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高橋優 New Album「来し方行く末」ロング・インタビュー

高橋優 New Album「来し方行く末」ロング・インタビュー

November 14, 2016 20:00

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ー いいじゃない。

ただこれって僕の癖だと思うんですが、ちょっとそういうことを経験すると、ハッと自分のことを引いて見る、冷静な顔をする“もう一人の自分”がいて、その自分が去年の年末くらいに現れ始めたんです。「あれ?今の自分、すごくダサい人間になっているかも」って急に焦り始めて、それが今年に入ってから本格化して。「何か成し遂げたとでも思ってる?自分」って。何一つ成し遂げていないのに、祝ってもらったことを良いことに、「でしょ?オレって凄いでしょ」という気持ちにでもなっているとしたら、“終わったな、お前!”ってもう一人の自分が。


ー すごいな、その冷静なもう一人の自分(笑)。

いや、本当にそう思っていて(笑)。そう思うこと自体は間違いではないと思っているし、ありがたく音楽の仕事をさせて頂いているということに変わりはないから過去を否定してはいけないけど、常に転がり続けているのが「高橋優」だったから。常に悩んだり何かに立ち向かったり工夫したりワクワクし続けないといけないということを前提で言うと、成し遂げたなんて思っちゃった時点で、その先ワクワクする気持ちもない気がして。だからまず一度冷静な気持ちに立ち返ろうと思ったんです。そこからですかね、 来し方行く末…今までとこれからというテーマが浮き彫りになってきたのは。


ー 深いですね。実は今(取材時)頂いている資料が完全ではなくて、音源もまだラフミックスのものなんです。そういうことって今までの優くんでは珍しいなと思って。

そうなんですよねぇ。スミマセン!


ー いやいや、それは全然良いんだけど、それだけ悩んだということかなと。

本当に悩みました!今までのアルバムで一番。


ー 特にどういう点が一番悩みましたか?

色々な面で勝手に自分でハードルを上げていたんだと思うんです。先ほどお話したように、5周年で浮かれていた自分を冷めた目で見ている自分がいたりすると、例えば曲を一曲書いたとしても「何、これ?」と思う自分が絶対に登場するんです。自分自身30歳を過ぎて、年齢的に若かった10代とは違うのに表現方法が何も変わっていなかったらファースト・アルバムだけ聴いていて欲しいと言っていた方が良いじゃないですか。


ー 確かに聴き手としても、ファースト・アルバムだけ聴いていればいいやと思ってしまうし、「今」の自分に着いて来てもらえないかも。

新しいものを更新していく意味というのは自分自身が更新されていくことだから、次に何を言い出すか分からない人間でいたいんです、ずっと。そういう中でラジオのパーソナリティのように色々と音楽以外の活動もする中で、今の自分、自然体で話したり笑ったり色々な人とご飯を食べたりする自分を、出来るだけそのまま断面図のように切り取ったアルバムにしたかったんです。


ー 断面図か。

ええ。それは自分をずっと監視し続ける作業であり、自分が普段思っていることを改めてパッケージ化する作業なので、すごく辛いんですよ。


ー プライベートがなくなるような?

そうそう。ひとつひとつ自分を抽出していくことなので、 下手に紐解いちゃうとバラバラっと崩れてどれがどれか分からなくなるような感覚というか。だから今回のアルバム制作はとても大変でした。その中でデッドラインもあるし。…全然超えていましたけどね、デッドライン(苦笑)。沢山超えて皆さんに迷惑をかけて、周りとのコミュニケーションも苦労しました。


ー 特にどういう点で?

今までは中間案を取るようにしていたんです。僕も「これ位で良いね。」、スタッフも「これ位で良いでしょう。」って。でも「これで良い」という言葉がすごく嫌になってしまって…。「“これで良い”ではなく“これが良い”になるまで突き詰めようよ!」と僕が言い出しちゃって、レコード会社の人たちからも「何か高橋、面倒くさい人になってきちゃった」と思われたかも(笑)。


