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川崎鷹也「カレンダー」、奥さんの涙の理由とは?メジャーオリジナルアルバム『カレンダー』インタビュー

川崎鷹也「カレンダー」、奥さんの涙の理由とは?メジャーオリジナルアルバム『カレンダー』インタビュー

December 16, 2021 19:00

川崎鷹也

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ー アルバムの話とはちょっとズレますが、今年9月に配信リリースされた河口恭吾さんの「Stay Blue(feat. 川崎鷹也)」では河口さんとデュエットコラボされましたね。

はい。元々河口さんは同郷なんです。河口さんのラジオにゲストで出させていただいた時にも栃木の話や音楽に対する向き合い方など私生活も含めて色々な話をさせてもらって、失礼かもしれないけど友達になった感覚というか。だから河口さんからオファーを頂いた時には「勿論ご一緒させてください!一緒に遊びましょう!」みたいな感じで共に歌わせて頂きました。


ー そういえばあの作品のジャケットのイラストって川崎さんが描かれたそうですね。

そうなんです。河口さんに「ジャケットを描いて欲しい」と言われたんですが、僕、絵とダンスだけは下手すぎてNGで……。


ー え、そうなんですか?(笑)

はい(笑)。でも河口さんのデビュー20周年記念でジャケットをコラボ相手に描いてもらう企画だったので、僕も作詞に関わらせていただいた自分が歌っているフレーズの線香花火をモチーフに描きました。勿論僕が描いた原画をプロのイラストレーターさんが調整してくれたんですが。コラボって先入観で凝り固まっていた考えが、誰かと一緒に1つのものを作ることによって、“あぁ、そういう考え方もあるか”とか、“そういうやり方があるのか”って、方法や視点を学ぶ機会が多いので、僕はすごく好きですね。


ー アルバムの話に戻りますが「ヘイコウセカイ」と「僕と僕」は前田敦子さん主演の配信限定連続ドラマ「麺と千尋の並行世界」で起用されていましたね。

はい、書き下ろしさせて頂きました。まだ映像はなく、脚本を読ませて頂いてドラマのイメージ想像した時に、最初に流れてくる曲をはこういう感じが良いかもしれないと思って書いたのが「ヘイコウセカイ」でした。この曲ではは2つの世界線を描いていますが、皆さんもあるは思うんです。大学や就職先、その他どちらを選ぼうって悩んだこと。そうやって少なからず人は選択をしながら生きていると思いますが、選択した後に“あぁ向こうを選んでおけば良かったな”って思うのか、“こっちを選んで正解だったな”って思うのかで雲泥の差がつくので、どちらが正しいかは分からなくても今の自分自身に胸を張れるように生きていきたいじゃないですか。ただドラマ自体は世界線が違うお話なので、そこのコンセプトとズレないように、かつ流れてくる一発目の音楽として盛り上がれるようなメロディーを含めて音の作り方を考えました。それと「僕と僕」も「ヘイコウセカイ」とそんなに違いはなくて、いつか振り返った時に自分が選んだ道が正しかったのかどうか自分自身のみぞ知るみたいな。ただオープニングで流れるかエンディングで流れるかによって曲調を変えてみました。


ー それこそ川崎さん自身、一度会社に就職した後に会社を辞めてアーティストを目指してて結婚もして。そんな風に様々な岐路に立たされてたと思うのですが。

そうですね。それこそ子供が生まれて4カ月の時に会社を辞めているんですよ。


ー それは結構………。

そうですよね(笑)。多分皆さん「え?なんで?!」と思われるだろうし、「安定した職に就いていなよ。」って世間的にも言われることなんでしょうが、妻に話した時「会社辞めても良いんじゃない?」って普通にサラッと言われたんです(笑)。


ー そう言える奥さんってすごいですよね。

多分それを言える人じゃなかったら売れてないミュージシャンと一緒にはいられないと思うし、彼女は彼女なりに僕と一緒にいる覚悟を持っていたんでしょうね。僕もそうですが、お互いにそれがないと駄目なんですよ、きっと。


ー 川崎さんの楽曲というか歌詞から、きっと一途な方なんだろうとご本人をイメージしましたが、こうやって色々なお話を伺うと愛する人がそういう考えだからこそ余計にその想いが歌詞に出るのかなと感じました。

それは絶対にそうだと思います。決して僕が凄いわけではなくて、妻の考え方や人間力を僕は尊敬していますし、こういう人になりたいとも思ってます。だから未だにこの人にかなわないって僕は思っていますしね(笑)。一途な愛っていうと一括りにはなっちゃうんですが、その中にも色々なものがストーリーとしてあると思います。


ー そういう愛情を「ぼくのきもち」ではお子さんの目線で歌っていますね。出産の時やお風呂に入れる時の“パパの顔”をこの先、笑い話にするって可愛いです。

これは完全に僕ですね(笑)。子供が生まれる時に立ち会ったあの瞬間ってもの凄く、怖かったんですよ。楽しみだしワクワクしているし希望に満ちあふれてはいるんだけど、いざ生命が生まれる!あれは多分立ち会った旦那側にしか分からない感覚だし、足も体も震えました。もしかしたら僕はそこで初めて親になった覚悟が出来たのかもしれません。妻は子供がお腹の中にいるし動くから母親の自覚は早かったと思います。


