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半﨑美子、デビュー5周年記念シングル「蜉蝣のうた」インタビュー。変わらぬファンへの想いと、楽曲制作の森山直太朗氏の熱意から生まれた新たな一面。

半﨑美子、デビュー5周年記念シングル「蜉蝣のうた」インタビュー。変わらぬファンへの想いと、楽曲制作の森山直太朗氏の熱意から生まれた新たな一面。

May 13, 2022 18:00

半崎美子

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2017年4月5日に『うた弁』でメジャーデビューし、今年でデビュー5周年を迎えた半﨑美子。ショッピングモールの歌姫と言われ、長きにわたるインディーズ時代からファンの思いに寄り添い歌を届けてきた。そんな半﨑のデビュー5周年記念シングル「蜉蝣のうた」のタイトル曲は、作詞作曲を森山直太朗氏が担当。半﨑にとって初の楽曲提供曲は、作り手と歌い手、武部聡志氏によるアレンジがまさに三位一体となって聴く人を魅了する。c/wには歌手、本田美奈子. の思いを引き継ぐ活動「LIVE FOR LIFE」のオフィシャルソングとして本田美奈子. が遺した散文をもとに半﨑が書き下ろし、昨年配信リリースされた「地球へ」と、その合唱バージョンを収録。更に新曲「私に託して」では初めて弾き語り一発録りでのレコーディングにもチャレンジ。今回は5周年を振り返りつつ「蜉蝣のうた」での森山氏と半﨑の思い、そして「私に託して」について伺ってみた。


ー まずはデビュー5周年、おめでとうございます!

ありがとうございます!


ー ちょっと遡ってみたんですが、デビューを発表したのは2017年1月8日、横浜LOOPでのNew Year Liveでしたね。その時のことを覚えていますか?

すごく覚えています!個人で活動していた頃からずっと応援してくれた方たちが来てくれたんですが、皆さんもう家族に等しいのでそういう方たちを前にデビューを発表した時は皆さんも私も大号泣で。口に出してはいなかったけど、私のメジャーデビューを望まれていたんだなと一心に感じた瞬間でしたね。ダルマに目入れもしたんですよ。


ー 目入れ!縁起が良さそう。でもまるで家族のようなファンの方たちと一緒に泣きながらデビューを喜べるって良いですね。

ええ。だから本当に忘れられないです。


ー デビューすると、レコード会社やプロデューサー、イベンターなど、制作やコンサートにまつわる人や音楽環境はかなり変わったんじゃないですか?

それこそ武部聡志さんや亀田誠治さんなどにアレンジして頂いたのはデビュー後の大きな変化や経験なんですが、例えばサポートミュージシャンやアニメーションでミュージックビデオを作ってくれている半崎信朗さん、それから音響や照明などのステージ周りは、インディーズ時代の頃からのチームなんですよ。なのでデビューしたことでそういう体制がガラっと変化することはなかったし、みんなで一緒に作っていく形も変わらなかったので、それはすごくありがたかったんですね。ただレコード会社に所属したことでの変化は大きかったです。インディーズの頃はレコーディングも含めて自分一人でやってたので仕切るのが大変でしたし、客観的に見ることが難しかったんです。やはりレコード会社の方たちはプロフェッショナルなので何かにつけて、“なるほど。こういうことか!”って少しずつ学んでいきました。それまでは自分の感覚で動いていましたし、そもそも今まで組織に所属する経験がなかったので、若干野性味溢れていたというか……(笑)。


ー 野性味(笑)。

でもレコード会社の方たちと一緒にやっていく上で、会議など含めなるべく色々なことに参加させて頂いたので、仕組みや手順、ある種の慣習なども割と早めに気付かせてもらえました。


ー レコード会社の方を前に若干聞きづらいのですが(笑)今までは全部自分で決められたことが、色々な人の手を介することでもどかしさを感じたりすることはなかったですか?

あったかもしれないですが、割と……というか、かなり尊重してくれていて。まぁ私は結構頑固な性格なので(笑)やりたいことや向かう方向みたいなものが明確だし、それを分かった上で向き合ってくれています。なので方向性が全然違ってぶつかることは殆どないですね。最初は多少ありましたが、互いに理解を深めていくうちにどんどん同じ方向に向かっていけました。イベントのブッキングって大体数カ月前から決めにかかるじゃないですか。


ー ええ。

インディーズ当時はショッピングモールでのブッキングを自分一人でやってたので、4月にデビューしてからも、6月ぐらいまでは私が個人でブッキングしたショッピングモールのイベントが入っていたんですよ。


ー ああ、なるほど!

