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近藤晃央、ニューシングル『存在照明』インタビュー

近藤晃央、ニューシングル『存在照明』インタビュー

September 11, 2017 12:00

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ー 楽曲として、体裁の良い言葉を選ばない近藤さんらしい背中の押し方というか。

僕は説得力のある人間ではないし自分自身しか基準はないので、自分で“うわ、これ絶対そうは思っていないよな。薄っぺら!”という歌詞は勿論書かないようにしています。この曲は今までの楽曲の中で非常にストレートだと思います。僕の中ではド直球!


ー 優しく背中を押すというよりは、あえて限界に追い込んでその先を見せるというか。

確かにこの曲を応援歌としてはあまり捉えてほしくなくて。


ー でも聴いていると「よし!」って自然と気合が入ってくるんですよね。

結果的にそうなってくれたら嬉しいです。どちらかというと僕は自分以外に対して「もっと頑張れよ」みたいなことを言える立場でもないし、逆に人からそう言われたら、「何も分かっていないのに」って思っちゃう。だから一年前の僕に、僕自身背中を押されているような感じというか。だから自分としても説得力があったんです。


ー 今、自分としても説得力があったと言われましたが、実際に歌っていてもしっくりくる感じですか?言霊というか。

ああ、それはあるかも。Dメロに「戦いに敗れた不成功者と戦いを拒んだ不失敗者 負けは負けだろう?でも勝者は そこで讃えらられるまで何者だった?」という歌詞がありますが、僕自身は人生の敗者だと思っているんです。


ー 随分自虐的な…(笑)。

やっぱり上には上がいるし、自分が成功者だとは思わないから。例えば音楽をやっていると「それって才能に恵まれたっていうことだよね?」と言われることがあるんですが、自分のスタートラインを自分で知っているから、とても才能があったと思えないんですよ。


ー 自分のスタートラインを知っているというのは?

最初から出来たわけではないから。本当に才能のある人は最初から出来ちゃうんですよ、きっと。


ー なるほど。

あえて探すとすれば、僕の場合は努力がきちんと成長になるという意味で、もしかしたらそういう才能には恵まれたのかもしれませんが、最初から用意されていたものではなく、結局自分で積み重ねたものでしかなかったんです。だからそれを才能かと言われたら「うーん、そう言われると一言で終わっちゃうな」みたいな感じがあるし、自分自身がすごく恵まれていたわけでもないと思うし。かと言ってすごく不幸かと言ったらそうでもない。普通です。その中で僕は自分のポテンシャルが何処かも分からないですが、間違いなく成功者と呼ばれる立ち位置にはいないので、自身を敗者と認めた上で「敗者だからハイ、おしまい。さよなら」というのではなく、敗者のビジョンがこの曲にすべて集約出来ている気がします。


ー 今回、“テテ”や“かな”などでも編曲をされていた江口亮さんをサウンドプロデューサーに迎えていますが、江口さんとはどういう話し合いをしながら進めていきましたか?

この曲が出来た一年前にワンコーラスデモを作った時にはヴァイオリンとかも入っていなかったですし、もっとストレートなナンバーだったんです。それはそれでカッコよかったんだけど、今回レコーディングするにあたり、僕が先に作ったフルコーラスのデモを江口さんに渡して足し算した感じでした。シンプルなバンドサウンドで、それも悪くはないけど何かもうひとつモチーフになるような楽器を足そうかなという話になり、色々な選択肢があったんですが、最終的にヴァイオリンに落ち着きました。


ー ヴァイオリンの切ない音色とバンドの疾走感、近藤さんの声が見事にマッチしていますよね。

ありがとうございます。


ー 楽曲の話からはズレますが、オフィシャルインタビューで語っていた話で、100%で歌うよりも80%、つまり20%の余裕を残して歌った方がマイクが声を拾ってくれるという話が興味深かったです。

そうなんです。例えばリコーダーって孔をいっぱい塞いでいけば空気が通る部分が細いなっていくので高い音が出るじゃないですか。


ー ええ。

細い=高いに繋がる楽器が多いんですが実は声も同じで、キーが上がれば上がるほど声って細くなるんですよね。なら細くならない余裕みたいなもの、つまり良い塩梅の音域はどこなんだろうと考え始めるようになって、無理のないキーを出していったらそこに慣れてきて声がだんだん出てきたんです。ただそこで高い声を急に出しても結局出ないから、伸びしろというか、出していて少し余裕を残した音域を探る。(目の前のコップを持ちながら)コップだってそうですよね。並々と入っていたらすぐこぼれちゃうけど、7割くらいなら少し揺らしてもこぼれない。


ー そうですよね。だから声も余裕がなくなると表現力まで至らなくなってしまうし。

それと、余裕を持っている方が聴いていても安心感があるじゃないですか。


ー それはあります!

そういう意味もあるかもしれませんね。


ー グラフィックデザイナーでもある近藤さんは、今もアートワークはご自身がほとんど担当されるんですよね?

ジャケットに関して今は別にアートディレクターさんを立てているんですが、一緒に中身も画も考えていきます。なので今回のジャケットデザインも、具体的に何が出来るか出来ないかを何度か話し合って決めました。その他リリースに関してのポスターや紙資料などは毎回自分で作っています。


ー デザインにコラージュを用いた作品も結構ありますよね。

そうですね。コラージュは好きです。ただ、わりと色々やりますね。めちゃくちゃコンピューターグラフィックスという感じはあまり好きじゃないんですが。


ー 近藤さんのデザインは温かみがありますもんね。手描きもあるし。

そうそう。


ー 私もグラフィックデザインやイラストレーターもやっているので、興味深くて。

そうなんですか!


ー はい。今回のジャケット写真の案も面白いです。電球があれだけ詰まっているのに点灯しているのはひとつだけなんですよね?

そうです。電球を使ってどうなるか本当に色々と話し合いました。毎回僕と一緒に作品を作ってくださるアートディレクターさんは、思い通りにならないと思うので大変そうです、すごく。

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