ー つわりもあるし。

そうなんですよ。お腹が大きくなってきたりそれこそつわりが大変とか、色々なことで日常が変わっていくんですが、男性側からすると、そういった身体的変化がないので、どこか実感がわかないんですよね。でもいざ子供が出てくるあの瞬間は子供の命もかかってるし妻の命もかかっているし、それを預かっているお医者さんも本気だし。そのエネルギーがとにかく凄くて!当たり前だけど「みんな本気じゃん!」みたいなシーンを目の当たりにして色々な感情で震えました。お風呂も怖かったですしね。本当に数秒目を離したら命を落としてしまう生き物なので、子供が産まれて一年目くらいの時、倖田來未さんに相談したんです。そしたら「パパも1歳なんだから一緒に成長したら良いんだよ。」と言ってくださって、本当にその通りだなって思いました。


ー このお子さんがもっと成長してこの曲を聴いたときどう思うでしょうね。

どう思うんでしょうね(笑)。親になった今は曲を書く上でのスタンスがちょっと変わったのかなとは思います。今までは自分が良ければOKというソングライティングの仕方でしたが、やはり妻を含めて子どもができると、そこに恥じないようにというのはすごく思うようになりましたね。


ー アルバム最後の「道しるべ」冒頭、「汚れてるユニフォーム」と出ましたが、川崎さんは野球部だったんですよね。

野球部でバリバリの五厘頭でした(笑)。それこそ僕らの時代はギリギリ上下関係がかなり厳しい、いわゆる体育会系の教育方針で、顧問の先生なんて鬼軍曹でしたからね(笑)。今はあり得ないと思いますよ。ただ個人的にはあれも必要なことだったと思うこともあります。最近鬼軍曹の先生と会ったんですよ、地元の中学校に歌を歌いに行く機会があって。僕ももう大人なので、フラットに当時の思い出や歌の世界にいる状況など色々話しました。でもそういう経験があったからこそ部の仲間たちや監督含め、チームで勝ちにこだわることをすごく学べました。僕は負けず嫌いですし、少なくともレギュラーのみんなは本気でしたし、当時から先生がずっと言っていた「全ては繋がっているんだよ」という言葉は今でも僕の中で、座右の銘ではないですが心の中にずっとあります。それが冒頭にもお伝えした私生活と音楽が繋がってるという考えに結びつくんですが、それはあの鬼軍曹が言っていた「繋がってるんだよ!」っていうセリフなんだと思います。ジャージや制服の着方にもうるさかったですもん。ユニフォームとは関係ないけどそれがプレーに出ると言っている、それこそ昭和の監督みたいな感じだったので(笑)当時は、“いやいや試合中頑張ればいいじゃん”って思ってましたが、今思えば本当にその通りだなと思います。


ー じゃあこの曲を歌いながら当時の練習風景とか思い出したりしますか?

思い出します、思い出します!あの頃駆け抜けた日々や笑ったこと、汗を流したこと。めちゃめちゃハードでしたからね。そういう時を共に過ごした仲間たちが今それぞれの道で頑張っていて、僕も音楽の道で頑張っている。音楽をやって、こうやって取材を受けてる未来を想像していた人は僕も含めて多分一人もいないけど、あの頃の気持ちは消えることがないので、それぞれの道や軌跡を辿っていこうっていう当時の仲間たちに向けた曲でもあるんです。それを気づいてくれるか分からないんですが。そして勿論自分自身にも。


ー 12月と来年1月には東京・大阪ライブツアー【カレンダー、めくる日々に丸をつけた】が開催されますね。

やはり僕はライブが一番好きですし楽しいです。何を伝えようか何を届けようか、どういう音楽を紡ごうかライブの度に考えていますが、この状況下で胸を張ってライブに来られなかったり、中には周りに後ろ指さされながら来ていただける方もいるかもしれない。そういう方に、来てよかったと思ってもらえるステージを作りたいです。音楽って生きていく上で必要ないかもしれないけれど、音楽を聴いて今まで以上のポテンシャルを出せたり強くなる気がしたり、主人公になれた気がしたり……そういう魅力が音楽にはあって、音楽の楽しさを改めて実感してもらえる時間にしたいです。


ー ありがとうございました。


インタビュアー:秋山雅美(@ps_masayan


■ 川崎鷹也 オフィシャルHP
https://kawasaki-takaya.com/

Information

Release

川崎鷹也 2ndアルバム
「カレンダー」

2021年12月15日発売

カレンダー

初回限定盤(CD+DVD)

WPZL-31924/25 / ¥3,200(税抜価格¥2,909)

カレンダー

通常盤(CD)

WPCL-13349 / ¥2,600(税抜価格¥2,364)

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