松室政哉『ラブソング。』インタビュー

たとえそのアーティストのことを知らなくても、音楽をふと耳にしただけで気持ちが留まることがある。松室政哉というアーティストはそういう力を持っていると思う。スタンダードでありながら、決してありきたりではないポップセンスとグルーヴ感。ヴォーカルとしての表現力もたぐいまれだ。ポップシーンでは昨年11月のレコーディング合宿から彼に密着。いよいよ今年2月24日、ニューシングル『ラブソング。』がリリース。今回は松室政哉というアーティストのルーツやレコーディング合宿の話、今作について伺ってみた。


ー 昨年のレコーディング合宿から密着はさせて頂いているものの、実は松室くんが音楽を始めるきっかけには触れていなかったなと思って。

そうですね。遊び的に曲づくりを始めたのは小学校4、5年の時からです。


ー 曲作りのきっかけは？

最初はサザンオールスターズですね。


ー 好きですもんね。

ええ。親の影響で好きになって、そこから自分も曲を作ってみたいなと思うようになり、カセットデッキで録音していたんです。その後、中学校3年生から高校までずっとバンドを組んでいました。


ー バンドではオリジナル曲を？

はい。カヴァーは殆どやったことがなかったですね。


ー その頃から音楽の世界を目指そうと？

「自分は音楽の世界に進むんだ！」みたいな決意はなかったんです。中3でバンドを始めて、その後ひとりで音楽活動を続けて…の延長線が今なので。だからつい最近かもしれません。そう思い始めたのは。

ー 実は先日、松室くんの担当制作ディレクターである半田さんのインタビューをさせていただいたんですが。

読みました。


ー ありがとうございます！その時も話に出たんだけど、松室くんが株式会社オフィスオーガスタ（以下：オーガスタ）にデモテープを送って、その後半田さんと新宿でご飯を食べたとか。

そうそう。 新宿の銀座ライオンで（笑）。2014年の1月だったかな。


ー その時はどういう気持ちだった？

（横にいる半田氏に目線を向けながら） まずこの人が本物か分からないじゃないですか？本当にオーガスタの人なのかなって。


ー たしかに（笑）。

最初は本当にそんな感じでした。自分も上京してきてから音楽をちゃんとやっていなかったし、何も分からなかったですからね。


ー 上京は2012年でしたっけ？

はい。上京した当初は根拠のない自信で「まぁ、どうにかなるやろ。」と思っていたんですが、二年くらい積極的な音楽活動をしていなくて。今考えると、もっと出来ることはあったんじゃないかと思いますね。


ー そこから【Augusta Camp2014】のオープニングアクトとして、いきなりの大舞台。緊張したのでは？

二曲歌わせてもらったんですが、本当に覚えていない位に頭が真っ白になって、後で映像を見て「あぁ、ちゃんと歌えていた。」とホッとしました。というか、緊張しすぎて前日からの記憶もない位（笑）。


ー そうなんだ（笑）。でも翌年【Augusta Camp2015】のオープニングアクトとしてステージに立った時は、もう少し余裕があったのでは？

そうですね。昨年は比較的、お客さんの表情やリアクションも見ることが出来ました。


ー 昨年のことを少し振り返りたいのですが、7月に『オレンジEP』をリリース。タイトル曲の“オレンジ”をはじめタイアップも多かったですよね。

親孝行感が一番ありますよね 、テレビやラジオで僕の曲が流れるというのは。勿論僕自身も嬉しいですが、ちゃんと音楽をやっていることを分かってもらいやすいですから。ただその分、初めて知らない人が聴く機会でもあるので、良い意味での緊張感はありました。


ー 友だちから連絡があったりは？

ありました。そういえばこの間、久しぶりに高校の頃の友だちと会ったんですが、結構みんなテレビやラジオで僕の曲を聴いてくれて。やっぱり嬉しいですね。でも友だちは、ラジオで僕の曲が急に流れたから、ビックリして一端スイッチを切ったって言っていました（笑）。


ー アハハ！

ただ、友だちも家族もみんな応援してくれているから、本当に恵まれていると思います。