高橋 優、ニューシングル『ありがとう』＆ ニューアルバム『STARTING OVER』インタビュー

October 23, 2018 18:30

ー ああ、あったね。そういう言葉。

でも今は言わなくなったし、誘いすぎればパワハラだって言われる変な時代になっちゃったなって感じている部分が自分の中にちょっとあって、それを面白可笑しく歌詞に出来たら良いなと思ったです。


ー 面白可笑しさの中には、ある意味哀愁も感じるけど、ただ面白いと思ったのは「三浦くんに誘われたから会えないとか」。

どの三浦くんかわかりませんけどね（笑）。


ー まあね（笑）。B’zの“恋心”をちょっと思い出しましたよ。

あー、「松本に相談しようか」でしょ。大好きな曲です。僕、ついこの間【B’z LIVE-GYM Pleasure 2018】を観に行ってきたんです。


ー いいね。どうだった？

良かったですよー！そこで“恋心”は一緒になって踊って歌いましたよ。勿論“恋心”を意識したわけじゃないけど、確かにそのツアーの後にこの曲を書きましたね。僕、たまにやってきたんですよ。”こどものうた”とか。


ー「高橋くん」ね。

そう。そういう風に固有名詞を出すことで、あえて遠ざける意図もあるし、逆にピンポイントでグッと引きつける効果もあると思うから、わざと固有名詞を入れる遊び心みたいなことを曲に入れるのが好きなんです。


ー じゃあ、この高野豆腐というのもそういう意図？

そうですね。普通、不特定多数の人に届けるのだから「高野豆腐」と断言するのではなくて「お惣菜」にすると思うんです。でもなんか、最近はそうする意味を感じなくて。漠然とさせればさせる程、聴いていて寂しい曲になるんじゃないかな。それより、他の人からしたらめちゃくちゃ関係ないことでも、目をキラキラさせてひとつのことを熱く歌っている方が届く人にはバシッと届くし、届かない人にも笑ってもらえるんじゃないかなって。「高野豆腐でそこまで歌える？（笑）」って。


ー たしかにすごく気になったし食いついた（笑）。あと、“なくしもの”はチームしゃちほこに楽曲提供された曲ですが、レコーディングとかは立ち会ったんですか？

立ち会いました。バンドはいつもお世話になっているバンドメンバーで録ったんですが、イントロや歌い出しでアイデアを出させて頂きました。


ー 例えば映画やドラマ、CMの為の書き下ろしと、意識的には違うもの？

それらはリクエストがあれば変える必要が出てくるという意味で違いがあるけれど、意識的な部分では変わらない…というか、変え方を知らないって言った方が正しいかも。作る上で結果的に今回は一味違くなることはあるけれど、多分出てきているところは一緒だと思いますね。“なくしもの”が収録される『おわりとはじまり』は、チームしゃちほこが6人から5人に変わって初めてのアルバムなんです。このアルバム自体、5人で歩んでいくんだという決意を表す作品にしたいということをスタッフから聞いていたんです。 チームしゃちほこと僕は同じunBORDEで、実は担当スタッフが一緒なんです。それでそのスタッフが“なくしもの”の原型を知っていたので、「きちんと完成させたら、今のチームしゃちほこにとってすごくぴったりの曲になる気がするから、作ってくれないかな？」と提案してくれたので、喜んで作らせてもらいました。


ー そういうお話を聞くと、チームしゃちほこの方も聴きたくなりますね。

すごく良いですよ！是非聴いてみてください。この曲の原型を作ったのは、2008年か…2009年。それこそ10年くらい前になるので自分で歌うのは久しぶりだったから、チームしゃちほこが歌っているのを聴いて改めて覚えているようなところがあるので（笑）。


ー メガネツインズ“First and Last Love”は、視力悪い人あるあるだね。中学校の頃の同級生がまさに歌詞のような経験をしていましたよ（笑）。

あ、本当ですか（笑）。僕の中でメガネツインズがどんどん進化しているんですよね。前回の“メガネツインズのテーマ”は、まさに「メガネツインズ」というヒーローアニメのオープニングテーマのような曲をイメージして書いたんですが、じゃあメガネツインズはいかにしてメガネをかけることになったのかという、エピソード・ゼロを書きたいと思って。映画でよくあるじゃないですか。エピソード1から始まって、ヒットと共にどんどんシリーズ化されていく中でのエピソード・ゼロって。


ー あるある。面白いね、その発想！

そんなイメージを自分の中で勝手に思い描いていて（笑）、メガネツインズに至るまでの物語を書こうと思ったんです。そこには涙なしでは語れない切ない物語があるという感じにしたくて。やむなくメガネをかけることになった、その訳は！みたいな（笑）。でも今って、視力が悪いから前の席にするとかあるのかな…。


ー ああ、どうなんだろうね。昔は視力の良い悪いもそうだけど、くじ引きで席替えとかしてたよね。

そうそう。今はすぐに色々な問題になるけど、昔はかなり大雑把というか（笑）。でも個人的にはそれが良くて。くじ引きで席替えとかすごくワクワクしたし、視力が悪くて遠くのものが見えないのは大変だったけど、だからこそ近くで見えるものが貴重だったり。さっきこの曲は視力の悪い人あるあるだって言ってもらったのが嬉しかったんですが、多分僕の世代までじゃないですかね。


ー そうか…。

メガネツインズの“視力検査”で「漆黒のスプーン」って出てきますが、今はあの黒いスプーン使いませんからね。


ー そうそう、『光の破片』のインタビューで優くんにそう言われた時、“もうやらないんだ”って、結構衝撃で（笑）。

やらない、やらない。だからこの“First and Last Love”も終わってしまったかもしれない哀愁を歌ってみました。そう考えるとメガネツインズのターゲット層は少し大人になるのかな。でも誰かの心に響け！という思いはやっぱりありますね。


ー そして10月24日にはアルバム『STARTING OVER』がリリースですが、 上京して10年というのはあるけど、何故「再出発」なのか、タイトルの意味が気になりました。

心境の変化が大きいかもしれませんね。


ー 心境の変化？何か特別なことがあったとか？

うーん…特別なことというほどじゃないんですけど、東京に来て事務所も決まってライヴをやらせてもらっていた頃は、自分のことを理解してくれる人が殆どいなかったので、「理解してもらおう」とか「全国各地でライヴしよう」とか、僕の将来を心配して嘆いている家族に納得してもらえるようなことをやろうと思っていたんだけど、2年くらい前、大体そういう想いは全部叶ったと言ってもよい時期があったんです。家族もグッズのTシャツを着てライヴに喜んで遊びに来たり、グッズを全部買ってたり（笑）。