さかいゆう『ジャスミン』インタビュー

October 19, 2015 18:00

ー え、知らなかった！

それを加工してあの音に仕上げてるの。そういうことをしていれば、そりゃスケールは小さくなりますよ（笑）。でもそこがまた面白い！人がやっていないことをやっているなって。そういう意味ではやっぱりPrinceなんかも凄いですよね。譜面も読めないけど、あるセッションでEフラットを何時間もずっと弾いていて。しかもそれが、もうベーシストも惚れるくらいにリズムが良いんですよ！そこがセンスなんでしょうね。


ー やっぱりセンスって大きいですね。楽曲の話に戻りますが、“WALK ON AIR”は石崎光さんがプロデュースということですが、ギターは今回弾いていないんですか？途中やアウトロ部分の歪みがギターっぽく聴こえたんだけど。

それはベースですね。 今回は完全にピアノトリオにしたので、言われた音はベース音を加工してああいう音に仕上げているんです。そういう部分も含め、光さんの凄いところですね。


ー ユニークさを持つ間奏のピアノもフックになっていますね。

あれは分かり易く言うとBen Folds Five。彼らの楽曲でああいうのがあるんですが、そこは光さんの遊び心ですね。僕ならああいう遊びはチョイスしないから。そういうのがまた面白かったです。


ー そして作詞が渡辺シュンスケさん。歌詞についてのイメージ出しはゆうくんから？

何となく…という位です。というか、この曲は元々全部歌詞が出来ていて。


ー それはゆうくんが作った歌詞ということ？

そう。でも違う歌詞にしたいという気持ちもあったし、僕は縁を大切にするようにしているので、今回は改めてシュンちゃんに書いていただきました。


ー すでに書き上がっている歌詞を新しく、しかも別の方に書いてもらうという決断は結構勇気がいりませんでした？

いや、それで楽曲が良くなるのなら全然気にしません。


ー やっぱりゆうくんは柔軟だ！

自分の書いた歌詞でも良かったんだけど、この曲は普段あまり書かないロックテイストの曲なので、 シュンちゃんならもっと良い歌詞を書けると思ったんです。案の定、やっぱりシュンちゃんの歌詞の方が全然良いですよ。


ー アウトロの臨場感も良かったです。スタジオでのゆうくんやみんなの拍手とかをそのままパッケージされていて。

一発録りですしね。テイクもサウンドチェック後のを使っているので、2テイク。だから色々間違っていますけど（笑）。


ー でもそこでまたライヴ感が出るのでは？

そう。チョイスは光さんにお願いしたんですが、その方が良かったのでそのままパッケージしました。


ー お二人との付き合いは長いんですか？

プライベートでの付き合いは10年以上になるけど、二人一緒に仕事をお願いしたのは初めてです。光さんとシュンちゃんはCafelonというバンドを組んでいるんですが、シュンちゃんは、小泉今日子さんや土岐麻子さんのバックバンドをしていた関係で、僕が小泉さんに楽曲提供した“100%”や、作曲を手がけた土岐さんの“How Beautiful”でもピアノを弾いてくれていますし「ゆうの曲は良いよね。ピアノ弾いてて気持ちよい。ちょっと緊張するけど（笑）。」って言ってくれるんです。 だけど会うのは久しぶりだな。シュンちゃんが5年ぶりくらいで、光さんに至ってはそれこそ10年ぶりくらい。でも楽しかったです。


ー そして今回はORIGINAL LOVEの“接吻”をカヴァー。また素晴らしいチョイスを。

田島貴男大先生の曲をカヴァーしました！


ー 邦楽で言えば『ONLY YU』（2011）で山下達郎さんの“FUTARI”をカヴァーしたけど、今回は何故この曲を？

好きなんです。いつかカヴァーしたいなとずっと思っていて。自分が好きだった音楽は自分なりにカヴァーしていきたいと考えています。今回はオリジナルより更にテンポを落として、ゆったりやってみました。


ー 確かにオリジナルより50秒弱、長いですね。でもメロウな仕上がりはとても心地よかったです。アレンジのオリジナリティ以外でポイントを置いた点は？

田島貴男さんがニンマリするテイク。


ー おお！

そういうのが良いなと思って。それと、オリジナルとは違う側面…僕が見ている側面を紹介しているという感じですかね。今回はテンポを遅くすることでメロディがコードにバンッ！と当たった時の響きが、田島さんが歌われた時の響きとちょっと違う。僕なりの、この曲のオリジナルとは違う良さを知ってもらいたかったんです。あとは田島さんのお許しが請える作品になっていれば嬉しいです。でも今回、良いシングルになったな。


ー 濃い！

ね！いつもシングルのc/wって結構かわいそうな曲が多くて。


ー え、どういう意味？（笑）

リリースのツアーやイベントでは披露するけど、それが終わればあまりプレイする機会がなくて。実際、そこまで網羅し始めたら3時間、4時間とかになっちゃうから。


ー 確かに。

“接吻”はどうだろうな。有名な曲だし、演奏する機会は多いかもしれないな。


ー 1ファンとしてもこの曲は常にプレイして欲しいです！そういえば今回、ジャケットのブーケが、譜面で出来ているのがゆうくんらしくて素敵でした。

可愛いでしょ。あれはツアーに持っていきたいよね。で、プロレスの入場みたいな感じで「ウオォォー！」って叫びながら登場。あのブーケでみんなの頭を殴ってファイナルにはボロボロになっちゃうの（笑）。


ー ダメダメ！（笑）やっぱりここは順当にブーケトスでしょ。

みんな避けたりして（笑）。


ー アハハ！でもこの曲たちを11月末からのツアーで聴けるのが楽しみです。

現段階（取材時）ではリハーサルもまだなのでどうなるか分からないけど、昨年は5周年ということでベスト的にシングルなどのリード曲をメインに構成したので、今回は最近やらない曲も何曲かはやりたいと考えています。是非楽しみにしていて下さい！


ー ありがとうございました！


Interview/Text：秋山昌未


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