ー この曲の発想はどこから?
“この人、格好良いな、大人だな”と思う人って沢山いるし、“あぁ私、この人みたいにはならないように気をつけよう!”と思う大人も沢山いて。でも自分も大人になって、中高生からしたら立派なおばさんで(笑)。
ー ちょっと気をつかってギリギリお姉さん?(笑)
そうそう(笑)。そういう中高生が今の私を見た時、「格好良い大人」と思っているのか「ああいう大人にはなりたくない」と思っているのか?そういうことを気に留める年齢になって、この曲が生まれました。やはり大人はしっかりしないと子どもには響かない言葉があるし、逆に子どもは子どもで「このオヤジ、ムカつく!」と言って暴力をふるったりしてしまうのではなくて、「こういう大人にはならないようにしよう」と受け取ることも大切。良くも悪くも見本は自分の近くに沢山あるから、全部自分のものにして欲しいですね。そういうメッセージが今は届かなくても、“あの曲ってこのことを言っていたのか!”と、いつか分かってもらえればその時若い人も自分で何か言葉を発するだろうし。
ー Emiさんから見て、素敵な大人ってどういう人?
仕事を楽しんでいる人って、格好良いと思うんです。仕事を楽しむところまで行きつくまでには、きっともの凄い葛藤もあったと思うんです。人間関係もそうだし、自分自身のあり方もそう、仕事を計画していく力量もそう。それを全て楽しんでいる人は大人だなと思うし、歳を重ねていくのを楽しんでいる人も大人だし格好良いと思いますね。逆に、人に感謝の気持ちがない人は嫌。何でもかんでも当たり前と思って、自己中心的にポンポン言う人。 そうやって生きてこれちゃったんだと思うと、逆に寂しくなっちゃうんですよ。 相手を思って、その人に響かせるつもりで言っているなら分かるけど。
ー 音楽スタジオの先輩みたいに?
そうです!私自身中学で仲間はずれになったのをきっかけに、人に合わせることが正解と思うようになっちゃって、「それって自分のためにやっているの?人のためにやっているの?」と言われた時があったんです。でも最初そう言われた時、よく意味が分からなくて。私は人のためにやることが良いことだと考えていたけど、本当は自分のためにやらなきゃいけないんですよね。でも私は人のため、人のためって。しかもそれが正解だと思っていた。ただ小さい頃に言われた言葉ってどんどん忘れていくから、本当に響き出すのは高校卒業以降、自分が本当に向き合わなきゃいけない状況が生まれた時じゃないかな。
ー 特に社会人になると、急に分かる瞬間が来たりしません?
あります、あります!でもそういう言葉をくれる大人の存在って大切だと思います。
ー そうですよね。アルバムの話に戻ると、今作は歌詞が全曲通してNakamuraEmi丸裸という印象でしたが、前作『NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST』よりサウンドアプローチがクールに感じました。
セカンドアルバムだと、やりたいことが増えていくんです。そこで音を重ねていくことは簡単だけど、逆に音をどんどんシンプルにしていこうという部分は意識しました。前作はガツンと届くようにしたかったけど、それよりは聴いていて貼り付き感があるというか。例えばノラ・ジョーンズの音楽って、すごく近くにいる感じがしませんか?
ー あぁ、分かる気がします。
そういう距離感にはこだわってレコーディングしました。作り込みすぎず、それぞれの音がシンプルに聴こえる。
ー そういえば伊豆のレコーディング合宿はどうでしたか?
アルバムを作る上で、ずっと音楽のことだけ考えていられる環境って大切ですね。東京だと家に帰れるし、家に変えると音楽以外の生活空間なので我に返っちゃう。でもレコーディング合宿で常にみんなが一緒。音楽のことだけを考えていられる良さや、みんながガッとひとつに固まる瞬間を感じました。
ー 今までとは違う作り方だったとか?
先ほどお話した距離感や空気感にこだわってマイクの位置を変えてみたりしたんですが、管楽器の方に入ってもらってのレコーディングも初めてだったんです。だから管の音とのバランスやアレンジの仕方も初めての試みで。多分カワムラさんもアレンジの面で大変だったんじゃないかな。
ー Emiさん自身は難しくなかった?
