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【レビュー】ゆず『明日の君と』

May 20, 2022 13:00

ゆず

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今年デビュー25周年イヤーを迎えるゆず。「通常とは異なるアプローチで楽曲を作り上げたい」というアイディアから、著書『羊と鋼の森』(2015年刊行)が第13回本屋大賞に選出された小説家・宮下奈都氏にコラボレーションを依頼し完成したのが 「明日の君と」。楽曲の世界観やテーマ・キーワードを双方で膨らませながら歌詞を書き上げ、その歌詞に北川悠仁がメロディーやサウンドを構築。これまでもゆずは様々なコラボレーションを行ってきたが、作詞を他作家のみに委ねることは彼らのキャリアで初の試みだ。宮下氏は「想像していたよりずっと丁寧に、一緒につくっていく実感を味わえました。歌詞を送ったら、少しずつメロディーに乗せて送り返してくださるのです。それを聴いてイメージを膨らませて、また書いて送って、というプロセスを繰り返しました。」とコメント。作詞作曲が違う作者の場合、ともすると歌詞もしくは曲が出来た段階で相手へ丸投げというケースも少なくない中で、宮下氏の言葉どおりこの曲は丁寧に作られたことがわかる。宮下氏の歌詞はゆずの世界を決して崩さず、それでいて新たな風を吹き込んだ。カヴァーもそうだが、普段そのアーティストから生まれる言葉(歌詞)でないものを歌う時、歌声を新鮮に感じたりする。今作がまさにそうだ。恋愛の温かさや切なさ、相手への想いや願いは、北川の歌声や岩沢とのハーモニーで心の奥底まで瑞々しく響いた。歌詞をかぶせて歌う部分も心の機微が見事に表現されている。ましてや今作は5月17日(火)から配信がスタートしたNetflixリアリティシリーズ「未来日記」シーズン2の主題歌。この曲と様々な恋愛模様を前にカタルシスを感じずにはいられないだろう!

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