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THE YELLOW MONKEY、約3年半ぶりの東京ドーム公演!5万人の大観衆の前で復活の狼煙をあげた彼らが掲げた新たな道標!

June 27, 2024 18:00

THE YELLOW MONKEY

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THE YELLOW MONKEY、約3年半ぶりの東京ドーム公演!5万人の大観衆の前で復活の狼煙をあげた彼らが掲げた新たな道標!

2016年の再集結以降、積極的な全国ツアーや19年ぶりのニューアルバム「9999」発表など、より深く厚みを増した圧巻のバンド活動で音楽シーンに君臨。世代を超えて圧倒的な支持を受け、順調な活動を重ねているように見えたTHE YELLOW MONKEY。だが、その先に幾多の苦難が待ち受けていた。

結成30周年ドームツアーの一環として、2020年4月に開催予定だった東京ドーム2DAYSはパンデミックの余波で延期。同年11月3日に同所で公演を行ったが、“観客の声出し禁止”“動員は会場キャパシティの半分以下”という制約を余儀なくされた。

さらに、吉井和哉が喉の病気の治療を受けていたことが公表され、予定されていた昨年12月28日日本武道館でのライブも中止に。それでも、彼らは歩みを止めなかった。東京ドーム公演開催を発表し、オフィシャルサイトでは開演予定時刻へのカウントダウンも始まった。

4月27日、待望のライブ当日。ドームを埋め尽くした5万人の鼓動の高鳴りが、巨大ビジョンに示されたカウントダウン表示と同期する。“その瞬間”が近づくにつれ、誰もが息を呑む。数字が“0”を刻み、「SHINE ON」のタイトルが映し出される。

炸裂する拍手と歓声の中、メンバーに先駆けて2人のキーボーディストが登場し演奏を始める。90年代から彼らの活動を支えてきた三国義貴と、再集結以降サポートを続ける鶴谷崇。特別な夜に相応しい2人の揃い踏みにボルテージが高まる中、4人が舞台に姿を現す。

吉井“LOVIN”和哉(Vocal & Guitar)
菊地“EMMA”英昭(Guitar)
廣瀬“HEESEY”洋一(Bass)
菊地“ANNIE”英二(Drums)

爆発寸前のテンションの中、1曲目は永遠のアンセム「バラ色の日々」。無数のシンガロングが木魂する。「ビューティフル!」吉井の感極まる叫びが“新たな始まり”の合図だった。

間髪入れずに続けた新曲「SHINE ON」では、吉井とエマのツインギターが共鳴し、ヒーセとアニーのリズム隊が骨太かつワイルドなグルーヴを刻む。極上のアンサンブルで、彼らの真髄を魅せつける。

「代表曲のオンパレードで行きます!」という吉井の言葉と共に、デビューシングル「Romantist Taste」へ。エマとヒーセが上手と下手のリフター上から客席を煽る。続いて披露されたのは、ダンサブルなグラムロックナンバー「Tactics」。やや緊張気味だったオーディエンスのハートも冒頭のコールアンドレスポンスで完全に着火し、サウンドに声も体も委ねていく。

吉井が天に向かって大きく両腕を広げた「聖なる海とサンシャイン」でシンフォニックに聴かせた後は、「BURN」「ROCK STAR」と求心力の高い楽曲で恍惚へと誘う。幅広い音楽性のエッセンスを散りばめたセットリストが実に素晴らしい。

ヒーセが興奮のあまり一睡もしていないというエピソードが語られた後、「楽園」「SPARK」と90年代半ばの彼らのメタファーともいえる作品を連投する。ここまでおよそ1時間。本当にあっという間で、誰もが汗だくだ。

ビジョンいっぱいに“コトバ”の断片を描いた最新楽曲「ソナタの暗闇」、マルチパネルを駆使しメンバーの姿を様々な角度から映してみせた「天道虫」。シュールな一面を垣間見せると、一転して王道のロックンロール「太陽が燃えている」で会場をさらに過熱させる。

しばしの余韻の後、場内が暗転しドキュメント映像が映し出される。吉井の病発覚後にそれぞれが抱えた苦悩、葛藤、そして、その先の決意。固唾を呑んで見守る聴衆に向けて歌われたのは「人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)」。歌う吉井に寄り添うように音を奏でるエマ、ヒーセ、アニーの姿がとても切なく美しかった。

「SUCK OF LIFE」で吉井渾身のロングトーンシャウトを放った後、「LOVE LOVE SHOW」では、リミッターを完全に振り切る。興奮と熱狂のピークを超えたあと、吉井が真摯に語り始める。自らを曝け出した、真っ直ぐで胸に突き刺さるMC。厳かな表情で一言一言を受け止めるファンの姿が印象的だった。

本編最後は、ホテルのチェックアウトに人生の終着を重ねた新曲「ホテルニュートリノ」。記憶の中にある深い哀しみをみつめながら、それでも旅を続けて行こう。人生の“本編”はきっと、これからだ。誰もの胸を打つ歌の余韻がいつまでも鳴り響いた。

ステージに注がれるアンコールの渦。いつも以上にリスペクトやシンパシーが強く感じられる“波動”に呼応した彼らは、アコースティックギターを抱えて吉井節全開の「東京ブギウギ」から代表曲「アバンギャルドで行こうよ」へ。“らしさ”をさく裂させると、再集結時の“表明曲”「ALRIGHT」へ。再び前進することを宣言すると、「悲しきASIAN BOY」では炎と金銀の紙テープの特殊効果が彩りを加える。

アンコール最後は、三連符のロッカバラード「JAM」。哀しみを乗り越えていくことを誓った約束の曲で、コンサートは大団円を迎えた。このナンバーがこの夜のラストソングか・・・と誰もが思ったが、4人は改めてもう一度ステージへ。「イエローモンキーは永久に不滅です!」そう宣言し、ライブでの定番曲とも言える「WELCOME TO MY DOGHOUSE」を最後の最後に放ってライブは終了した。

すべてを出し切り肩を組んで挨拶するメンバー4人と、声援を贈り続ける5万人の大観衆。素敵な笑顔にあふれた、純度の高い光景がドーム空間に広がっていた。

「リベンジ、復活、そして新たな開幕」と掲げられた約3年半ぶりの東京ドーム公演。それは彼らの復活祭であり、偉大な歴史にまた新たなエポックが刻まれた瞬間でもあった。

人生を織り成す喜怒哀楽、紆余曲折、光と影。4人のそれぞれの歩みが“音”としてぶつかり合い、“音楽”として昇華されたときにすべては光り輝く。彼らの音楽の眩い輝きが新たな人生の道標を照らした、まさに奇跡の夜だった。

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