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海蔵亮太『愛のカタチ』インタビュー

海蔵亮太『愛のカタチ』インタビュー

June 8, 2019 12:30

海蔵亮太

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ー 切ないけど気持ちが温かくなれますね。

とは言え、僕…実はおじいちゃんのことあまり好きではなくて。


ー え?そうだったんですか?

まぁ、そう言い切ってしまうと語弊がありますが、おじいちゃんは厳しくて頑固だったんです(笑)。僕はおばあちゃん子だったから、おばあちゃんに強い態度を取るおじいちゃんを、子どもながらに嫌だなと思っていて。でも僕ら孫たちと遊ぶ時は結構豪快だから、そういう時は楽しいんです。何ていうか…嫌いだけど好き。昔は筋肉隆々だったのに、年を取るにつれで段々華奢になってきて、亡くなる一年前くらい「そろそろ覚悟を決めないと」と言われて会いに行ったんです。でもその頃はもう寝たきりだったので身体が更に細くなっていたから、そんなおじいちゃんの姿を僕自身なかなか直視出来なくて…。それに、うちの両親や僕たち孫が行っても、「どちら様ですか…?」みたいな目をして、僕も忘れられているんだと思いながら毎回自己紹介して。でもおばあちゃんが来るといっつも喧嘩するんです(笑)。しかもおばあちゃんの名前だけは覚えているんですよ。


ー まさにこの曲の歌詞そのものじゃないですか。

本当にそうなんです!でもあんなにいつも喧嘩ばかりしていたおばあちゃんが、出棺する前におじいちゃんの棺にもたれ掛かって泣き崩れていたという話を聞いて…喧嘩とかしていて仲が悪いように見えたけどやっぱり好きだったんだな。おじいちゃんは本当に幸せ者だと思います。ここ一年くらいでそういう経験が僕のプライベートでもあったし、「愛のカタチ」を歌ってきた分、色々な実体験とこの曲が重なる部分が日に日に増えてきたし、おじいちゃんが亡くなった今、この曲を更に大切に歌っていきたいと感じられました。だからこそ今回のリイシューはやっぱり嬉しかったです。


ー この曲は中村つよしさんがオリジナルですが、中村さんとはお会いしましたか?

残念ながらまだお会いしたことがないんです!もしお会いすることが出来たなら感謝を伝えたいですね。


ー 今作はプレミアム盤とスペシャル盤での2パターンリリースですが、プレミアム盤に収録の「Just a friend」は今までにないダンサブルな楽曲ですよね。海蔵さんの声にすごくフィットしていましたし、シンガーとして海蔵さんの新たな表現力も感じられました。個人的にもすごく好きです。

ありがとうございます!僕自身、この一年、色々な曲を歌ってきましたが、まだまだ様々なジャンルに挑戦してみたい気持ちがあって。例えばデビュー10年経って全く違うジャンルの音楽に挑戦するって結構ハードルが高いと思うんですが、まだ1年目なので色々なことに挑戦する機会がある分、自分が知らない自分に会ってみたいです。


ー この曲はMAY’Sの片桐舞子さんが作詞を、河井純一さんが作曲を担当。MAY’Sと言えば、海蔵さんの1st Album『Communication』でカバー曲のアレンジとヴォーカルディレクションも担当されているし、彼らの楽曲やカバー曲のデュエットでもコラボしていて、それこそコミュニケーションはバッチリなのでは?

そうなんです。いつもすごく良くして頂いています。だから色々チャレンジしたい気持ちを正直に伝えました。そしたら「海蔵くんの違う側面を見つける手伝いをするよ!」と言ってくれたので、「あんな感じが良い」「こんな感じはどうだろう」って色々話し合いながら作りました。だから僕にとっても思い入れが強い曲なので、そう言ってもらえてすごく嬉しいです!

ー レコーディングはいかがでしたか?

結構スムーズにいきました。歌詞のテーマを聞いて「そういうテーマならこういう歌い方の方が良いですか?」などのやりとりをしながらでしたが、作家さんとシンガーというよりは、僕とお兄ちゃんお姉ちゃんという感じで(笑)本当にリラックスした雰囲気で進められました。


ー そういう雰囲気って声にも出ますからね。

絶対出ると思います!聴いている人も分かると思うし。そういう意味ではこの曲はレコーディング含め、楽しかったです。


ー「愛のカタチ」は家族愛でしたが「コーヒーカップ」は恋人への一途な愛情を歌った曲。この歌詞では「口には出せずにいるけど 守り続けるよ」とありますが、海蔵さんは思ったことを口にするタイプですか?

僕は断然口にするタイプです。言わないと分からないし(笑)。分からなくないですか?


ー 分かっているつもりでも、案外分かっていなかったりしますよね。

そうそう。僕も言うかわりにそちらも言って下さいっていう感じ(笑)。それが恋人同士の関係だけでなく、友人だろうが仕事仲間だろうが思ったことは言います。それで色々ね…ごちゃっとした経験は何度かありますけど。人間関係って難しいですね(笑)。でも「後から言うなよ」って言われることは苦手なので。ただそうは言っても僕は自分の意見をコロコロ変えてしまう部分もあるので「あの時ああ言ったよね」と言われても「あの時はそう思っていたけど今はこう!」って変わることが度々あるので、それはちょっと申し訳ないなと…(笑)。


ー アハハ、そうなんですか?

ええ(笑)。


ー「コーヒーカップ」の主人公像と海蔵さんは違うようですが、自分の中で違う考えや人物像を歌う時はどうやって歌を自分の中に取り入れているんですか?

こういう人もいるんだ…と主人公像を想像しながら歌います。ただ自分と違っても変に引っかかることはありません。


ー では、どういう楽曲を収録するかや、ご自身でこういう曲が歌いたいと具体的に提案することは?

結構あります。「Just a friend」も結構細かく伝えましたし、上がってきたデモも何度か修正してもらったんです。「コーヒーカップ」もAメロの歌詞とか全然違いますし。


ー そうだったんですか?

最初はもう少し昭和を感じさせる歌詞だったので、それは平成、令和を生きている自分には合わないと思ったんです。だからもう少しポップというか、自分の身の丈に合った歌詞にしてもらいたいと要望しました。


ー 具体的には?

テーマとして、「例えばコーヒーカップというものから二人の恋愛を広げられるようなラブソングの方が歌いやすいんじゃないですか?」と提案させてもらったところ、そのままコーヒーカップというワードがタイトルや歌詞の軸になったんです。メロディに関しても、イントロはもう少しこうして欲しいとか、サビのフレーズはもっと音を作って欲しいとか結構考えていることは言うので、僕は決してお任せタイプではありませんね(笑)。結局歌うのは自分なので、自分が聴いていてワクワクしたいし、自分が歌っていて楽しくなりたいというのが一番。そこでワクワクしたり楽しくならなかったら歌っても辛いだけなので、そういう意味では後になって後悔するよりも、その場で言って後悔する方が良いと考えるタイプです。