さかいゆう『4YU』インタビュー

February 1, 2016 20:00

ー アハハ、ツネられるって。まぁ確かにないけど（笑）。

誰かに何かを言われても、それでツネられてるわけでもなければ、お金を奪われているわけでもない。だから身は削っていないし、楽しいことばかりですよ。昔、ジャニス・ジョップリンとかが身を削って歌っていたって言うけど、あれはドラッグをしながら毎日アルコールを呑んで死んだわけですから。チャーリー・パーカーだってそう。でも今は今の違う楽しみ方というのがあるし。


ー でも歌詞ってゼロから作り出すじゃないですか。どういう言葉を組み合わせるかとか。

言葉はゼロじゃないですよね。99.9%から0.001%だけ自分でハメるだけ。


ー でも、そのハメることが大変じゃないですか。

テクニックは必要です。僕は作詞を軽視しているわけではないけれど、言葉自体はありものじゃないですか。 “下剋情緒”という言葉はないけど、「下克上」と「情緒」という言葉だってある。「甘い」も「メランコリック」も、言葉としてある。ありものを組み合わせているんです。ちょっと分かりづらいんだけど、自分ではこんな言葉は使えないと思わせる言葉で、かつ理解出来るレベルのものをバランスよく書ける人が優秀な作詞家。だから色々な歌詞を読むと、よく出来ているなと思います。ただ僕は歌詞だけを見て泣いたことはなくて。


ー そうなんですか？

ええ。もう解散したけど、僕は野狐禅が大好きなんです。でもあれは（竹原）ピストルさんが歌うから良いんです！


ー あぁ、なるほど。

勿論素晴らしい歌詞なんだけど、やっぱりピストルさんでないと。それと“チキンライス”の歌詞も好きなんです。でも松本人志さんじゃなく、作詞家さんが書いていたらまたちょっと違う風に聴こえませんか？


ー そうかもしれないです。

それこそ椎名林檎さんの「歌舞伎町の女王」だって、彼女があの風貌で歌うから威力を発揮する。あの曲だって作詞家さんが書いていたらイメージも変わってしまう。歌詞のイメージってそうやって変動すると思うんですよね。だからというわけではないけど、僕はそんなに動かないメロディやサウンドの方に興味が沸くんです。でも日本はある意味、作詞が命。どういう歌詞を書くか、どういうことを思っているかが重要だから、その点では大変です。本当はインストでも良いけど、歌も歌っているから歌詞も書かなきゃいけなくなっちゃった。だから頑張っています（笑）。例えば本を沢山読んでいる人の方がボキャブラリーは広いし、歌詞を沢山見てきた人からすると、それ以外の何かを求めようとするじゃないですか。


ー それ以外の何か？

例えば、「この歌詞はあのアーティストの曲と一緒だよ。」とか（笑）。


ー なるほど（笑）。

でも本人からすると、どうでも良いんですよ。だって自分が感じて書いたものだから。それが言葉の持っている力。でも色々な面ではバランスも取らなければいけない。世の中の建て前や、その言葉を36歳の僕が言って良いのかとか。だから歌詞を書くことは、身は削っていないけど、やはり時間はかかります。それにキャラって大切じゃないですか。


ー キャラ？

今って楽曲だけでなく、アーティストの人柄、つまりキャラクターが求められる時代でしょ？なんならトーク力の方が大切かもしれない（笑）。音楽はCDがあるから、トークでどう個性を出して、どういう人間かを分かってもらう。そこで初めて興味を持ってもらってから「こういうことを歌っているんだ。面白い人だね。」という図式が出来上がっている。どこかドメスティックというか。昔はラジオから曲が流れてきて「ヤベー！この曲カッコいい！」で良かったわけですよ。それがミステリアスで。でも今は人間性が出るので、更に歌詞にも注目される。本当は「ヤベー！」だけで良かったかもしれないじゃないですか。


