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長澤知之 -10th Anniversary Anthology-【Nagasawa Tomoyuki Band Tour 'Kumo No Ito' 2017】恵比寿LIQUIDROOM

長澤知之 -10th Anniversary Anthology-【Nagasawa Tomoyuki Band Tour 'Kumo No Ito' 2017】恵比寿LIQUIDROOM

April 27, 2017 00:00

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4月12日にアンソロジー・アルバム『Archives #1』をリリースした長澤知之が、大阪、福岡、東京でツアー【Nagasawa Tomoyuki Band Tour 'Kumo No Ito' 2017】を開催。ツアーファイナルは4月24日(月)東京・恵比寿LIQUIDROOM。長澤と共に、今回のツアーを回ってきた松江潤(G)、須藤俊明(Ba)、秋山タカヒコ(Dr)、山本健太(Key)が登場。1曲目の“片思い”、響き渡る長澤の歌声とバンドを率いたその佇まい。“長澤ライヴはバンドも良いけど、やっぱり弾き語りだよなぁ”という筆者の浅はかな固定概念を秒速で恥じるほどカッコいい!とにかくカッコ良かった!

6B3T4256.jpg次なる“MEDAMAYAKI”ではイントロから歓声が上がり、オーディエンスも腕を振り上げる。そんな彼等に拍手を贈る長澤。すぐさま上着を脱ぐと“あんまり素敵じゃない世界”へ。ここでもオーディエンスの腕はサビのリズムを取る。

「こんばんは。長澤知之BANDです。これから猛烈に歌詞を間違えていきますから、どうぞよろしくお願いいたします。」サラッとフロアを笑わせながらも“バベル”では力一杯の歌声を轟かせる。

「人生は芸術なんだ」そう歌う“アーティスト”。芸術だろうが人生だろうが人が何かに集中する姿の美しさ、それは長澤が歌うことへ集中する姿にも言えた。美しさと言えば、“スリーフィンガー”でのイントロのコーラスは素晴らしく美しかった。バンドセットならではのアレンジでハモンドの音色も心地よい。しかし同じ音でも“EXISTAR”になると全く違うグルーヴで疾走感を煽る。長澤もギターキッズのように夢中でエレキを掻き鳴らし、色気と破壊が交互に押し寄せるような歌声でフロアを熱狂に持ち込む。

「改めて、長澤知之です。こんばんは。どうぞよろしく!」

ここでメンバーは一旦退場。“三年間”と”パーフェクト・ワールド”を長澤一人で弾き語り。特に”パーフェクト・ワールド”はあまりにも圧巻だった。時折握りこぶしを小さく振るわせながら、「歌う」というより「訴える」に近い表現でどんどん言葉を吐き出す。機材トラブルでギターが鳴らなくなっても、生音でひたすら掻き鳴らす。もし彼が、69年から71年まで開催された中津川フォークジャンボリーに出ていたら…と想像したくなるほど興奮を禁じ得ない。最後の一音を待たずして拍手と歓声の嵐!そう、フロア全体が興奮していた。沸き上がった拍手と歓声はなかなか止まず、その隙間を縫うように「ありがとう。ちょっとギターがアレなんで…ちょっと待ってください(笑)。」と長澤は笑う。ここで松江を呼び入れると、二人で呑んでいた時のエピソードで”パーフェクト・ワールド”の興奮はアットホームなムードへ。ギタートラブルが無事解決すると「よっしゃ!」とまるで子どもみたいに素直にテンションを上げる長澤。松江と二人で、“はぐれ雲けもの道ひとり旅”を。一瞬だったが松江のトレモロはメロディに違う色彩を与え、続く“無題”で参加した山本のスレイベルは輝きを与えた。“無題”の、温かくも神聖な心の内側を歌う長澤の世界にオーディエンスは聴き入る。

