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【松室政哉 密着レポート!】レコーディング合宿編 page.2

【松室政哉 密着レポート!】レコーディング合宿編 page.2

November 26, 2015 18:00

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11月13日(金)11:00。

1階へ降りると昨日…というか、今朝方まで呑んでいた場所に松室は座り、すでにPCで音源チェックをしている。

「おはようございます。 まだ2日目なんですよね(笑)。」充実と疲労が混ざった笑顔で笑う松室。そのうち、ビリアードをするいまぜきが気になったのか、松室も初ビリアードに挑戦。(と言ってもゲームをするわけではないが。)

20151126_1242.jpg写真:一打目は不発ながら、二打目はコーナーポケットにイン。

12:00。
昼食を食べていると山口が再びスタジオ入り。更にあらきゆうこも到着し、徐々にレコーディングモードへ切り替わる。

「境港に松室くんのファン増えたよ!」

セッティングを終え、コントロールルームへ来たあらきが今年10月に開催、松室も出演した【第11回海辺のまちの音楽祭一日限りの大復活祭 with Augusta Camp Extra in 境港】の話や、蟹やすっぽん料理の話などでウォームアップをするように和やかな空気を持ち込むと、この日最初のレコーディングがスタート。後半にかけて盛り上がりを見せるサウンドは、あらきと山口のダイナミックなリズムが楽曲を更にドラマチックに肉付けした。

山口が自身のラウドなベースプレイに「やりすぎかな。」と言えば、 山口と長い縁のあらきは「寛雄、謝った方が良いよ(笑)。」と冗談を言う。「他の人が見る寛雄と私が見る寛雄は全然違って、憎めない弟分的」と語るあらきだからこそ、プロ同士で言える冗談。更に半田は「それが山ちゃんに来てもらった狙いだから(笑)。」と笑う。

20151126_1344.jpg写真:カメラに気付いた山口がポーズをきめると、「私もー!」とあらきも入り、3人で撮影。

今回のレコーディング合宿の目的を半田に問うと「松室政哉というアーティストを鍛える」という答えが返ってきた。だからこそ、こういう一見何気ないと思われるような会話の中にも、楽曲ごとに違うサポートミュージシャンにプレイしてもらう理由や、そこで生まれる音から吸収すべきことが詰まっているのだと思う。

20151126_1124.jpg「先輩のスキマスイッチや秦 基博、さかいゆうも基本的にはセルフプロデュースで自分たちの音楽を構築できるアーティストです。そういう先輩たちに負けないように鍛える!」と言う半田。半田が制作を始めて最初に携わったのがスキマスイッチ。「スキマスイッチのような人たちと一緒に仕事をしていると、ポップスをもっと手がけたくなるんですよ。」そう話してくれた半田だが、スキマスイッチもさかいゆうも元々は別のスタッフが発掘してきたことから、そういうことにずっと憧れと葛藤があったと言う。「もう10数年ぐらい新人アーティストを探し続けてきましたが、初めて作品だけじゃなく、”松室政哉”というアーティストを1から一緒に作っていける、そんなパートナーが出来た感じです。」 憧れと葛藤の先にある未来はまだ未知だとしても、その表情や口調から松室の実力を絶対的に信じていることがうかがえた。

20151126PB151656.jpgだからこそ、レコーディング中の半田を見ていると、他のミュージシャンへ対しての指示や、仕上がりのジャッジに関して、過多な関わり方をせずに、第三の目で全ての成り行きを見守っていた。

20151126_1438.jpg写真:松室がセッティング中にギターを弾く半田。

「今回も楽曲のバリエーションが豊かでビックリしました。でも色々と話をすると、こういう音楽も好きなんだという幅広さも感じました。」

『オレンジ EP』でも携わったあらきが語る通り、取材をした2日間だけでも松室の楽曲バリエーションに驚かされた。そんな松室の楽曲に対して、あらきが一番最初に持った印象は“王道的ポップセンス”。

「色々な人が好きになる要素を持っている気がする。すごく良い意味でポップ。聴いた時もそう思ったし、実施に叩いてみた時も変なひねりがない分、演奏し易い。」と語ってくれ、特に「色々な人が好きになる要素を持っている」という言葉は芯を食っていると感じた。どれだけバリエーションに富もうとも、違和感を感じなかった理由はそこにあるのだと気付かされる。

20151126_1360.jpgこれはあくまでも個人的見解だが、オーセンティックなバラードであれ、ソウルフルなアッパーチューンであれ、そこには何かしらの“ポップさ”が存在すべきだと思っている。それが再び聴きたくなる要素のひとつなんだと。

更に、あらきと山口が織りなすグルーヴの素晴らしさに触れると、あらきは「松室くんのポップな曲の中で寛雄と一緒にプレイ出来るというのは、遊びながら見守るというか色々な気持ちが発動しました。それはイコール楽しいということ。また松室くんと一緒に演りたいです。」とコメントをくれた。

「この曲、最高にカッコいいね!」この2日間でもっとも松室の振り幅を感じた次曲のレコーディング中、思わずそう口を突いて出てしまった。少し前のめりになりながら「個人的にも大好きな曲なんですよ!」と、松室も嬉しそうな笑顔を見せ、ヴォーカルブースでギブソンに持ち替えて松室も、もうワンテイク録音。

