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「LOVE&PEACEって具体的に何?」高橋優が伝えようとしたこと。アルバム『ReLOVE & RePEACE』インタビュー

「LOVE&PEACEって具体的に何?」高橋優が伝えようとしたこと。アルバム『ReLOVE & RePEACE』インタビュー

November 2, 2022 18:00

高橋優

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ー なるほど。私は意味もそうですが、耳に残る語感を含めコラージュアートのように入り組んでいて面白いと感じました。まぁそうは言ってもやっぱり7と8の間には何があるのか頭グルグルしたけど(笑)。

Foreverがあるんですよ(笑)。でもストレートに愛を歌う曲については「愛って何ですか?」なんて聞かないんでしょう。みんな当然分かっている前提みたいに。でもこの曲ではそういう疑問が生まれるわけですよ。“forever がある”って言っているのに。


ー うー、論破された気になった(笑)。

アハハ!でも僕はこの曲がもっと序盤にきても良いぐらい実は結構好きで(笑)。レコーディングで歌っていてもすごく楽しかったですね。自分の中であまりこういうタイプもなかったし、どちらかというと今までドーナツの物質の部分を沢山歌ってきた気がするんです。だから今回のアルバムは初めて、曲のテーマからどれだけ枝分かれした言葉を詰めていくことが出来るか挑戦しながら作ったかもしれません。


ー 確かに今作はどの曲もテーマから枝分かれした言葉選びが多いですよね。中でも「STAND BY ME!!!!」はサウンドも言葉選びもすべてが本当に大好きで、多分1日ずっと聴いていられるくらい好き!

随分ですね…。


ー なんか今、目がスンってなったよ。

いやいやいや!!あまり褒められ慣れてないから、どういう表情したら良いか分からなかっただけですよ(笑)。1日中聴いていられるなんて言われたら本当に嬉しいんですよ。


ー それなら良かった(笑)。この曲は言葉遊びやギリギリ下ネタの部分(笑)、歌詞をまくしたてるようなテンポなのにしっかりメリハリがある。エレキと声を駆使した少しだけ長いアウトロも面白くて、2分58秒余すところなく楽しめました。

嬉しいです。この曲は昨年の春ぐらいに1コーラスくらい作っていたけどその時には今のリフなどなくて、アルバムを作るにあたって改めて僕が『PERSONALITY』以降に書いた曲をスタッフや制作チームみんなで聴く会でみんなに聴いてもらったんです。その時、こういう曲は次のアルバムに必要かもしれないという話になって、そこから突き詰めて書いてみたんですがイントロはめっちゃくちゃリクエストしました!


ー あのイントロめっちゃくちゃ格好良いですもん。

でしょ、嬉しい!でも大変なんですよ、僕はあまり音楽用語を知らないから(笑)。自分で入れたアコギのデータを池窪さんに送って弾いてもらう地味〜〜なやりとりを何回も何回も繰り返しました。


ー 「あいのうた」もそうですが、言葉のチョイスが結構ギリギリのラインで攻めてる印象はあります。

感情で言うと怒りに近い笑いみたいな。歌詞を書いてる時も、腹は立っているけど笑っておけみたいなテンションだったし。ニュースを観た時に「何だ?」と思うこと沢山あるじゃないですか。でもそこに対してユーモアがないと面白くないと思ったんです。ただ嘆いている曲や、ただ怒っている曲はあまり書きたくなくて。だからこの曲はどちらかと言ったらクスっと笑えるぐらいの感じになれば良いと思ったんですが、今作のキャンペーンで感想を聞くと「1曲目と2曲目がめちゃくちゃシリアスな感じで激しくきましたね。」ということを言ってもらうことが多い気がします。そうそう、この曲って、映画評論家のLiLiCoさんの笑い声やセクシーボイスが入ってるんですよ。


ー LiLiCoさんはアルバムリリース時の生配信イベントにも司会もされていたし、そのお話もしていましたよね。ツアーでLiLiCoさんの生セクシーボイス聴きたい!

ねー。


ー でも曲としてユーモアは必要かもしれないですね。

僕は別に誰かに対して批判も肯定も声を大にして言う人間じゃなくて良いと思っているんです。トム・クルーズ主演の映画『トップガン マーヴェリック』ってすごく流行ったじゃないですか。


ー ええ。残念ながら観ていなかったけど。

超面白かったですよ!僕、トム・クルーズも大好きなんですよ。あの人60歳なのに、あんなにちゃんと自分で体を張ってスタントマンも入れずに戦闘機に乗ってアクションもされる。僕もスゲー!と思って観ていたんだけど、その反面で、“トップガンって相手の基地に爆弾を落とす映画なんだよな”と思っている自分もいて。


ー まぁ確かに(笑)。

自分たちのチームを守るために相手を殺すけど、それでも良い映画って言おうよっていう空気があるわけで。だからこの「STAND BY ME!!!!」の中でも一瞬ブラックにするバランスがあるんですよね。例えば“ミサイルドーン!”というところ。あれってインターネットにある著作権OKな爆発音を探して、その中から5、6パターンくらいをみんなで聴きながら「どんな爆発音が良いかね。」って真剣に話したんですよ。でもこれって結構ブラックだなと思って(笑)。実際にミサイルが飛んできたりしてるこの危ぶまれてる時代に何をやっているんだって。コンプライアンス的にはマズいんじゃないかみたいなことはありますが(笑)、そういう自分の視点はどうしても消せなくて……。映画に感動して泣きながら、でも実際「これ殺した後で抱き合っているね」とか、「あの人が犠牲になったことはあまりフォーカスを当てないのね」と思っている自分がいて。


ー そういうところは優くんらしいね。それこそこの曲で、“ハッピーエンディング?”、“バッドエンディング?”ってクエスチョンがついているあたりにも感じるけど。

「終焉のディープキス」とかもそうですよね。無理やりハッピーエンディングにしてる映画を観ると淋しくなるし。だからラジオとかをやっていると、結構自分は面倒な人間に思われがちなんだろうなって思いますよ(笑)。


ー そう?

何秒間以内に話を白黒まとめられる人がタレントさんとかに向いているんじゃないかな。いや、これは偏見かもしれないけど「つまりはこういうことですね!」って体言止めで終われる人の方が分かりやすいじゃないですか。でも僕はその白と黒の間をいつも考えている部分があって「誰かがこうだったからこうでした。はい終わり!」って言っているのを見るたびに、それこそさっき言ったスンとした目になっちゃうんですよね(笑)。


ー でもそういう人たちも本当にそう思って言っている人ばかりなのかな。

言わされてるんですかね。


ー 言わされてることもあるんじゃない?

あー、怖い怖い怖い!   


ー アハハ!では曲の話に戻ると、アルバムに先駆けて配信された「勿忘草」は本当に心に沁み入りました。最初に印象深かったのが、1音1音一言一言をとても大切に歌ってることなんですが……。

いや、実はこの曲すごく難しいんです、歌うのが。