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上北健 HALL LIVE IN TOKYO "僕と君が、前を向くための歌" 4th STAGE『花さわぎ』ライブレポート

上北健 HALL LIVE IN TOKYO "僕と君が、前を向くための歌" 4th STAGE『花さわぎ』ライブレポート

April 1, 2018 18:00

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緊張感に包まれた静寂は、いつしか歌と花が織りなす世界へ惹き込まれた静寂へと変わった。アーティストのワンマンライヴというには異様なその空気感を、一体何と表現すれば良いだろう。

3月9日に配信シングル『ビューティフル』をリリースした上北健が、3月25日(日)東京・渋谷マウントレーニアホールにてワンマンライヴ【HALL LIVE IN TOKYO “僕と君が、前を向くための歌” 4th STAGE『花さわぎ』】を開催。本公演は、インターネットを中心に”KK”名義で活動していた上北が、シンガーソングライター「上北健」として新たな一歩を踏み出すお披露目のような形で2015年からスタートした。よりコンセプチャルな内容で2017年に開催された第三回の前公演では、コンテンポラリーダンスとコラボレーション。自身もポエトリー・リーディングに挑んだ。しかしポエトリー・リーディングは上北にとって、その公演にマッチする物語を書こうとした結果の表現だと言う。第四回になる今回もポエトリー・リーディングを織り交ぜながら、華道家・ 塚越応駿氏とコラボレーション。「花さわぎ-序章-」から始まり、物語はパートA、パートB、パートCで構成されている。

 吹雪を思わせるSE。 上北が静かに登場するとスポットライトの下、凍えながら息を吐く。「花さわぎ-序章-」、ステージ下手側では塚越氏が生け花パフォーマンスを繰り広げ、上北は物語(ポエトリー・リーディング)を紡ぐ。バンドメンバーの登場と入れ替わりに、花を活け終えた塚越氏が退場。上北が屈めた躰を思いきり広げると同時に“ビューティフル”へ。切なくもドラマチックなメロディと激しい上北の歌声。 会場は拍手も忘れ息を飲む。

Intro20180401.jpgバスドラの力強さにデジタルサウンドが疾走する“Phototaxis -Shiroi Hana Remix-”が終わると、“ミスト -Acoustic Edition-”へ。長く伸びた彼の前髪の奥にある瞳はどんな表情か窺い知れないが、魂のこもった歌声にオーディエンスは魅了されていた。

ザッザッ…足音のSE。高らかに咲く花へ向かい合い、ポエトリー・リーディングで訴えかける上北。美しくないことで、生きている証への不安を吐露した物語は「それでも歌うことはやめない」という光で結論付けられ、儚くも優しいメロディの“月が綺麗 -Month First Quarter Remix-”で、少なからず温かい気持ちになった。続く“それがあなたの幸せとしても -look back again ver.-”はKK時代の楽曲。懐かしさを感じたオーディエンスも少なくないだろう。

STONES20180401.jpg上北は椅子に座り、アコギで未発表曲の“人を遠ざける才能”、“STONES”を披露。60〜70年代の岡林信康や友川カズキを彷彿とさせるようなメロディと譜割の“STONES”は、Aメロの弾き語りから、ステージ中央へ移動。ピアノの音色と共に絶望と希望を歌う。「花さわぎ -パートA-」のリーディングの一部とリンクしているようにも思えるこの曲はシンプルで力強い。今までの上北の楽曲でも珍しいタイプではないだろうか。

“上昇 -Flowing Flwers Remix-”、「花さわぎ -パートB-」では塚越氏は活けた花を抜き、大きな松の枝や枝もの、1年かけてドライにしたという椰子の葉を活ける。枯れて尚強い生命力を感じさせる枝や葉同様、上北のポエトリー・リーディングも、歌も、狂おしく力強い。

ライヴも後半。強いメッセージ性の未発表曲“それまでは生きろよ”から「花さわぎ -パートC-」、“花さわぎ”へ。曲がエンディングへ突き進むと同時に、塚越氏は先程の枝ものに花や葉を加え、ドラマチックなサビと共に華やぐ。ステージには花と音楽、たったその2つしか存在していないはずなのに、そこから発せられるパワーがイマジネーションとなり、空間に光や色を脳内でイメージしてしまう。きっとそれはオーディエンスによってまちまちだろうが、間違いなく何かしらの「見えない」景色を想像したはずだ。

アンコール、独りで登場した上北は、KK時代に自身で作詞作曲した“心根”と“心音”を一気にギター1本で歌い上げた。スポットライトの光は上北と花に注がれ、まるで「あとがき」を読む時に感じるような清々しい充足感を感じた。

「どうもありがとうございました。」

この日一切のMCはなく、歌とポエトリー・リーディング以外で発せられた上北の声はアンコールを締めくくるこの言葉だった。そしてそれまで『花さわぎ』の住人となっていたオーディエンスが拍手をしたのもこれが初めて。更にその世界を作り上げたもうひとりの立役者、塚越応駿氏にも大きな拍手が贈られ、【HALL LIVE IN TOKYO “僕と君が、前を向くための歌” 4th STAGE『花さわぎ』】は幕を閉じた。その瞬間、冒頭で感じていた「異様な空気感」の正体が、自らが持つライヴへの固定概念だということに気づかされた素晴らしいステージだった。


text:秋山雅美


□ セットリスト
1. 花さわぎ -序章-
2. ビューティフル
3. アイニイキル -Acoustic Edition-
4. Phototaxis -Shiroi Hana Remix-
5. ミスト -Acoustic Edition-
6. 花さわぎ -パートA-
7. 月が綺麗 -Month First Quarter Remix-
8. それがあなたの幸せとしても -look back again ver.-
9. 人を遠ざける才能
10. STONES
11. 上昇 -Flowing Flwers Remix-&花さわぎ -パートB-
12. 笑って咲いて -弾き語り-
13. フラワーパズル -Kono Hana Saku Remix-
14. それまでは生きろよ
15. 花さわぎ -パートC-
16. 花さわぎ

Encore
En1. 心根/心音 -弾き語り-


■ 上北健オフィシャルサイト
https://kamikitaken.com

■ 上北健「ビューティフル」セルフライナーノーツ
http://popscene.jp/foundit/039306.html

■ 上北健 プレイリスト "My favorite songs"
http://popscene.jp/playlist/039363.html

■ 上北健『花さわぎ』インタビュー
http://popscene.jp/foundit/039408.html

■ 上北健、配信シングル『ビューティフル』インタビュー
http://popscene.jp/foundit/039424.html

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韓国ソウル単独公演
2018年6月2日(土)・6月3日(日)
公演内容、チケット情報は後日解禁予定。

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