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上北健、配信シングル『ビューティフル』インタビュー

上北健、配信シングル『ビューティフル』インタビュー

March 24, 2018 22:00

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ー とても分かる気はします。どちらかというと私もそういう人間なので(笑)。

良かったです(笑)。僕はそういう時間を過ごしてきた人間として、掬い取るに値するものを自分なら作れるんじゃないかと思ったんです。光の中に闇を感じている人もいるけれど、それに対して「そういう考えは良くない」とか「もっと明るく生きなさい」と言うのではなく、光の中で闇を見てしまう行為そのものも肯定するというか、そういうあなたにも当てはまる何かを作れるようにいたいとい気持ちなんです。


ー 肯定するものがあるのは本当に力になると思います。

そうなりたいですね。


ー 今回の“ビューティフル”もそうですが、今迄も上北さん作品、更にいえばKKの時代からミュージックビデオ(以下:MV)ではアニメーションがよく使われていますが、ご自身の作品とアニメーションは親和性が高いと感じていますか?

どうなんだろう。多分今言った、「右側をみている人」が観るためのMVを作っては、多分曲と合わなくなると思うんです。そういう意味でアニメーションは架空の、イマジネーションの世界ですからリアルでない手法が、もしかしたら合っているのかもしれませんね。でも正直自分では親和性が高いかどうか分からない部分もあります。


ー MVに関してはどういう作り方をしているんですか?

僕と、映像をプロデュースしてくれているクリエイターとの間で良いMVを作るために「この曲に対してこういう発想で出来るかな?」「それならこういう方法もあるよ」などディスカッションして毎回作っています。でも今回難しかったですね。“ビューティフル”というタイトルを映像にするって大変で。この曲で言っていることはリアルな風景の美しさを指しているのではないので、そういう意味を込めて今回はああいうフルCGになりました。


ー c/wの“ミスト”は、2015年にシングルとしてリリース。その後アルバム『SCOOP』に収録されていますが、今回のアコースティックエディションを何故今作で収録しようと思ったのですか?

昨年9月に開催したアコースティック・ライヴで、“ミスト”をアコースティックアレンジを披露したところ、自分たちの感触もお客さんからの感触も良かったので、いずれ音源に出来るタイミングがあればとは、ずっと思っていたんです。


ー オリジナルのベーシックな部分は大切にしながら、アコースティックならではの優しさやレコードノイズなど聴こえ方の変化がアレンジとして興味深かったです。

オリジナル音源はバンド・サウンドらしい力強さで“ミスト”という曲の持つ力を、オケもそのままフルパワーでお届けした作品になりました。そこから二年経ち、色々と考え方も変わり、今回は編成を軽めにして自分の声が持つ力に集中して頂けるようなアレンジにしました。なので僕なりに新しい“ミスト”が完成した気がします。


ー 25日の会場限定盤には、未発表曲“生き往く街に海を見る”が収録。この曲は第三回【僕と君が、前を向くための歌】のサブタイトルでもありますよね。

はい。


ー この曲は2:29の短い曲なのに、1:05がイントロ。結構挑戦していると感じました。

イントロは、あの短いセンテンスを立たせるための1分だと思っているんです。それと、この曲は前回のライヴのために書いた曲なので、1分の間でパフォーマンスをすることも含めて、歌い始めるまで体を整えることも大切だったんです。音源だとその姿が見えないので分からないですが。


ー でもその1分に高いドラマ性を感じました。

ありがとうございます。歌については、もしかしたら続きがあるのかもしれません。


ー 続きですか?

自分の中でもまだ分かりませんが。ただ昨年コンセプトライヴのタイトル曲として書いて、今回再び改めて作品として世に出す時に、もう一度向き合って続きを作ろうとならなかったということは、ストーリーとして完結しているのかもしれませんが。


ー ということは逆に、これから経験した何かで再びストーリーが始まることも考えられますよね。

そうですね、それはあります。またこの曲に近い風景や経験など頭の中の映像に僕が出くわした時には思い出すでしょうし、何か加えるインスピレーションも出てくるかもしれません。


ー そうやって新たな曲が生まれるかもしれないという発想はやはり面白いです。

ありがとうございます。


ー 先程、「光の中で闇を見てしまう行為そのものも肯定したい」とおしゃっていましたが、上北健として音楽で伝えたいことは、やはりそこに集約されますか?

僕の中で、「普通」と「特別」というテーマがずっとあるんです。だから生まれ持って人間それぞれが特別であるということが、伝えたいことのまずひとつです。何かに秀でていることが特別だと言われがちじゃないですか。


ー ええ。

でもはたしてそれって本当にそうなのかなという気がずっとしていて…。例えば「私は生まれもって右腕がなかった」という一方で「東大を出てエリート企業に就職した」という人がいた時……あるいはそこまで大袈裟じゃなかったとして「自分は他人と喋るのが苦手」という程度でも、僕は特別だと思うんです。であれば、実は全員が特別なんじゃないかと思うんです。そうなりたい、そうならなくてはという考えで苦しむことって多々あると思うので、 世に言う「特別っぽいもの」を目指さないで良いんだよと言いたいです。そういうことを軸に曲を書くことは多いですね。先程も言った、右側を向けない人達、向きたくない人達の受け皿になる作品を歌い続ける人間になりたいと思いますし、そこは一貫して誠実にいたいと思います。


ー ありがとうございました。


interview&text:秋山雅美


■ 上北健オフィシャルサイト
https://kamikitaken.com

■ 上北健「ビューティフル」セルフライナーノーツ
http://popscene.jp/foundit/039306.html

■ 上北健 プレイリスト "My favorite songs"
http://popscene.jp/playlist/039363.html

■ 上北健『花さわぎ』インタビュー
http://popscene.jp/foundit/039408.html

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  インフォメーション

上北健 HALL LIVE IN TOKYO “僕と君が、前を向くための歌” 4th STAGE『花さわぎ』
2018年3月25日(日)
東京・渋谷マウントレーニアホール
チケットプレイガイド:http://w.pia.jp/t/kenkamikita/(チケット発売中)
特設サイト:http://smarturl.it/kamikita.hanasawagi


韓国ソウル単独公演
2018年6月2日(土)・6月3日(日)
公演内容、チケット情報は後日解禁予定。

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