ー アハハ!でも大切な部分でしょ。

そうなんですけどね(笑)。その人たちの前で柄にもなく熱く話したことも一度や二度ではなかったし。お利口さんで何でもハイハイ言うことを聞く感じではなかったんですよ。勿論今までもそうあったわけではないけど特に今回は。だから媒体の方たちに紙資料が届くのが遅かったのもそういう理由で。だって曲順が決まった日、僕取材だったんですよ(笑)。取材しながら曲順を考えている。それくらいのタイム感で動いていて。まあ動かざるを得ない状況を僕が作ったんですけど(笑)。


ー 確かにそういう面を考えればレコード会社の方たちはご苦労されたと思うけど、その分、本当に色々と興味深い部分が多い、素晴らしいアルバムが出来たと思いました。 ビートや音階で新しさを感じつつも、ただ闇雲に模索している感じではないような。

そう言ってもらえると嬉しいです。


ー 高音がメインの音域になっている“悲しみのない場所”もそのひとつ。この音域でずっと歌っているというのは珍しくない?

ファルセットでずっと歌うのは初めてだと思います。この曲を書いている段階からそれは決めていたんです。こういう音域の曲、なかったなって。『さくらのうた』のアウトロ、ファルセットで歌っている部分があるじゃないですか。


ー はい、分かります。

あの部分が、姉や身近な人に評判良かったんです。「ファルセットも歌えるんだね」って。それで調子に乗ったのかもしれないけど(笑)、別にファルセットで歌うということを毛嫌いしていたわけではないのに、今まで試していなかったなと。


ー そうだね。曲もそうだけどこの声、好きだな。

嬉しい!(取材時)この曲に触れてくれたの、まだ2人目ですよ。


ー そうなんだ。この曲はJAグループ秋田・JAあきたの秋田米「あきたこまち」新CMの主題歌ですが、「あきたこまち」は優くんにとってソウルフードならぬソウル米だね。

そうです!ごく自然に子どもの頃から食べていて。


ー 贅沢だよね(笑)。

県外の人からはよくそう言われます(笑)。この曲は、僕の祖母を考えて書きました。うちは共働きだったから、ばあちゃんが一番ご飯を作ってくれていたんです。だからある意味僕の中でのおふくろの味はばあちゃんの味。あ、勿論母親が作ってくれるご飯も美味いんですよ(笑)。でもばあちゃんが2007年に亡くなって。


ー そうだったんだ。

亡くなった時、僕は札幌で路上ライヴをしていたから僕だけ看取ることも出来ず、それは自分の傷跡でもあるんですが、そのすぐ後に今の事務所に所属することが決まったり、2008年に上京して自分の周囲の環境が色々と変わっていって、不思議なことが多かったんですよ。僕はあんまり神がかり的なことやUFO、幽霊を信じる方じゃないし、どちらかというと面白がってホラー映画をレンタルするようなタイプだけど(笑)、ふと何かあるのかなと思ったんです。家族やすごく大切な人が亡くなった時に何かがあると「見守っているんじゃない?」って言いませんか?


ー 言いますね。

そこで「幽霊信じてるの?」とはならないじゃないですか(笑)。


ー ならない、ならない(笑)。

それって面白い境目だなと思って。


ー やっぱり家族や大切な人という前提がそうさせているのかな。

分かんないんだよなぁ、それが。でもその人のことをよく知っている人ほど「笑っていそうだね、今も」と言うし、だからと言って心霊的なことへも繋がらない。その境目あたりで歌を書きたいなと思って。存在していない、死んだら無です!と言ってしまえばそれまでだけど、実際死んだことないから分からない以上はその部分に少しファンタジーを持たせて、悲しみのない場所で今も笑っていて欲しいなと考えるんです。実際そういう夢を見ることもあるし。


ー おばあちゃんの?

そう。ばあちゃんの夢、結構よく見るんです。


ー おばあちゃんは、笑っている?

うーん、笑っている時もあれば難しい顔をしている時もあれば。それが宗教的な意味なのか霊的な意味なのか分からないけど、会いに来てくれたと思うことも出来るし、僕がただこうなれば良いなと妄想…というか、思い描いているだけだとも言えるんだけど。


ー おばあちゃんが亡くなったこと自体は悲しいけど、あのファルセットが温かいのも納得出来ます。あの曲は良いですよね。

ありがとうございます。


ー それと高橋優サウンドの中では“アイアンハート”は、ちょっとビートが珍しいかな?

