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尾崎亜美、松任⾕由実サプライズ登場!SONGS & FRIENDS 第4弾「Music Tree Grow to the SKYE & their family」

May 1, 2022 10:00

SKYE

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尾崎亜美、松任⾕由実サプライズ登場!SONGS & FRIENDS 第4弾「Music Tree Grow to the SKYE & their family」

4月30日、武部聡志が“100年後に残したい音楽”をテーマにプロデュースする一夜限りのプレミアムコンサート“SONGS&FRIENDS”シリーズ第4弾『Music Tree Grow to the SKYE & their family』が、神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催された。

これまでに、荒井由実『ひこうき雲』、小坂忠『ほうろう』、佐野元春『Café Bohemia』と、日本の音楽史に残るアルバムをフィーチャーして開催されてきた。今回は趣向を変え、1枚のアルバムではなく、鈴木茂(ギター)、小原礼(ベース)、林立夫(ドラム)、松任谷正隆(キーボード)という日本のロック黎明期にロック/ポップスシーンを牽引し続けてきたレジェンドたちによる大型新人バンド“SKYE(スカイ)”が『Music Tree Grow to the SKYE & their family』と題し、その遺伝子を受け継ぐ豪華アーティストたちと共に、世代や時代を超越したステージを展開。

今回のゲストに迎えられたのは木村カエラ、さかいゆう、JUJU、土岐麻子、ポルノグラフィティ、水野良樹(いきものがかり・HIROBA)。本イベントのプロデューサー・武部聡志(Pf)が率いるバンドメンバーも、アソシエイト・プロデューサーを務める本間昭光(Pf)をはじめ、河村“カースケ”智康(Dr)、須永和広(B)、遠山哲朗(G)、斎藤有太(Key)、小林香織(Sax)、市原ひかり(Tp)、駒野逸美(Tb)と超一流のミュージシャンがズラリ。

開演時間となり、武部がステージに登場。「1枚のアルバムに焦点を当てて、そのアルバムの世界を次の世代、そのまた次の世代へと繋いでいくのが主旨です。今回はイレギュラーなものになります。なぜなら、今回の主役SKYEは昨年の10月に出たばかりでデビューアルバムの新人だからです。でも、彼らが音楽界の中でどれだけの目に見えない貢献をして、影響を与えたのか。彼らなしには今のシティポップブームは存在しなかった。ニューミュージック、J-POPなんて言葉も存在しなかったかもしれません。そんな音を作り出して、今の音楽に繋げて行ったのが今回の4人のミュージシャンです」と主旨などを説明した。

前半は、土岐麻子、さかいゆう、木村カエラ、JUJUが登場。自身の曲にSKYEのメンバーに関連する曲「風をあつめて」「守ってあげたい」「都会」などを交え、それぞれの個性を活かしたパフォーマンスで魅せた。

中盤は、本間昭光プロデュースコーナーとして、ポルノグラフィティが「サウダージ」と沢田研二の「TOKIO」(原曲でギターを弾いているのは鈴木茂)を披露。さらに、いきものがかりの水野良樹が若い世代の4人の女性シンガー(足立佳奈、荒井麻珠、竹内アンナ、MeiMei)と共に松任谷正隆プロデュースの「YELL」を聴かせ、SKYEのメンバーたちが作り上げてきた音楽の世界が10代、20代にまで届いていることを証明した。

ここで、「あら?私、とんでもないところに出てきちゃったかな?」と、ステージ上に迷い込んできたのがサプライズゲストの松任谷由実。武部とのトークでは、「(松任谷正隆の印象は)超悪かった。『君、ピアノ弾くんでしょう? 俺、いらないよね』って言われたり(笑)」とSKYEのメンバーとの出会いなどのエピソードを語った後、メンバーの名前を一人ずつ呼び、SKYEの4人がステージに登場。

