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【コラム】オフィス オーガスタ特集 最終章 佐藤洋介篇 前編:エンジニアとは。

【コラム】オフィス オーガスタ特集 最終章 佐藤洋介篇 前編:エンジニアとは。

August 23, 2016 19:30

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昨年、【オフィス オーガスタ特集】の企画打ち合せ中、スタッフの方が「(佐藤)洋介さんはテクニカルなことを、分からない自分にも分かりやすくて丁寧に教えてくれた。」と雑談で話していた。その言葉が発端となり、この企画の最終章は佐藤洋介氏にスポットを当てることにした。1998年、岡本定義とのユニット“COIL”として『天才ヴァガボンド』でデビュー。アーティストでありながらそのエンジニアとしてのサウンドメイキングの技術とセンスは外部のアーティストからも高い評価を得る。 2005年にRCサクセションのライブ盤『ラプソディーネイキッド』で臨場感溢れる音作りをし、 2006年はCOILとして初めて映画『初恋』(主演:宮﨑あおい)のサウンドトラックを担当。 元ちとせ、杏子、福耳、長澤知之、竹原ピストル他への楽曲提供やエンジニアリング、プロデュースも手がける彼は、COIL脱退後もサウンドプロデュースができるエンジニアとして、活動の場を広げている。2回にわたりお送りする【オフィス オーガスタ特集 佐藤洋介篇】の第一弾は「エンジニアとは。」とはいえ、エンジニアの仕事についてだけでなく、音楽制作にまつわることや、音についてなど、スタッフの方の言葉通り、制作については素人の筆者にも分かる話を色々な角度から丁寧に話してくれました。


ー 今回は、(自分を指差しつつ)この猿にも分かるエンジニア講座を。

いや、そんなそんな(笑)。


ー いきなりド素人的な話から入りますが、エンジニアという仕事って実は分かっているようで結構分かっていないことがあるのかなと思うんです。

お題があって料理する料理人みたいな立場がエンジニアです。例えばオムレツ。


ー オムレツ?

オムレツって、卵の混ぜ方や焼き方によって、味や見た目が変わってくると思うんです。それを盛りつける行為が「アレンジ」だとすれば、作るための材料は決まっていて、それをいかに美味しくするか考えて実行するのがエンジニアです。


ー 機材としてはどういうものを使うんですか

今だったら殆どがパソコンで出来ます。多分ラップトップで全て出来ると思うんです。だから普通に皆さんが自宅に持っているWindowsやMacintoshで出来るようなことを僕たちもやっています。でもそこで、どうしても得られない質感やお気に入りの道具、例えばそれがミキサーであったり音を歪ませる機械だったりを使って、外部に音を出してまたパソコンに取り込むという作業をするんです。


ー では洋介さんもパソコンで?

僕も今の主体はパソコンです。それにミキサーですね。ミキサーはどちらかというと音を取り込む時に使うので、歌を録ったりギターを録ったりする時にミキサーを通してからコンピューターに取り込んでいます。


ー ドラムもですか?

はい。ドラムはアナログの音が振動で来るので、それをミキサーに一つずつ通してコンピューターにデジタル変換するという作業になります。


ー アナログの面白さと、デジタルの面白さの違いは何でしょうか?

難しいですが、面白さというよりデメリットの話からすると、アナログは機械が大きくなること。大げさになって持ち運びがまず不便なんです。だから再現性がそこでしか出来なくなる。それがコンピューターの場合だと、同じラップトップを持ってさえいればどこでも同じ音が出せるので、そういう違いがあります。メリットというか、アナログの良さで言うと、作る時の過程に思い切りが出るということです。そこで決定するというね。こういう音をこれくらいのボリュームで録りたいとか、ヴォーカルのイメージやドラムの雰囲気など、ある程度決めてかかるんです。だから最終的な行程でそんなに悩まない。ただコンピューターの場合は後からいくらでも手直し出来てしまうので、ずっと悩み続けるんですよ。


ー 確かにコンピューターは手直しが楽、それがメリットでもありデメリットでもあり。

そう(笑)。悩み続けて、しかもどこでも再現出来るので「やっぱりアレンジを変えようかな。」と思えば普通に出来てしまう。しかも低コストで。昔はアレンジを変えるとなると、すごく大きな決断になるわけですよ。もう一回スタジオを予約して、最初からすべてを録り直す。つまり今までやってきたことと同じ過程を踏んでいかなければいけないので、すごく時間とお金のロスがあるんです。ただ出来上がった時の勢いとしては、アナログの方が強いと思います。


ー それは機材の問題ということだけではなく?

精神的な部分が大きく影響してきます。音楽の大半はそういうもので、なるべく録る時はデジタルでも決めてかかるというか、自分の中で大まかには決めているんです。そうしていかないとずっと悩み続けるので。いくら時間があっても足りなくなって、アルバムを作るのに5、6年かかっちゃう(笑)。


ー 海外のビッグアーティスト並みですね(笑)。

そうそう!大御所になって、アルバム一枚出したから、もういいやみたいな感じならゆっくり作れるけど(笑)。


ー 今はデジタルで音が無限に加えられると思うのですが、人間の耳はアナログじゃないですか。

ええ。


ー デジタルで音を重ねすぎてしまうと、個人差はあれど人間の耳で感じ取れるか取れないかの微妙な音たちが、本当に伝えたい音を邪魔してしまう気がするんですが。

確かにアナログよりチャンネル数はすごく増えているわけで、段階的に言うとTHE BEATLESの時なんかは4トラックや8トラック数でまとめられている。ピンポンしているので実際の音数はもっと多いんですが、それが24chのアナログテープになって、そこから48chのデジタルに変わり、現在のコンピューターだとほぼ無制限のトラック数になるんです。確かに重ねすぎているものはあるんですが、聴こえる部分と聴こえない部分の可聴範囲でいうと、実はアナログの方が少し広いんです。

 

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