高橋優、15thシングル「光の破片」インタビュー

August 29, 2016 12:00

ー そうだよね。

チャペルのバージンロードで娘と手を組んで歩くお父さんから、旦那さんになる人にバトンタッチする時のお父さんの背中！


ー あぁ、切ない！

あの哀愁！それをずっと感じていたので、その目線で写真もピックアップしていましたもん。新郎新婦がラブラブの、二人だけの世界の写真なんて選ばなかった！


ー アハハ！

というか、やっぱり家族みんなで笑っている写真が良かったんです。それも、多分お父さんのこの微笑みには何か深い想いがあるんじゃないかな？とか、お母さんも大変だったんじゃないかな？とか。そういう面を大切にしました。僕にとって良い経験でした。


ー では、改めて8月31日リリースの『光の破片』の話へ。タイトル曲はTVアニメ『orange』のオープニングテーマとして既に耳にしている人も多いと思いますが、作者高野苺さんからのリクエストだとか。

そうなんです。でも、高野さんがそう言ってくださっているというのは、曲を書いた後に知ったんです。


ー え、そうなの？

僕個人的な想いとしては、タイアップのお話を頂く前から原作を読んでいて好きな漫画だったので、お話を頂いた時はすごく本当に嬉しかったし、絶対に良い作品を作りたいってテンションが上がったんです。ただ、曲を書いている最中はどちらかというとアニメーションの作画監督とのコミュニケーションが多いんです。


ー そうか。作画監督からの曲のイメージに対しての要望は？

主題歌がコブクロさんなので、コブクロさんのバラードと少し差別化を図れるような楽曲だと望ましいというリクエストは頂いていました。でもまさか高野苺さん自身からのご指名とは思わなかったし、何故か僕の耳に入ってこなかったんですよ！


ー 何でだろう（笑）。

僕が調子に乗ると思ったんですかね（笑）。


ー その方が良い仕事が出来ると考えているのかな？…ていうか、イジメられてるんじゃないの？（笑）

「CANDY part2」が出来るかも！


ー アハハ！で、どうやって知ったの？

僕がエゴサーチして…（笑）。


ー エゴサすな！

＜一同爆笑＞

でもそこで高野さんが、登場人物の成瀬翔くんの描写をするにあたって、僕の“少年であれ”を聞いていたから、今回のオープニングテーマも高橋優が良いというのをTwitterでつぶやいていて（6月15日 高野苺さんのTwitterより）。しかもそれをタイムライン上で見つけて「うおぉぉぉ！」って思いましたよ。


ー それ凄いね。

本当に嬉しかったです。


ー 歌詞では「万華鏡」というワードが出てくるけど、特にどういう部分からそのワードに繋がったんですか？

『orange』という漫画は、高宮菜穂ちゃんと成瀬翔くんの恋愛を中心に、仲良し6人組にまつわるストーリーなんですが、翔くんにちょっかいを出してくる人とかもいて。


ー 先輩？

そう、上田先輩！もしかして『orange』観ています？


ー アニメの方を。

なるほど！そうやって誰かと誰かが好きになりあったり嫌いになりあったりして離れたり。あと自分にコンプレックスを持っていて「自分の体型が嫌だ。」とか「目の色が嫌だ。」とか色々なことを言う人がいる一方で、揺るぎない自分のアイデンティティ持っている人もいる。そうやってくっついたり離れたり、自分のことを好きになったり嫌いになったりしつつも、バラバラの色を持つ人たちが集められていることは美しいというか。逆にカリスマがいて、みんながその人と同じ色になっていたらすごく変だと思うんです。そういう万華鏡は見たくないじゃないですか。


ー 綺麗じゃないかも（笑）。

アクセサリーとかもそうだけど、刺し色が入っていたり様々な色が組み合わさっているから綺麗に見えるものって沢山あると思うんです。万華鏡の中に見える石って、形もいびつだったり大きさや色もバラバラじゃないですか。


ー 確かに。

まさしく人間模様と似ているというか。人間関係で苦手な人とくっつかなければいけない時って、やっぱりすごく嫌だし主観で見たら煩わしいことが多いんだけど、俯瞰して見ると、僕らが誰かと誰かが関係を持ったり繋がったり友情が芽生えたり、それが切れて離れたりする模様というのは、きっとそんなに捨てたもんじゃないし、ともすると美しく見えるんじゃないかな。そういうことを『orange』の人間関係で感じて、万華鏡という表現に繋がっていったんです。


ー すごく納得出来ました！

『orange』主要メンバーの6人ってみんな本当に良い人たちじゃないですか。


ー そうだね。優しいし楽しいし。

こんなグループに巡りあっていたら僕も、もっと良い人間になっていたかもと思うくらい。


ー いやいや（笑）。

だって翔を助けたくてみんな必死じゃないですか。


ー うんうん。

みんな美男美女だし。「何の不満もないでしょう！」って思うしみんな本当に良い人たちなんだけど、良い人すぎて心に闇があるような気がするんです、6人ともが。どこか寂しそうというか。


ー あー、なるほど。

優しい人って優しい分、辛さも知っているじゃないですか。


ー 我慢しちゃったりもするし。

そう、我慢して言わないようにしたり、逆にあえて言う苦しみを選択したり。だから「その横顔をずっと見てた」という歌詞を書いたのは、『orange』で言えば6人が6人ともそういう状態な気がしたからなんです。翔のことを菜穂ちゃんが見ているかもしれないし、逆に菜穂ちゃんのことを翔が見ていたかもしれない。でも、もしかしたら翔はお母さんの横顔を今でも見ているかもしれなかったり。