松室政哉『ラブソング。』インタビュー

February 23, 2016 19:30

ー 特にこのメンバー＜Drums：相川雄太／bass：植松慎之介／electric guitar：戸塚泰貴（Suchmos）／piano：松浦はすみ（メロディーキッチン）＞は【Augusta Camp 2014】から一緒に演奏しているんですよね。

はい。この曲は合宿の半ばにレコーディングしたんですが、ああだこうだ言いながら、かなりリラックスして録音出来たと思います。最後にみんなで撮った写真でもみんな楽しさが伝わってくる笑顔をしていましたし。


ー c/wの“ラストナンバー”はすごくカッコいいですよね！

ありがとうございます！この曲は、冒頭の「Turn up the radio」という言葉が一番最初に浮かんだんです。その時点ではまだ曲として何も出来ていなかったんですが、その言葉から広げていきました。


ー どこかで松室政哉＝バラードみたいな印象があったんだけど、こういうダンスナンバーでは全く違うグルーヴを感じさせてくれますよね。

作るという意味での好みはこういう曲の方が好きなんですよ。それこそサザンオールスターズではないけれど、ブラックなナンバーがあるかと思えばバラードでも魅了される。そのギャップは曲作りをしていても楽しいです。


ー「Turn up the radio」という歌詞から、どうやって世界観を広げていったんですか？

ダンスナンバーなので、ミラーボールが煌めいているというイメージが思い浮かんだんですが、そういう音楽が流れているところに行くわけでもないから、それも僕とは縁のないものだと思ったんです。じゃあ、いつそういう音楽を聴いているかと言うと、家でヘッドフォンをして聴いている。“ラブソング。”もそうですが、歌詞だけ見ると内向きなんです。一人で聴いている内向的なイメージ。ただサウンドがキラキラしているので、そのギャップの面白さを感じてもらえればと思います。


ー「うなるベースライン　神経質なカッティング」とあるけど、自分の中で意識した曲は？

それこそEarth,Wind&Fireのような往年のアーティストの、誰が聴いても知っているような曲ですね。歌詞にも「有名なリフ」とありますが、そういうブラックミュージックをイメージしました。


ー 松室くんがサザンオールスターズ好きというのは知っていたけど、他にはどういうアーティストが好きなの？

最初はやはりサザンから入って、桑田（圭祐）さんが影響されたルーツミュージックを辿っていきました。THE BEATLESもそうですし、その他ロックも色々聴きました。でも洋楽で一番心地よかったのはブラックミュージックだったんですよね。


ー 歌詞にある「現実逃避だって現実の一部なんだよ」という発想がすごく新鮮で興味深かったです。

ありがとうございます。その部分を言って下さる方が多くて。ヘッドフォンでそういう曲を聴いているのは、多分現実逃避なんですよね。でも実際には現実逃避なんて絶対に出来ないじゃないですか。でもその時間があるからこそ、次の現実を生きていける気がするんです。


ー 現実逃避ってネガティブに考えられがちだけど、そう考えるとアリなんだなと思いました。

そうそう。僕も現実逃避したいと思う時は音楽を聴いたり映画を観たりするんです。当然頭の中は問題になっていることでいっぱいなんですけど、それでも瞬間的に違うものに身を寄せても良いのかなって。

ー そういえば松室くんは映画も大好きだけど、最近はどういう作品をよく観ているの？

最近、ホラーばっかり観ています。


ー ホラーか…。苦手なんだよな（苦笑）。

僕も怖いんですけどね（笑）。でもホラー映画って、いつ何が出て来るか分からないから、あまり余計なことを考えずに観られるんですよ。


ー なるほど！映画好きなのは昔から？

昔から好きでしたけど、一年に何百本も観出したのは大学に入ってからです。大学で映像の勉強をしていたのがきっかけだったんですが、ちょうどその当時レンタルショップでバイトをしていたんです。社員割りで少し安く借りられるから毎日借りて観ていましたね。映画は音楽以上にアイデアが大切だから、たまに「この監督、アイデアが剥き出しだな。」と思う作品に出会うんです。色々なしがらみも振り切るくらいにアイデア剥き出しなを作品を観ていると、憧れというか、すごいなと感じます。だから曲づくりでも触発されることが多くて。


ー そういえば自分でも映像を撮ったりするんですよね？

最近は撮ってないですが、でもやりたいですね。ミュージックビデオとかは難しいけど、自分で撮って自分だけが楽しむレベルのものとか。


ー ショートムービーとかは？

多分、自分の音楽とはまったく違う方向性になると思います。もっと暗ーい感じ（笑）。でもアイデアの中ではそう言う部分がうずいているかも。そういう意味でも何か作ってみたいですね。


ー 楽曲の話に戻りますが、“Happy Prime Day”は、【Matsumuro Seiya LIVE 2015 -Trailer-】のライヴヴァージョン。レコーディング合宿で眼を輝かせながら演出を考えていた時の表情が忘れられないです！

そういうのを考えている時が一番楽しいかも。こう感じてもらいたいと思うことがしっかり伝わったと思うので、嬉しかったです。