ハナフサマユ、12色の音楽が織りなすアルバム『色彩』インタビュー
October 2, 2024 12:00
ハナフサマユ
大阪府高槻市出身のシンガーソングライター、ハナフサマユ。2024年第2弾配信シングル「栄光に向かって」が関西テレビ(カンテレ)『旬感LIVE とれたてっ!』(毎週月~金曜13:50~14:45 O.A)7月~9月のエンディングテーマに起用された他、関西、近畿広域圏での楽曲タイアップが多く、注目度も高い。そんな中、10月2日に4thアルバム『色彩』をリリース。収録曲の「彩りキャンバス」が、テレビ東京系列『開運!なんでも鑑定団』(毎週火曜20:54~21:54 O.A)10月~12月エンディングテーマに決定し、更に「Be Free」が、テレビ朝日「じゅん散歩」(毎週月~金曜9:55~10:25 O.A)10月&11月エンディングテーマに決定されたことも発表された。「色」がテーマの今作、どんな色を見せてくれるのだろうと楽しみなところだが、ヨーグルトソムリエの資格を持っていたり、大阪土産で有名な瓢月堂のたこパティエ アンバサダーだったりと、パーソナルな部分も気になる存在。今回はそんな、ハナフサマユのパーソナルと、歌への想い、そしてアルバム『色彩』について伺ってみた。
ー アルバムのお話を伺う前に、ハナフサさんのプロフィールに「ヨーグルトソムリエの資格を持つほどヨーグルトが好き」と書かれていたことが気になったのですが(笑)。
そうですよね(笑)。でもヨーグルトソムリエというのは味の違いが分かるとかではなく、例えばヨーグルトに入っている菌によって効果が違うことなどヨーグルトに纏わる情報や知識がテストに出るんです。それをクリアしたらヨーグルトソムリエの称号がもらえるんです。まぁヨーグルト好きが高じてというやつですね(笑)。
ー Instagramでヨーグルト専用アカウントをお持ちですよね。あの中でハナフサさんが作ったヨーグルトの歌がずっと頭の中をループしているし、思わずヨーグルトを買っちゃいましたもん(笑)。
あー、嬉しいです!私の姪っ子も、あのヨーグルトの歌が頭の中で流れるみたいで「なんで新しいアルバムにヨーグルト入れないの?」って言われて(笑)。
ー ボーナストラックに是非入れて欲しかったですね(笑)。即興ソングを作ることが特技とのことで、インスタライブで披露されてるのを拝見しました。あの場で観ている方々からワードを出してもらっていましたが、短時間でワードを繋げてメロディまで出していくなんて、どうやったら出来るんですか?
自分でも実のところ理解が出来ていなくて(笑)。歌詞に関してはどのワードを最後に持ってこようとか、これとこれはセットとして繋ぎ合わせようとか瞬時に考えられるんですが、コードもメロディーも感覚的なものかもしれません。
ー オリジナル曲が400曲を超えるとのことですから、やはり引き出しが多いんでしょうね。
私は音楽理論を習っていないのでそういう部分は本当に無知なんですが、こういうメロディーが良いと思う感覚を大切に、今まで沢山書いてきました。
ー では改めて10月2日リリースの4th Album『色彩』ですが、アルバムのテーマを教えていただけますか?
今回は1曲1曲に色を当てはめました。誰かになりたいという気持ちや憧れって多分誰しもが持っていると思うんですが、なろうとしてもなれなかったりそれが似合っていなかったり……。そういうことに悩みを抱えている人も多いと思うんです。でも絵の具って色々な色があるけれどその一つ一つが必要とされているし、混ぜたらまた違う色が生まれる。必要性があって各色があるんだと思うと、人間だって自分のカラーで生きていくことが出来たら素晴らしいと思い、様々な色の曲を入れたアルバムにしました。
ー 歌詞ではないですが、アザミっぽい青紫のあの花の名前を、この「エリンジウム」という曲で初めて知りました。
実は私も最近まで知らなくて(笑)。メジャーファーストアルバムの『Blue×Yellow』をリリースした時にブルーとイエローのお花をいただいて、そのブルーのお花がエリンジウムだったんです。その時はまだ名前を知らなかったんですが、いつの間にか花瓶の中でドライフラワーになっていて。水を全部飲み干してそのまま綺麗な状態でドライフラワーになっていることに驚いて、“これ、なんてお花やろう?”と思って調べたらエリンジウムという名前でした。調べたら、エリンジウムってドライフラワーにすごく適しているそうなんですよね。決してみんなが可愛いというお花ではないかもしれませんが、すごくたくましかったので、それがこの花の個性だなと感じたことから、エリジウムを人に例えて作りました。
ー 歌詞の「水を飲み干しても咲く」という表現が素敵だと思ったんですが、まさかハナフサさんのご自宅で起こっていたこととは。
そうなんです。私の場合、曲の内容はフィクションが多いんですが、その中にどれだけリアルさを入れられるかというところでノンフィクションが入ってきたりするんです。曲のアイデア自体は日常の、本当に些細なところから生まれて、そのすごく小さなきっかけを膨らませ膨らませながら曲にしていくみたいな感じです。
