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「LOVE&PEACEって具体的に何?」高橋優が伝えようとしたこと。アルバム『ReLOVE & RePEACE』インタビュー

「LOVE&PEACEって具体的に何?」高橋優が伝えようとしたこと。アルバム『ReLOVE & RePEACE』インタビュー

November 2, 2022 18:00

高橋優

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高橋優主催の野外音楽フェス【秋田CARAVAN MUSIC FES】が今年、3年ぶりに開催された。このフェスのテーマソングとして書き下ろされた「秋田の行事(feat.柳葉敏郎, 藤あや子, 佐々木希 & 秋田県人会)」だけでなく、9月21日に配信リリースされた「勿忘草」も初披露した。10月5日にはオリジナルアルバム『ReLOVE & RePEACE』リリース。精力的な活動をみせる高橋優は今年4月より文化放送『おとなりさん』の火曜日パーソナリティとして朝の顔にもなった。この日はその『おとなりさん』終了後に『ReLOVE & RePEACE』のインタビューを実施。私たちはインタビューが始まる前、この日の放送でリスナーのお子さんが作られた「うんちマンのうた」のことをずっと喋っていた。そんな雰囲気のまま、ラジオのことやアルバムのことへインタビューは繋がり、アルバムの曲順は関係なく話の流れのまま楽曲のことや高橋が想うことを伺っていった。


ー 『おとなりさん』おつかれさまでした!今日も楽しく聴かせていただきました。

本当ですか?ありがとうございます!


ー 10月5日にリリースされたアルバム『ReLOVE & RePEACE』にも『おとなりさん』のテーマソング「ピーナッツ」が収録されていて、ファンの方たちも喜んでいましたね。勿論私もその一人ですが。

半年間引っ張りましたからね。


ー ラジオから生まれた曲ですが「PERSONALITY」とは違う目線の曲で、一緒に番組を担当されているアナウンサーの坂口愛美さんやスタッフの方々とのやりとりが面白く反映されていますが、最初からこういう切り口で書こうと決めていたんですか?

最初から決めていたわけではなかったですね。ラジオのチームで打ち合わせをした時、話題に上がったことをとりあえずメモしていただけなんです。好きなフルーツとか、柿の種に入っているピーナッツの比率の話とか(笑)。今「PERSONALITY」のお話もしてくださいましたが、ラジオを発信する側の曲を書いてみたいという発想は「ピーナッツ」でも継続されています。歌詞の“あなたから見た世界”と、“ここから見える世界”は、多角的までいかなくて良いけど自分ではない人の方向からの視点を想像したかったし、大切な気がしたんです。その大切だと思った感覚ってチームの人たちと喋った、好きなフルーツや柿の種の話題と割とリンクしたんですよね、僕の中で。勿論柿の種は好きだけど、ピーナッツとの割合がどうかなんて僕的には結構どうでもよくて(笑)。でもその割合がどうだとか、好きなフルーツのトップ3とか真剣に話してるんですよね。「えー、それは違うよ!」とか「いや、桃だろう!」って(笑)。まぁ言い争いではないけれど、大の大人が真剣に話しているのが何か面白くて。でもベクトルを変えれば自分が信じてきた神様と違う神様の話で喧嘩して戦争とか起こるじゃないですか。


ー ええ。

僕の中ではそういうところ全部が繋がっていたんです。曲中で歌っているのはお菓子や果物のことだけど、“分かり合えなくていい”という言葉を僕がこの曲に入れようと思ったのはそういうところからでした。それぞれに好きなものがあって、その話をしているぐらいの感じがラジオだとちょうど良いし、坂口さんと多分分かり合えないかもしれないなって思ったところが逆に未来を感じたんです、この番組にというか……そういう人間関係に。それでもダメかもって思う人もいますけどね、そもそも論で(笑)。