勿論全ての音を一度に録れれば最高なんでしょうけど、伊豆のスタジオはそこまで大きくないので、入る音を想定して歌うのは難しかったです。今はコンピューターで色々な音をシュミレーション出来るから有り難いけど、やはり人間の息が入った音というのはパワーが全然違うので、それに歌が負けないようにすることも大変でした。でも沢山の素晴らしいミュージシャンの方々に入っていただけて嬉しかったです。
ー “晴人”は、先ほど話してくれた、人に合わせることが正解と思っていた頃のEmiさんが…。
そう。ダサかった頃の自分(笑)。この曲はジーンズとスッピンに切り替えた頃に作った初めての曲なんです。
ー じゃあかなり昔の曲だ。
そうなんです。その頃はかなり異質だったから、この曲を聴いてお客さんが減ったんです(笑)。でもライヴハウスの人だけは良い反応があって。「Emiちゃん、あの曲だけ違っていた。あれどうしたの?」って。それで“あ、これで良いんだ!”と思えるようになってきて。でも荒々しい歌詞だったので、今回アルバムに収録するにあたり、今の気持ちに書き換えました。
ー「しなやかに笑ってる人は 傷跡はきっと数えきれない」という部分がとても印象的で。
さすが!その部分は今の自分が書き直したところなんです。前の歌詞は今見るとひっかかっちゃって。昔の歌詞を書き直すって、大変だからやるもんじゃないと思ったけど(笑)、この曲の大切なところは伝えたかった。それこそ今言って下さった部分の歌詞のような人たちが私の周りにも増えていったので、自分もそういう人間になりたいなと思って書き直しました。
ー 個人的に“ボブ・ディラン”が好きです!
ありがとうございます!女性のライターさんでそう言ってくれる方が多くて、それが本当に嬉しいんです。
ー この曲はプロデューサーのカワムラヒロシさんと初めて共作したとか。
そうなんです。いつも私が作った曲をアレンジしてくれるので、ある意味作曲に携わっていると言っても過言ではないんですが、この曲に関しては本当に曲を作る段階からお世話になりました。
ー 優しい歌声と暖かいサウンドだけどちょっと切なくて、でも甘くて。
地元で沢山買い物をした後、疲れて喫茶店でコーヒーを飲んでいたらボブ・ディランが流れてきたんです。天気も良いし気持ち良くて、隣の席のカップルは楽しそうで。“あぁ、私はこのまま一人かもしれないなぁ”なんて思いながら、その時ノートも持っていなかったからチラシの裏にその状況をブワーっと書いて。でも恋愛の曲だし自分でどうまとめて良いか分からなくてそのまま置いておいたんです。それで今回新曲を作るにあたってカワムラさんと共作してみたいと思い声をかけて、「こんな感じで優しい雰囲気で」と言ったらボブ・ディランを弾いてくれて。「それ、そのまま弾いていて下さい!」ってお願いをして、広告に書いたその日の状況、それだ!と思ったんです。女性としての寂しい気持ちや天気とボブ・ディランの曲の気持ち良い感じ、色々な情景が曲となって一気に完成しました。
1. Rebirth
2. 大人の言うことを聞け
3. 晴人
4. ボブ・ディラン
5. ヒマワリが咲く予定
6. ハワイと日本
7. めしあがれ
8. メジャーデビュー
※初回限定生産盤が終了次第、通常盤に切り替わります
※LPは本人直筆シリアルナンバー入り
COCP-39890 / ¥2,700+税
「NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4」発売記念イベント
■ スペシャルアウトストアLIVE
3月8日(水)TSUTAYA O-nest 19時半スタート
■ タワーレコードインストアイベント
3月12日(日)タワーレコード新宿 15時スタート
3月18日(土)タワーレコード名古屋パルコ 14時スタート
3月19日(日)タワーレコード梅田NU茶屋町 14時スタート
3月25日(土)タワーレコード福岡パルコ 14時スタート
4月1日(土)タワーレコード仙台パルコ 14時スタート
4月2日(日)タワーレコード札幌ピヴォ 14時スタート
詳細URL:http://columbia.jp/nakamuraemi/live.html
NakamuraEmi NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.4~Release Tour 2017~
神奈川KANAGAWA
2017.4.25 Tue@横浜BAYSIS
岐阜GIFU
2017.5.2 Tue@岐阜ants
香川KAGAWA
2017.5.5 Fri祝@高松TOONICE
広島HIROSHIMA
2017.5.7 Sun@広島 LIVE JUKE
石川ISHIKAWA
2017.5.9 Tue@金沢21世紀美術館・シアター21
北海道HOKKAIDO
2017.5.13 Sat@CUBE GARDEN
宮城MIYAGI
2017.5.14 Sun@仙台darwin
●Vo:NakamuraEmi / Gt:カワムラヒロシ
Adv \4,000(tax in+1Drink)※石川公演のみドリンクなし
席種:全自由
福岡FUKUOKA
2017.5.26 Fri@Be-1
名古屋NAGOYA
2017.5.29 Mon@名古屋 CLUB QUATTRO
大阪OSAKA
2017.5.30 Tue@BIGCAT
東京TOKYO
2017.6.1 Thu@LIQUIDROOM
●Vo:NakamuraEmi / Gt:カワムラヒロシ / Ba:豊福勝幸 / Dr:TOMO KANNO / Per:大塚雄士
Adv \4,500(tax in+1Drink)
席種:全自由