ー なるほど。先ほどのお話ではありませんが、他の人のように出来なかったり変われなかったりする自分を認められず、落ち込んだり責めたりしがちですが、この「エリンジウム」はそういう気持ちを肯定してくれますね。
そうであれば嬉しいです。私自身も多分そう言い聞かせたいところがあるんだと思います。基本的には寝たら忘れるタイプなんですが(笑)夜中に色々考えたり、人と比べたくないからSNSをあまり見ないようにしたり。そういうところは自分にもあるなと思います。
ー メロディは優しいのにどこか力強さもあって。サウンド面で大切にした点はどういうところでしょう。
私の得意な部分を突き詰めた感じだと思います。沢山の音が入っているのも、それはそれで好きなんですが、どちらかというと歌詞や声が強調されるシンプルな構成が好きで。特にストリングスはとても大切にしている部分なので、アレンジャーの方にはそこを活かしてもらいつつ、音数を増やさない中での遊び方を考えていただきました。なので今まで以上に優しい雰囲気が出やすかったんじゃないかなと思っています。
ー それは「エリンジウム」に限らずですか。
そうですね。今作の中でロックなイメージの楽曲は「憂さ晴らし」のみですが、ドラムもパワフルさは抑えて少し音色を変えてもらったりしました。基本的には全曲一貫してストリングスを大切にして、音の響きもあまり強くなりすぎないように考えました。
ー 続く「彩りキャンバス」に、“12色の絵の具 広げて描くキャンバス”という歌詞がありますが、まさにアルバムを象徴していますね。
この曲は、今回のアルバムテーマを決めた後に作った曲です。その人その人で持っているカラーをどれだけ取り入れるか、どれだけ自分の色を出していくかって、大人になると割と選べると思うんです。勿論大人だから難しいということもありますが、でもそういう意味で、どうやって自分色に染めていくかは自分次第だし、その中で彩りも増やせるんだよと言いたかったんです。
ー 「Be Free」はストリングスも入ったバンドサウンドで、清々しい疾走感のある曲ですね。ライブで盛り上がりそうですし。
それを考えて作りました!実際、他のアーティストのライブを観させてもらった時に、ぐっと上がっていく音ってすごく心が弾むんですよね。それでこの曲を書き出しました。サウンドに関しては先程も触れましたが、ドラムの音色はあまり強くなりすぎないようお願いして、テンポは速いけど爽やかな風が吹いているようにとか、無理難題なお願いをして(笑)。
ー 無理難題(笑)。
歌詞も最初は、鎖や鎧など今よりもう少し強めなワードを使っていたんですが、スタッフに「ちょっと違うんじゃない?」と言われたことで客観的に観ることが出来て、本当に清々しい気持ちで書き直せました。
ー 歌詞を書く上で書き直しを重ねるほうですか?
書き直しますね。最初に出来た形を、“これから何日かかけて完璧にしていくぞ!”とはなれないんです。まずはスタッフに送りたい!まず送って、その後で自分自身で何日もかけてブラッシュアップするんです。やはり自分だけだと見えないことも沢山あるので、自分では最高と思いつつも、人の意見は必ず一回聞いてみます。それを取り入れるかどうかは勿論自分で判断しますが、一回聞いてみてそれが必要かどうか判断したいので、周りからの意見は大切にしています。
ー 客観性は大切かもしれませんね。そういえば「Be Free」の中で、占いにまつわる歌詞が出てきましたが、ハナフサさん自身も人生初の占いに行かれたとか。
行きました(笑)。占いってあまり信用しすぎてないというか、決められたくないみたいなところもあったんですが、友達が誘ってくれたので折角だからと思って行きました。でも心の中では、“どうせ嘘、どうせ嘘”と思いながら聞こうと思って(笑)。最悪なお客ですよね(笑)。
ー アハハ!結果はどうだったんですか?
誰にでも当てはまるところもありつつ、私の本質を見抜いてるところもありつつ。でもすごく楽しく過ごせましたしそういうことの実体験を経て、占いは当たるかどうか正直分からないという感じで、後から歌詞を書き直しました。
ー 実体験が役に立ったというわけですね。ハナフサさんは自身のYouTubeチャンネルでMr.Childrenをはじめとするカヴァー動画をあげていますが、阿部真央さんにも影響を受けているとか。
小さい頃は父の影響で、サザンオールスターズや、渡辺美里さん、あとTRF、その他本当に色々な曲を聴いていました。そんな中で小学生の頃に観た、映画『タイヨウのうた』でYUIさんに大きな影響を受けました。だから自分の音楽のルーツはやはりYUIさんですね。その後、阿部真央さんにハマって、そこからバンドやシンガーソングライターなど、広く聴く中で辿り着いたのがMr.Childrenでした。音楽を聴く理由って何でも良いんですが、例えば高校生の時に失恋したから失恋の悲しい曲を聴いて、“これは自分のことだ。私は悲しんだ、泣いちゃおう”みたいに、私は昔から自分の人生や経験を当てはめて聴くことが多いタイプだったので、私の曲も聴く人の人生を当てはめて欲しいと、いつも考えています。