POPSCENE

WEB FANZINE

POPSCENE

松室政哉『毎秒、君に恋してる』インタビュー Part.2「松室政哉 × イラストレーター坂内拓 対談」

松室政哉『毎秒、君に恋してる』インタビュー Part.2「松室政哉 × イラストレーター坂内拓 対談」

November 9, 2017 20:30

interview_label
0
0
シェア LINE

坂内:無意識にあるのかもしれませんね(笑)。あと僕としては、服装はまり特徴的じゃない方が良いかなと思ったんですよ。

松室:うんうん!(CDジャケットを見ながら)最初坂内さんの絵を見た時に、行間みたいなものを感じたんです。人によっては全てを細かく書き込んでメッセージを出す人もいますけど、坂内さんの場合はひとつひとつに細かい描き込みや説明がなくて、見た人がその人なりのストーリーを描けるんですよね。でもインパクトがある。

坂内:そう言ってもらえると嬉しいですね。

松室:曲があって、それを聴いた上で絵を見てもらう。あるいはその逆。せっかくジャケットのイラストを描いてもらうので、そういう部分を埋め合いながら作っていくのが一番楽しいかなと思って。

坂内:そうですよね。

松室:だから何パターンか描いてもらったけど、 その全てが素敵で、全部飾りたいくらいでした。

坂内:嬉しいな。僕も最初、気持ちが入りすぎちゃって(笑)。そういうこと結構あるんですけどね。

松室:よくあるんだ(笑)。

坂内:そうすると描き込み過ぎちゃったり、説明しすぎちゃったりして。

松室:ああ、なるほど。やっぱりそういうことあるんですね。僕は本当に絵も描けないから、細かい技法とか何も分からないけど、絵を見た時に「何かすげーな!」とか「何か良いな」って感じるのは、音楽にも通じる大切な部分だと思うんですよね。

坂内:うんうん、分かります。

松室:テンポはこうで、こういうギターの奏法を使って、歌はこの歌唱法で。そういうのは勿論あるけれど、専門的にやっている人じゃないとそんなの分からないじゃないですか。でも聴いた時に「何か良い曲だな」とか「何か泣けるな」とか、そういう感覚が人を喜ばせる上で大切なんじゃないかな。

坂内:それはそうですよね。


ー 坂内さんはどんな画材を使われているんですか?

坂内:全てがそういうわけではないけれど、基本は切り絵なんです。実は今日、ジャケットに使ったイラストを持ってきていて。(立ち上がり、鞄から絵を取り出す)

松室:(立ち上がり)え、本当ですか!?

坂内:一応、家にあった額に入れてきたんですが。(原画を机の上に置く)

松室:これは凄い!僕が最初にデザインを頂いた時はデータだったので、原画を見るのは初めてで。

<全員で原画を見ながら>

20171109DSC_3843.jpg
ー 制作期間はどのくらいだったんですか?

坂内:ラフで二週間くらいかな。ただ一案だけだと僕自身も不安なのでいくつか出して、そこから選んでもらいました。そこで決まってしまえば後は切り絵なので3、4日くらいで出来上がりました。

松室:一案じゃ納得できないという考えは、なるほどと思いました。僕もそういう時が結構あるんです。曲をいくつか作ったけど自分の中だけでは決められないって。

坂内:やっぱりそうですか。

松室:はい。そういえば坂内さんは切り絵を使わないこともあるんですよね?

坂内:ええ。デジタルで作ることもあるし。

松室:最初に何パターンか頂いたラフもデジタルでしたよね。

坂内:そうです。ラフでデジタルを使って、本番のベースは切り絵、(原画を指差しながら)こういう街灯のような白いところは一部ジェッソを使っていますが。あと最終的な調整で再びデジタルを使います。

松室:切り絵にすることで生まれる味って、どういうところなんですか?

坂内:切り絵って、デジタルと違って直線が直線じゃないんですよね。凹凸もあるし。

松室:それってデータにしても出てくるものなんですね。

坂内:そうですね。それに切った時に削った跡も出てくるし。結局デジタルだとなんでも出来ちゃうから、手を加えすぎちゃうところがあって。でも切り絵だと諦めというか、ここで終わりっていうやめ時みたいなものがつけやすいんです。

松室:ああ、分かるな。それは音楽でも一緒で、レコーディングも今の時代は全てデジタルなので、どんどんやり直しや重ねることが出来る。でも昔ってテープで録っていたから渾身の一発!本来そうあるべきなんだろうけど、ついついデジタルの力に甘えてしまうんですよね。「もう一回、もう一回」って(笑)。

坂内:ああ(笑)。

松室:でも今の時代、音楽をアナログで録ろうとしたらお金が倍以上かかるんです!

坂内:そうか。そういう問題もあるんですね。


ー 坂内さんは多摩美術大学に在学中から、今のようにシンプルな構成にこだわりを持たれていたんですか?

坂内:わりと大きな面に惹かれていましたね。あまり細かい描き込みがあるものより、デザインでも絵でも、大きな面同士が重ね合った作品をいいなと感じていたかな。それは見る側としても作る側としても。

松室:学校を卒業した後はどこかに就職されたんですか?

坂内:CMの絵コンテを作っていました。最初、○や☓で描かれた人や物がどう動くのかを具体的な絵におこして、その撮影現場のスタッフで共有するために見るんです。

松室:その時はどうやって描いていたんですか?

坂内:パステルで描いている人もいたけど、僕はデジタルでした。ただ絵コンテって、全て世の中に出ずに消えていくので、そういうのもちょっと…と思って辞めたんです。

松室:もっと表現したいことがあったということですよね?

坂内:そうです。その会社は大学卒業してから8年くらい勤めていたんだけど、今のようなことをやりたくなってきて。

  ピックアップ

  SEARCH

  FIND OUT MUSIC!

FIND OUT MUSIC

  SPECIAL

オフィスオーガスタ特集 アーカイブ

  iTunes Chart