確かに。まっすぐでシンプル。あまり迷いがなかったから今回のアルバムの中ではすんなりレコーディング出来た方ですね。

  リリース情報

高橋優
「来し方行く末」

2016年11月16日発売

-収録曲-

1. Mr.Complex Man
2. 君の背景
3. さくらのうた
4. 明日はきっといい日になる
5. 拒む君の手を握る
6. 象
7. 悲しみのない場所
8. 産まれた理由
9. アイアンハート
10. Cockroach
11. 光の破片
12. BEAUTIFUL

■ 期間生産限定盤
予定内容:特殊パッケージ+手書きブックレット+
DVD(秋田CARAVAN MUSIC FES 2016 at グリーンスタジアムよこて 2016.9.3-4ライブ映像&
秋田フェスお蔵入り映像「ユウタイム~あきたの時間」+林卓の活躍in 秋田フェス

DVD(秋田CARAVAN MUSIC FES 2016 at グリーンスタジアムよこて 2016.9.3-4 収録曲
1. パイオニア
2. WEEKEND JOURNEY
3. 太陽と花
4. 産まれた理由
5. 光の破片
6. BE RIGHT
7. 現実という名の怪物と戦う者たち
8. 泣ぐ子はいねが
9. 明日はきっといい日になる
10. 福笑い

■ ファンクラブ限定盤 CD+DVD
予定内容:豪華スペシャルパッケージ+豪華フォトブック(秋田フェス密着写真)+DVD(弾き語りLIVE TOUR「胡坐」2016 at キネマ倶楽部 2016.5.26)
※ファンクラブ限定盤のジャケット写真は通常盤と同一です。

DVD(弾き語りLIVE TOUR「胡坐」2016 at キネマ倶楽部 2016.5.26)収録曲
1. 蛍
2. 雑踏の片隅で
3. 蓋
4. 運命の人
5. 昨日の涙と、今日のハミング
6. 今、君に会いに行く
7. 一人暮らし
8. I LOVE YOU
9. クラクション
10. BE RIGHT
11. 明日はきっといい日になる
12. さくらのうた

□ 期間生産限定盤及びファンクラブ限定盤 封入特典
封入特典:高橋プロ野球?カード(5種類のうち1種類をランダム封入<大当たり林卓カードが出たら“林卓抱き枕”がもれなく当たるチャンス付!!>)

来し方行く末

期間生産限定盤 CD+DVD

WPZL-31246/7 / 3,900円(税抜)

来し方行く末

通常盤 CD

WPCL-12461 / 3,000円(税抜)

来し方行く末

ファンクラブ限定盤 CD+DVD

WPZL-31248/9 / 4,700円(税抜)

  インフォメーション

高橋優 全国ホール&アリーナツアー 2016-2017「来し方行く末」開催決定!!

12/3(土)埼玉・狭山市市民会館【FC限定販売公演】
12/11(日)石川・本多の森ホール
12/17(土)福島・郡山市民文化センター・大ホール
12/18(日)新潟・新潟県民会館
12/20(火)長野・ホクト文化ホール・中ホール
12/21(水)埼玉・大宮ソニックシティ
12/25(日)沖縄・沖縄市民会館
1/7(土)宮城・仙台サンプラザホール
1/8(日)宮城・仙台サンプラザホール
1/14(土)福岡・福岡サンパレスホテル&ホール
1/15(日)鹿児島・鹿児島市民文化ホール第一
1/21(土)香川・レクザムホール
1/22(日)高知・高知県立県民文化ホール・オレンジホール
2/3(金)広島・広島文化学園HBGホール
2/4(土)山口・周南市文化会館
2/10(金)秋田・秋田県民会館
2/12(日)岩手・盛岡市民文化ホール
2/19(日)熊本・荒尾総合文化センター
2/20(月)大分・ホルトホール大分
2/26(日)岡山・岡山市民会館
3/11(土)愛知・名古屋センチュリーホール
3/12(日)愛知・名古屋センチュリーホール
3/18(土)北海道・わくわくホリデーホール
3/19(日)北海道・わくわくホリデーホール
4/1(土)神奈川・横浜アリーナ
4/2(日)神奈川・横浜アリーナ
4/16(日)大阪・大阪城ホール

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