後半は、「Less is more」など、昨年10月にリリースしたアルバム『SKYE』に収録されている楽曲を軸にした“SKYE”のステージ。途中、かまやつひろし、加藤和彦、小坂忠ら、SKYEのメンバーにとっての先輩たちのエピソードを語り、ポルノグラフィティの岡野と「なんとなくなんとなく」、シークレットゲストの尾崎亜美と「悲しくてやりきれない」、前日に亡くなった小坂忠からの指名でさかいゆうと「機関車」を、リスペクトを込めた演奏した。「機関車」を演奏する前、松任谷は小坂忠との出会い、その後の関わりについて語った。「3回バンドを組んでるんですが、いつも誘ってきたのは林くんです。最初に誘われたのが僕が大学1年の時でした。『バンドやんない?』って電話がかかってきて、すぐにOKしました。将来も考えないといけない大事な時期だったので、『これはプロになるってことなのかな』と思いながらも、何もわからないまま連れて行かれたのが小坂忠さんのところでした。初めて会った時、まるでヒッピーみたいでした。『バンドをやるって、忠さんのバックバンド?』と、自分の思うバンドとはイメージが違ったのでちょっと失望しました。すぐに仕事として言われたのが、郵便貯金会館でライブレコーディングだったんです。緊張しました。失敗したら音楽への道が閉ざされると思いましたから。その時に小原くんに会いました。茂はゲストで1曲参加していて、実は忠さんのコンサートでこの4人が初めて揃ったんです」と、SKYEのメンバー集結した瞬間でもあったと明かした。しかし「そこにいて、違和感があった。みんな家族みたいなのに、僕だけ愛されない子供みたいな感じ」と、その時の心境を振り返った。そして、キャラメルママの時に、小坂忠のレコーディングに参加して、『僕は忠さんのことを何も知らなかったんだな』と気付いたという。それから年月が経ち、企画「SONGS & FRIENDS」が始動し、2回目に小坂忠のアルバム『ほうろう』が選ばれた。「今しかない。自分がやらないと」と思い、初めて小坂と正面から向き合ったという。「一生懸命やったんです。なぜ一生懸命やったのか分からなかったんですけど、そのコンサートが終わった時に気付いたんです。『自分は愛されたかったのかな』って。もう一つ、『本物の忠さんが見たかったんだな』って思って、全て腑に落ちました」と、言葉を詰まらせながらも想いを全て吐き出した。本来なら、小坂本人がステージで歌うはずだった「機関車」。それは実現しなかったが、演奏後に「忠さんに届いた気がします」と話した時の表情からはホッとした心情が感じられた。

アンコールでは、「夢で逢えたら」を土岐麻子とJUJUと、「ピンクシャドウ」ではさかいゆうも加わり、「ソバカスのある少女」は鈴木茂とさかいのWボーカルで聴かせた。そして、「タイムマシンにお願い」は木村カエラがリードボーカルを務め、松任谷由実、尾崎亜美、JUJU、土岐麻子がコーラスを担当するという豪華な編成で、観客も総立ちに。そのまま、「Always」を演奏して、アンコールを締めくくった。

観客からの大きな拍手が鳴り響く中、松任谷由実が「普通ならここでWコール(ダブルアンコール)なんだけど、SKYEは新人バンドなので曲がないんですよ。私たちがお引き受けします」と言って、SKYEの演奏でJUJUと一緒に「卒業写真」を歌唱して、本公演の幕が下ろされた。

「今日の出演者の中には10代もいたんです。10代、20代、30代、40代、50代、60代、そして70代。姿形が変わってもDNAの中にある大事な物は受け継がれていくんだなと思いました」。これはアンコールが始まる前に、武部聡志が語った言葉。名曲は時代を超えて、世代を超えて、聴き継がれ、歌い継がれる。これまでの「SONGS & FRIENDS」とは違う“イレギュラー”な回だったのかもしれないが、この企画の主旨を考えると全くイレギュラーではなく、本道に沿った内容の公演だったと言えるだろう。

本公演の模様は7月にWOWOWで放送される予定。

撮影:西岡浩記


■ WOWOW番組情報
https://www.wowow.co.jp/music/songsfriends/

■ イベントHP
http://songsfriends.com/

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