IMG_5244.jpg改めて須藤と秋山も呼び入れるとライヴも後半戦へ。すべての音が混ざり溶け合うと、長澤のスライドギターは“STOP THE MUSIC”のけだるい旋律へと誘った。ゆったりとしたリズムにヒリヒリとした歌声は何度聴いても痺れる。
松江のエレキが“神様がいるなら”のイントロを鳴らすとフロアからも歓声が。続く“R.I.P.”の早いリズムは更にフロアのボルテージを上げ、はしゃぐようにジャンプしながら曲に乗るオーディエンスを見て、長澤は心から嬉しそうな笑顔を見せた。
セットリストに目をやると残り三曲。すべての楽曲にそれぞれの感動を覚えていたせいか、驚く程早かった。

ディレイがかかった長澤の声にフロアは飲み込まれそうになる。“マンドラゴラの花”で松江のボウイング奏法を観るのは何年ぶりだろう。初期のバンドセットを支えてきた今回のメンバーへ対して長澤は「リスペクトが強い分、良いものになる予感がある」と『Archives #1』の取材で語ってくれた。その予感は的中していると感じる。絶対的存在感を持つこの曲で、彼等の音は唯一無二の才能を持つ長澤知之の世界を更に色濃くしている。ステージ背後から揺らめく光と鼓膜を振るわせるギターは、続く“蜘蛛の糸”で優しい広がりに変わった。窓の外に見える虹の欠片さえあればどこにだって行こうと歌う歌詞。煌めくほど凛と前を向く「今」の長澤を感じずにはいられない。黙って長澤の色を照らすバンドメンバーの尊さを感じつつ、渾身の力で歌う彼の姿に多くの言葉はいらない。「ありがとうございました。」そう一言残すと、デビューシングル“僕らの輝き”で本編は終了した。

「…あ、'Kumo No Ito'というツアーなんです、これ。今日はツアーファイナルです。どうもありがとうございました。」アンコール、ギターを手に取ろうとした長澤はふいに思い出したように挨拶をしながらこの日初めてツアー名を言った(笑)。そして手持ちのピックを探すも見当たらなかったため急遽松江に借りる。長澤はこうやってよくステージをウロウロする。しかしその姿を見ているのはとても楽しい。きっとリハの時もこうなんだろうと、微笑ましく想像出来るから。しかしひとたびギターを鳴らせば、歌声を轟かせれば、テンションは一変。メンバーの力強いかけ声と狂気に溢れる歌声の“THE ROLE”で容赦なくフロアは熱狂。“P.S.S.O.S.”のバスドラ、高音の特徴的なギターリフ、想いを振り絞り、叫ぶ長澤の歌声。アンコールが終わり、SEが流れてもその拍手が鳴り止むことはなく、Wアンコールとなった。

Wアンコールでは長澤一人で登場。オーディエンスにお礼を言うと、アコギは“コーデュロイ”の旋律を奏で始め、それを愛おし気に耳を澄まし聴き入るオーディエンス。熱狂と優しさと感動の余韻を胸に、【Nagasawa Tomoyuki Band Tour 'Kumo No Ito' 2017】はこの切なくも温かい歌声とギターの音色で締めくくられた。


PHOTO:岩佐篤樹
TEXT:秋山昌未



□ セットリスト
M1. 片思い
M2. MEDAMAYAKI
M3. あんまり素敵じゃない世界
M4. 明日のラストナイト
M5. フラッシュバック瞬き
M6. バベル
M7. アーティスト
M8. スリーフィンガー
M9. EXISTAR
M10. 夢先案内人
M11. 三年間
M12. パーフェクト・ワールド
M13. はぐれ雲けもの道ひとり旅
M14. 無題
M15. 狼青年
M16. STOP THE MUSIC
M17. 神様がいるなら
M18. R.I.P.
M19. マンドラゴラの花
M20. 蜘蛛の糸
M21. 僕らの輝き

Encore
En1. THE ROLE
En2. P.S.S.O.S.

W Encore
En3. コーデュロイ


■ 公式ウェブサイト
http://www.office-augusta.com/nagasawa/

■ Facebook
https://www.facebook.com/nagasawa.official

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