ー 確かに、音楽を囲む環境が変わってきたのは事実ですよね。

でも僕は、それでも世代を超えた名曲を書きたいと思っているんです。 石川さゆりさんの「津軽海峡冬景色」を狙っていますよ（笑）。今って、若い人たちは知っているけど自分の親世代はまったく知らないヒット曲があるわけじゃないですか。


ー ええ。

でも日本語を使っていることと、日本に住んでいること。同じ状況だし、同じ社会の中で生きているわけだから、絶対にそこがリンクする音楽があると思うんです。僕は好き勝手に音楽をやっていますが、そこはアルバムの中で狙っていきたんです。みんなを繋ぐ音楽。まぁ、そうしたいというよりは、憧れですね。


ー アルバムの曲ではないかもしれませんが、3月19日公開「映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う♪奇跡の魔法！」（以下：プリキュア）主題歌の作曲・編曲を担当されましたよね。正直、意外でした。

オファーを頂いたんです。僕は自分が出来そうだと思えばトライはしたいタイプで、この曲も森雪之丞さんの詞を見させていただいて、出来そうだと思ったので、受けさせていただきました。


ー『ジャスミン』のインタビューで、「楽曲提供は別としても、人に歌ってもらうということを前提に書いた曲って、一曲もない。」っておっしゃっていましたよね。

ええ。


ー 今回のプリキュアは書き下ろしですが、子どもたちが歌うことを、どこかで念頭に置かなければいけないのかなと思ったのですが。通常の楽曲との違いや難しさなどはありましたか？

全然なかったです。いつも通り、自分でも歌える曲として作りました。多分今回、そういう面を考えたなら僕にオファーは来ないと思うんです（笑）。


ー アハハ、なるほど。

ただ今回は自分でもすごく楽しみです。プリキュアは女の子たちの憧れの的ですからね。


ー そうですよね。アルバムの話に戻ると、“あるギタリストの恋”はタイトルだけ見ると、一瞬ウディ・アレンの映画『ギター弾きの恋』を連想しました。

あぁ、なるほど。この曲はあるギタリストが結婚する時に、僕が結婚式で歌った曲なんです。


ー じゃあ、それこそ“sammy”のような。

そうそう、 “sammy”に近いかもしれない。その時は弾き語りだったんですが、すごく好評で。少しだけ歌詞は変えましたが、アルバムの中でもなかなか良いアクセントになったなと思って。


ー なっていますね！歌詞のように「俺のギターに惚れてもいいぜ」みたいなことを言う方なんですか？

言う言う（笑）。僕の大好きなギタリストだけど、この人がいなければ僕の音楽人生はちょっと変わっていただろうな。
 

『4YU』発売記念モールツアー2016

□ 愛知県
2016年2月7日（日）1部13:00～START / 2部15:30～START
イオンモールナゴヤドーム前 1F セントラルコート

□ 静岡県
2016年2月11日（祝・木）1部13:00～START / 2部15:30～START
イオンモール浜松市野 1F シンフォニーコート

□ 茨城県
2016年2月13日（土）1部13:00～START / 2部15:00～START
イオンモールつくば 1F ウエストコート

□ 埼玉県
2016年2月14日（日）1部13:00～START / 2部15:30～START
イオンレイクタウンmori 1F 木の広場

□ 広島県
2016年2月21日（日）1部14:00～START / 2部16:00～START
イオンモール広島祇園 1F エキチカコート

□ 福岡県
2016年2月27日（土）1部13:00～START / 2部15:30～START
イオンモール香椎浜 1Fセントラルコート


さかいゆうTOUR 2016 “4YU”

6月17日（金）札幌・cube garden
6月21日（火）愛知・名古屋CLUB QUATTRO
6月28日（火）高知・X-Pt
6月29日（水）大阪・Zepp Namba
7月01日（金）福岡・DRUM Be-1
7月03日（日）東京・昭和女子大学人見記念講堂