その時までは直接私が電話して入館申請を出していたので、そういう細かい部分の役割分担や交代していく作業に多少難しい部分を感じたことはありました。以前もお話したかもしれませんが、私も自分でやってた分、やっぱり色々ことが気になってしまうんですよね(笑)。“あ、ポスターの貼る位置が……粘着も、もうちょっと強い方が…”みたいな(笑)。


ー 導線が…とか(笑)。

そうそうそう(笑)。そういう一つ一つが最初は気になったりもしましたが、今のレコード会社のスタッフたちと一緒にやっていくうちにちょっとずつ分担し合えるようになってきたし、私もお任せ出来るのはすごくありがたいんですよね。自分のステージにも集中できますし。


ー そういう中で、半﨑さんご自身の音楽への向かい合い方で変化した部分はありますか?

深まっていった感じですかね。でも根本は変わってないかな。当時から広く沢山の人に届けるというより、一対一の関係というか、たった一人の人に深く届ける思いで曲を書いていたので、例えば「サクラ〜卒業できなかった君へ〜」のような楽曲を発売することや、そういう楽曲をショッピングモールで丁寧に届けていく活動などは自分の音楽性そのままというというか、音楽との向き合い方がそのまま表れていると思うんですよね。デビューのタイミングだったかなぁ……HMVでサイン会をさせて頂いたことがあったんですが、時間も限られているからたとえお客様が泣いていてもどうしたって時間で区切られちゃうから1回目は「ハイ、じゃあ次の方」みたいな形になったんです。無論仕方ないことだって分かるんですが「私としてはそういう形ではなくて、時間とかも関係なくじっくり対話したい。」とお伝えしました。そこからはありがたいことにそのスタイルをとらせてもらえたので最初の一回だけだったかな。コロナ禍で今はまだ出来ていませんが、サイン会が何時間と続いてもそれも見守ってくれるスタッフには感謝ですし、じっくりお客様と対話できる時間を大切にしたいです。


ー そこは半﨑さんにとって大きな部分ですもんね。

そうなんです。私にとっては生き甲斐でもあるし、お客様もきっとそれを望んで来てらっしゃるのが関わるスタッフさんたちにも伝わって「じゃあこういうスタイルで、こういう風に活動していこう。」って認識し合うというか。そうやって5年間積み重ねてきました。


ー そして5周年を記念するシングル「蜉蝣のうた」のタイトル曲は森山直太朗さんが作詞作曲ということで、初めての楽曲提供曲ですね。

はい。5周年なので何か新しくチャレンジしたいと思った時に、自分の書いた作品を発表するのは勿論ですが、逆に楽曲提供させて頂くことはあっても、提供曲を歌ったことがなかったと気づいたんです。なので歌手としての表現力含め、自分の幅を広げる意味でもそういう試みにチャレンジしてみたいと思ったんですがその時、真っ先に頭に浮かんだのが直太朗さんでした。以前から交流はあったんですが音楽制作で関わりがあったわけではなかったので、もし書いて頂けるのであれば是非お願いしたいと思ってドキドキしながらお願いしたところ「半﨑さんの5周年の記念だったら、是非!」と快諾してくださって。もう本当にありがたたいお言葉でした。


ー 半﨑さんからストーリーやサウンドについて最初にオーダーを出したんでしょうか。

唯一、私は今年再出発を意味する「再」をテーマを掲げていることだけはお伝えしました。でもそれだけですね。具体的なオーダーを全くしていない中で、直太朗さんが逆にどんな曲を書いてくださるんだろうと考えていたんですが、出来上がってきたのがこの「蜉蝣のうた」でした。


ー 半﨑さんは森山さんが歌われたデモ音源に対して「一度聴いたら余韻がずっと残る、揺るぎのない音源」と感じられたようですが、初めての楽曲提供、しかも「揺るぎのない音源」と感じて、ご自身が歌う時に悩まれませんでしたか?

かなり悩みましたし、デモは第一声、直太朗さんの歌声で始まったので、楽曲そのものの前にまずその歌声に引き込まれると言うか。今回のデモもそうですが直太朗さんの歌って、言葉の外側にあるって言うか何か言葉を越えてくるものがあって、それが自分の中で響いたんですよね。自分が歌わせて頂く体で聴くと言うより、単純にまずリスナーとして楽曲に感動しました。で、その後に“あ、この曲を私が歌わせて頂くんだ!”って我に返って(笑)。あまりにも完成されているというか、直太朗さんの世界観を半﨑美子の世界で歌うことができるのか、かなり不安はありましたね。


ー でもおこがましいかもしれませんが、歌というか声の表現が今までで一番きめ細かく感じました。

でもそうかもしれないです。実際これまでは、自分の歌を自分の好きなように歌ってきたので、知らないうちに型みたいなものが出来ていたと思うんですね。ただ今回直太朗さんは、楽曲を提供だけではなく歌のディレクションもしてくださったんです。なので直太朗さんのアドバイスがこの歌に反映されてると思います。