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高橋 優、ニューシングル『ありがとう』& ニューアルバム『STARTING OVER』インタビュー

高橋 優、ニューシングル『ありがとう』& ニューアルバム『STARTING OVER』インタビュー

October 23, 2018 18:30

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ー いいね(笑)。

それに、【全国LIVE TOUR 2017 – 2018「ROAD MOVIE」】で全国37公演回らせて頂いた時、さほど大都市でない会場でも、沢山の方が観に来てライヴを全力で楽しんでくれている景色を見させてもらった時に、すごい幸せな反面、これで満ち足りたと思っているならもう終わりだと思ったんです。「僕の旅はゴールを迎えて終わりました。終了。さよなら高橋 優」みたいな。その気持が結構怖くて。しかも大きくて…。でもそう思っている自分にやっぱり疑問を持っている自分もいて。勿論やりたかったことではあるけれど、それが全部じゃないよねって自分に問うてみたんです。まだまだ表現力をつけなくてはとか、書きたい曲や、やりたいライヴが山程あるのに、希望がいくつか叶っただけで達観したおっさんみたいになるのは、とてつもなくダサいことに思えたんです。僕の場合はね。だから今までの高橋 優を一回ぶち壊そうと思って。でもそれは自分の中での話だから、周りからしたら変わらないかもしれない。ただここら辺でもう一発スタートダッシュじゃないけれど、今からメジャーデビューするくらいのテンションでやらないと面白くないと思ったんです。


ー 自分の中でどんどん目標値が上がっていったのかもしれないし、優くんは常に自分を客観視するでしょう。「こんなんで自惚れるなよ、俺」みたいな。

うんうん。確実にありますね、それは。


ー じゃあ、初心に立ち返って「高橋会」(高橋という名字の人だけが集まる会)から始めなきゃ(笑)。

うわ、「高橋会」 懐かしい!今でも形を変えてあるんですよ。


ー まあそれは冗談としても、そうやって自分を振り返ることがあったと。

そうです。そうやって初心に立ち返って今回のアルバムは作りました。だから気持ち的にはデビュー・アルバムのつもりで作っています。


ー では実際アルバム曲についても伺いたいのですが、まだ途中ということでラフミックス段階を数曲頂いている状態なんだけど。

すみません、遅くて。


ー いえいえ(笑)。

まだ出来たてホヤホヤ…でもない。絶賛アレンジ途中(苦笑)。


ー “ありがとう”とは違うけど、“キャッチボール”も、頑張っていることを見ていてくれるという歌詞に心が温かくなりました。

この曲を書いたのは今年の初めだっけな。あるタイアップのお話を頂いた時にいくつか曲を書いていたんです。結局この曲はそのタイアップ曲にはならなかったんですが、先程も少しお話した通り、あまりタイアップの内容に寄せすぎるのも良い作品にならないと思って、自分がその時思っていることを書きたいと考えていたんです。昨年末に近所でリアルにちょっと大きな事件があって、規制線が貼られているのを見たんです。とはいえ今、そういうことってどこにでもあるじゃないですか。テレビのニュースでやっていてすごく遠い場所で起こっている気がしたけど、実はめちゃめちゃ近所だったり。


ー ああ、あるね。

その規制線やブルーシートを目の当たりにした時、規制線の中の人たちは今頃すごく泣いていたり大変なことが起きているのかなって思ったのと同時に、心のどこかでそれが知り合いの人じゃなければ良いなという利己的な自分が出てきて。


ー 歌詞にも「利己主義」という言葉が出てくるけど、正直言えば殆どの人はそうだと思うんだけど。少なくとも私だって優くんと同じく「知り合いじゃなければ」って思うし。

やっぱりそうなんですかね。でも曲の発想としてはそういう出来事がきっかけでした。


ー サウンドは音数も少なくてシンプルだけど、その分メロディが引き立つし、ギターの音色がクリアで清々しくて好きです。

ああ、嬉しい!この曲のアレンジは紆余曲折を経ていて、最初はもっとキャッチーだったんです。ポップスとして綺麗な曲に仕上げてもらったんですが、それが僕は全然気にいっていなくて…。スタッフも満場一致でそのアレンジが良いという感じだったのに、僕だけが納得していなくて、止まっている時間が結構長かったんです。


ー そうだったんだ。

でも、タイアップも別の曲で決まったので、この曲はアルバム曲かシングルのc/wになるかもしれないから、みんなの背負い込んでいた肩の荷が少し降りたのか、「今の状況だったら高橋が言っているアレンジで試すのも良いかも」となって。前のアレンジでは音数もすごく多くてゴージャスだったのに対して、今の音数の少なさが僕の中では絶対的にしっくり来たので、どちらかというと引き算。引き算で今のアレンジになったんです。だからこの曲のアレンジが良いって言ってもらえるのは本当に嬉しいです。でもしんどかったです。


ー しんどい?

アレンジに対して感覚でしか言えない自分と、音楽を知り尽くしている人達との話し合いって。知識も経験もみんなの方があるし、それに対しては納得も出来るから。でもそれでも違うと思った時、感覚でしか言えないもどかしさ(笑)。ただ「絶対この方が良い」って言わないと自分の曲じゃなくなっちゃうから。それはミュージシャンの人たちと「あるある!」って最近よく話題に出るんですが、アレンジャーはそれこそ音符の…譜面上のプロなので、わざとでないかぎり音の組み合わせで不協和音が生まれることをきっちり避けるし、レコード会社の人たちは音楽の歴史のプロだから「こういう曲の書き方だと売れない」など、それぞれ色々な見地から発言してくださるので、全部本当にありがたいんです。でも過去の統計と同じくらい、どうなるか分からない未来を僕は見ないといけないと思うんです。


ー どうなるか分からない未来ね。確かに重要なことだと思う。

出来るだけ聴いたことのないことや、チャレンジしたことないこと、ズレていること、歪なものを作りたいと思っちゃうんです、僕の場合。勿論それがすべてではないですが、特にこの“キャッチボール”だけでなく、今回のアルバム自体、僕のそういう感覚をスタッフにもアレンジャーにも沢山ぶつけました。


ー “ストローマン”のAメロのフロウも好きです。歌詞でもどこかおかしくなった世の中のカオス感が出ていて。

この曲はイントロのギターリフから思いついたんです。それをしばらく弾き続けている中で、日本語の歌詞を乗せるのが難しいかなって考えていたんだけど、そこにゴロゴロした日本語を入れていくのが、ある意味僕らしいというか見せ場になるのかなと。でもそんな風に色々考えながら一ヶ月くらいリフだけ温めていたんです。ただ、フロウと言ってくださった部分のイメージは何となくあって。その頃、日本ではちょうど記録的な酷暑が続いていた時期で、それこそ壮大なことを歌うよりも、めちゃくちゃ目にするものや肌で感じていることを歌詞にしていきました。“こどものうた”と書き方としては同じなんです。


ー なるほど。あと“若気の至り”はストレートに甘酸っぱいですね。

気持ちの名前…例えば「恋してる」とか「会いたい」「好き」とか、そういうのをなるべく排除して情景描写と気持ちの断片だけでラブソングを書けないかなと思っていて。 “若気の至り”というタイトルにしたのも、僕の中ではまさに若気の至りのワンシーンを曲にしようとしたんですけど、親しいスタッフとか沢山聴いてくれている人の中には「なんでこの歌詞で “若気の至り”?」って聞いてくれるのが逆に嬉しくて。

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