドラムは心の機微によってリズムが変わり、主人公の心情を深く掘り下げている。そして何より岡野の声の表現力の高さ!打ちひしがれ囁くような1番のAメロから始まり、内なる想いを剥き出しにするようなエモーショナルなサビ、それでも光を感じるエンディングの力強さ……感情ひとつひとつで歌い方、もっと言えば喉の開き方を変えている。年齢のことを言うのは野暮だが、40代も後半に入りなお伸び上がる声量は驚異ともいえよう。新藤の歌詞もやはり流石だ。愛を失った苦しみはその状況がどうあれ苦しいもので、核心をついた歌詞はともすると愛を失った本人さえ気づいていなかった苦しい心の内を具現化してくれた。もしそれがこの物語のように完璧な愛ではなかったにせよ……。そして“たくさんの星が証言してくれるはず”という歌詞は涙を禁じえない。


この曲が収録されるアルバム『暁』は収録曲の全曲MVを紡いだ映像作品Visual Album“暁”を、8月6日(土)・7日(日)の2日間限定にて全国の映画館での公開を予定しており、先日そのティザー映像がポルノグラフィティの各SNSにて公開となった。「証言」は勿論、アルバムや映像作品含め、ポルノグラフィティから目が離せない。

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