20151126_1428.jpg写真:リズムを取る松室の背中から満足度が伺えた。

コントロールルームに戻った松室の背中は、あらきと山口のプレイにダンスしそうな勢いで大きくリズムを刻んでいる。思い描くイメージとしっかり合致しているのだろう。しかし、音楽を純粋に楽しむようなその姿の一方で、どこか冷静さも感じる。

「オーガスタキャンプで他のアーティストのステージを見ている松室くんは、普通にお客さんとして楽しんでいる。変に斜に構えてライバル視するんじゃなく、スキマスイッチや杏子さんなど全てのステージを楽しみながら観ている感じがして、憎めない。」とあらきは語っていた。

確かに、まっすぐに音楽を愛する松室の姿は、行きのカーラジオで流れる曲や、昨晩の飲み会で聴いた音楽たちへも素直に向けられていた。その反面、いまぜきの「松室くん本人が映画好きなだけあって、どこか俯瞰で見ている世界観があって、新鮮です。」と言う言葉通り、リズムに躯を預けつつも耳と脳の半分はあくまでも冷静に楽曲の仕上がりや次の展開を考えているようにも見える。これが半田の言う、松室のプロデューサー気質だろうか?

「今の感じ、いいですね!」

あらきとやりとりをしながら、ドラムのリズムを決定する松室の姿には、確かにその気質が見え隠れしていた。

ここまで6曲を収録が終了。オカモトコウキ(Eg / OKAMOTO’S)と岡本啓介(Dr / 黒猫チェルシー)がスタジオ入り。

次曲で植松慎之介と共にセッティングをする中、松室にレコーディングの流れは掴めて来たかと質問すると、「レコーディングに慣れているわけではないので、ずっと新しいことにチャレンジしている感じです。あっという間といえばあっという間で、まだ掴めているわけではないし、凄い人たちが来て凄い演奏を見ている感じ(笑)。」と語ってくれた。

「今迄バンドやソロも含めて音楽活動歴は長いものの、ちゃんとしたレコーディング経験はもちろん少なくて、デモを作る時も自宅で宅録なので、誰かと何かを作っていくという作業をとにかく沢山経験させたいという想いが大前提にありました。」今回のレコーディング目的が「鍛えること」と言った半田の言葉。

「1人で宅録をしていると機材などの知識やそれらを扱う技術は高くなりますが、どうしても作品が1人の世界で完結してしまい、そこから1歩先に作品を押し上げるのが難しくなってきます。だからこそ今回のようにエンジニアやミュージシャンをお呼びするわけですが、やっぱり松室自身の中にある選択肢はまだまだ少ないんです。作品を作る上での僕の役目は、まず彼が作ってきたデモを聴いて、正直に「ダメな部分」を伝えること。そして彼の意図する音、その音を出せるミュージシャンをイメージして、より良い選択肢を提案して組み合わせること。僕はあくまで現場監督のような立場であって、実際に作業をするのは松室です。だから僕は環境を提供する。松室はその環境をフル活用する。そうやって沢山の人間と関わって、自分の意図を伝える、相手の意図を汲み取る、そんな作業を繰り返すことが、何より”鍛える”ことに繋がるんじゃないかと。」半田は語る。

最後に松室は「常にその時の松室が作れるものじゃなきゃいけない。『オレンジ EP』の時も、その時の松室政哉だった。そこから1年位経過した中で、どんな松室政哉になっているか。“こういうことを言いたい”というよりは、その時自分から自然に出て来たものが良いと思う。だからこそ、成長していなきゃいけない。」と語ってくれた。良い意味でも悪い意味でも影響を受け易いと言う松室。それが彼の面白さかもしれない。その時その時で興味を持ち、影響を受けながら「松室政哉」というフィルターを通して、彼の音に染めていく。19日まで続く合宿へエールを送りつつこの日最後の録音が始まる頃、レコーディング合宿密着取材は終了した。

20151126PB191686.jpg

text&photo:秋山昌未
photo:半田悠



松室政哉
1990.01.04生まれ
シンガーソングライター

2014年にオフィスオーガスタが主催する夏のイベント「Augusta Camp 2014」にオープニングアクトとして出演。
この日からLIVE会場限定CD「オレンジ」を販売開始し、ステージでのパフォーマンスを見た観客がCDを求め長蛇の列を作る。
以降各地のライブで販売を続けたCDは発売から8カ月で生産分を完売。
完売と時を同じくして2015年3月、その限定CDの表題曲「オレンジ」が" BRAND REUSE NANBOYA"CMソングに抜擢され、CMを見た視聴者から問い合わせが殺到。
それを受け、同CMソング「オレンジ」や"ぐるなびウエディング”WEB CMソングの「何でもない毎日」など、珠玉の5曲を詰め込んだCD「オレンジ EP」を自身初の全国流通盤として満を持してリリース。


■ 松室政哉 オフィシャルサイト
http://matsumuroseiya.com/top.html

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Matsumuro Seiya LIVE 2015
-Trailer-


2015年12月4日(金)
青山・月見ル君想フ(http://www.moonromantic.com/
開場 18:00 / 開演 19:00
前売¥3,000- / 当日¥3,500- (1D別)
出演:松室政哉

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