ー そもそも論でね(笑)。

でもコミュニケーションが必要な時って、分かり合える部分を探したり何かを求めたりするじゃないですか。打ち合わせの時に、そういうものを沢山探そうって思えたんです。


ー AMラジオ、しかも朝の番組となるとアーティストというよりパーソナリティとしての面が強く要求される気がします。優くんはいつもインタビューされる側だけど一般の人にも色々な話をきいたり。

僕が色々なことを聞いてもらえるのは、意外とこういう取材の時ぐらいしかないんですよ。取材やキャンペーンで皆さんに曲のことなど聞かれることはあるけれど、自分が誰かに本当に興味を持たれて会話をする機会って意外と少ない気がしていて。それに、“さぁ、オレの話を聞いてもらおうか!”みたいに思ったことって全然なくて。もしかしてこれって良くないことかもしれないけど(笑)、格好つけていてちゃんと格好良い人っているじゃないですか。


ー ええ。

そういう人たちが本当のアーティストなんじゃないかな。


ー でも優くんはかなりアーティストだと思うけどね。

いやいやいや。でもまぁ、きちんと衣装を着させてもらってカメラを向けられたらそれっぽい表情やポーズをとることはこの12年で少しずつ学んできました。口元に手なんか寄せたりして(笑)。でも何だろう、それで自分がいっちょ前のアーティストになったと思えたことは殆どないから、ラジオで一般の方とお話ししている時の方が逆にしっくりくるんですよね。まぁ一般の方だけでなくゲストの方だって喋れば人間同士だからそこが楽しいというか。


ー そこは大切かもしれないですよね。そういう部分も含め「ピーナッツ」は人間同士の会話から生まれたからこそ人間味を感じるし、少し違うかもしれないけれど「雪の筆跡」も人生を雪とクロスさせるあたりは雪国育ちの優くんならではだなと、人間味やそこに生きてる人の目線を感じました。そのせいかあの曲を聴いてると気持ちが温かくなるというか自然でいられる感じがしています。

それは嬉しい。僕は秋田県横手市という豪雪地帯に生まれましたが、考えたら雪の曲を書いたことがなかったんですよね。 世の中に雪の曲やクリスマスソング、北国の曲っていっぱいあるじゃないですか。


ー そうですよね。

そういう曲を聴いて、自分に書けることは何だろうってずっと考えていたんです。雪が降ると美しいみたいな曲になりがちだけど、北国に住んでいて思うのは美しい雪景色というのは家も人も埋まってしまった手が付けられてない状態だから、山とかならまだ良いけど普通にこうして僕らが住んでいる東京が美しい白銀世界に染まった状態って人間が生存していない証拠ですからね(笑)。


ー うわ、確かに(笑)。

人が生きているということは、その白銀世界に足跡を残し、除雪もされる。除雪した雪って最初白くても除雪車のフィルターを通ったり踏みならされたりするし、除雪の時に土も掘り返されるから茶色くなったりするんですよ。それに雨とかと一緒で目には見えない大気の汚れがありますから雪って放っておくと黒くなるし決して美しいだけではないから。でも美しく見えないものは良くないみたいな考え方ってあるじゃないですか。


ー ありますね。

美しく見えなくても本当はすごく素晴らしいみたいなことを結構考えることが多くて、その辺から雪の曲を書けるかもしれないと思えたんです。


ー まさに“真っ白な道 綺麗な景色 ぼくはそれを汚しに生まれてきた”という歌詞がしっくりきました。そして今回のアルバム『ReLOVE & RePEACE』は高橋優濃度がかなり濃いけど、ずば抜けて新しい部分も感じられました。曲順も絶妙なバランスだし。「あいのうた」が1曲目というのは今までのアルバムを考えると納得出来ましたが「あいのうた」から「STAND BY ME!!!!」へのテンションはすごいですよね。なにせ<Love and peace>の後に<SEX&DRUNK>ですから(笑)。

そうそう(笑)。いや、でもずっと聴いてくださっているからさすが分かっていますね。「あいのうた」は絶対1曲目にしたかったし、この2曲の流れはスタッフで賛同してくれる人もいたけど、僕がそうしたいと思っていたんです。