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海蔵亮太、アルバム『僕が歌う理由(わけ)』インタビュー。自分を守る術だった歌が自由へと変わり輝きを増す!

海蔵亮太、アルバム『僕が歌う理由(わけ)』インタビュー。自分を守る術だった歌が自由へと変わり輝きを増す!

February 13, 2021 12:30

海蔵亮太

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ー R&Bベースだけど、サビで歌謡曲のフレグランスを持つJ-POPに変わる感じとかが、デビュー5年目くらいの頃の平井堅さんぽい。

ピンポイントですね(笑)。「fake star」の頃?


ー いや、もう少し前。2000年くらいの作品かな。シングルだと「楽園」とか「LOVE OR LUST」の頃。

ああ、なるほど。この曲って新しさと懐かしさが混在しているんですよね。僕も今回こういう曲調の作品を皆さんに向けて歌うのは初めてだったので、どうなるか結構不安でした。でも面白い形になったと思います。是非ライブで歌いたい曲ですね。


ー サム・スミスの「ステイ・ウィズ・ミー~そばにいてほしい」を今回クリス・ハートさんの日本語バージョンでカバーされましたね。

はい。元々サムが大好きで、デビュー後のリリースイベントでもアカペラでこの曲はよく歌いました。だからいつか何かしらの形で残せたらと思っていたんです。今回は武藤良明さんのギターと同時録音だったので緊張しました!今作の中では一番歌い慣れているけれど、良い意味でフレッシュさを感じてもらえるかもしれません。


ー 日本語バージョンにした理由は?

やっぱり僕、日本語が好きなんですよね。英語の原曲は色々な人がカヴァーしていますが、日本語でももっと沢山の人がこの名曲をカヴァーして欲しいという期待も込めつつ、今回は日本語バージョンで歌いました。


ー リード曲の「僕が歌う理由(わけ)」は、作詞家の鮎川めぐみさんと一緒に海蔵さんも初めて作詞に参加されたそうですね。

はい。この曲は歌詞より先にまずタイトルが決まっていたんです。「僕が歌う理由(わけ)」というタイトルで曲を作ろうということになったんですが、このタイトルなのに自分の言葉でエピソードが入っていないのは意味がないと思って、この曲をきっかけに自分自身を振り返ってみたんです。その中で感じたことや自分が歌い始めたきっかけを鮎川さんと色々お話をして、鮎川さんが言葉を歌詞として紡いでくれ、僕も「もっとこういう方が良いかも」とか「この言葉はいれたい」とか話し合いを重ねて出来ました。



ー そういえばミュージックビデオも撮影されたんですよね。(取材時は公開前)

はい。今回この曲では自分の幼少期を振り返っているので「リトル海蔵亮太」も登場します。撮影の時は僕含め、制作チームやスタッフなど色々大人がいましたが、「リトル海蔵亮太」役の子が一番大人でしたね(笑)。立ち居振る舞い、言動、全てにおいて誰よりもしっかりしていて。周りにいた大人たちが、“俺らこれじゃ駄目だな。子役の子がこんなにしっかりやってるのに何やってるんだ自分”っていう空気になりました(笑)。それと二人でじゃれ合うシーンがあるんですが、僕はくすぐられるのに弱いのでマジでくすぐったかったんですけど、子役の子は「僕、全然くすぐったくないです。」ってすごくクールで。でも監督さんにくすぐったい表情を求められるとしっかりやってのけるから大人だしプロだし、もう敗北!


ー それ面白いかも(笑)。歌詞の話ですが、海蔵さんを支えてくれたのは歌だったということですよね。

そうですね。自分自身、歌は大好きだけど正直良いきっかけではなかったんです。


ー というと?

歌いたいから歌うというより、両親のために歌っていたんですよね。うち、小さい頃の家庭環境があまりよくなかったんです。両親もまだ若かったし血気盛んだったからゴタゴタもあって。ただ、そういう時でも自分が歌を歌うと親が喜んでくれるし、その姿は今でも鮮明に覚えていますね。自分が歌えば家族の笑顔が絶えずそこにあるのかなって。そうやって幼稚園くらいから家ですごく気を遣っていたかも。


ー うちは両親が離婚しているんだけど、やっぱり家庭環境がめちゃくちゃ悪くて海蔵さん同様気を遣うことも多かったです。子供って小さくても親の顔色うかがったり空気読んだりして結構気を遣いますよね。

めっちゃ気を遣います!大人が思っているより120倍くらい子供は大人たちの言動……特に言葉は覚えていますしね。ポジティブな言葉もそうだけど、ネガティブな言葉を大人は分からないと思って子供に言ったりするじゃないですか。


ー ええ。

その時は言葉の意味を知らなくても、その単語の響きを覚えていることも多いから後になって、“ああ、こういうことを言われていたんだな”って気づいたりするんですよね。言葉の力って好かれ悪かれ大きいから、子供にかける言葉はすごく大事にしていかなきゃいけないなって思うし、自分がそう感じた分、それこそ甥っ子や姪っ子と話す時にも気をつけるようにはしています。まぁそういうこともあって、僕が歌う理由は決してポジティブではなかったけど、結果的に歌を通じて色々な人との出会いがあり、今こうやって沢山の人の前で歌えているのは本当にありがたいことです。だからこれからも自分の歌で沢山の人たちに笑顔や感情の機微を伝えられるシンガーでありたいって、この「僕が歌う理由(わけ)」を歌って、より強い意志を持つことが出来ました。


ー 結果的に海蔵さんの中で歌がポジティブなものになったのは本当に良かったです。

自分でもそう思います。ネガティブから始まった経験が歌を沢山歌うことに繋がったし、沢山歌ったからこそ歌が好きになって色々な人と出会えたし。だからきっかけはどうであれ歌を歌ってきて良かったです、本当に。歌を歌うことによって両親が喜ぶっていうのは自分自身を守る術だったりもしていたので歌に支えられていたというもの事実です。


ー 歌との関係性が大人になるにつれて徐々に変わったと思うんですが、歌って自分にとって本当に素敵なものだと思えるようになったのはいつ頃からですか?

最初にそう感じたのは、中学生の頃に友達と一緒に行ったカラオケかな。“あ、歌ってこんなに自由で良いんだ”って思ったんですよね。家族とカラオケに行くと自分が歌いたい曲ではなく親が喜ぶ曲を選んでいたけど、友達は周りの目を気にせず自分が歌いたい歌を歌う。で、聴いている友達も純粋にワーって喜んだり盛り上がっている。まぁ今思えば当たり前なんですが、その時に音楽ってそういうものだよなって感じられたんですよね。そこから更に歌や音楽の素晴らしさを感じるのはやっぱり大学で出会ったアカペラかな。そこで、“うわぁ、音楽の世界ってこんなにキラキラしてるんだ”って感じて。だって音楽がこんなにキラキラしているものだとは思わなかったから。


ー そのキラキラって、具体的には?

みんなで音楽を作るプロセスが僕にはすごく輝いてみえたんですよ。一緒に歌っている時のみんなとの一体感にもキラキラを感じたし、一人ひとり自分が出来ることを一生懸命全うして、良い音楽を作ろうとしている姿勢にもキラキラを感じました。


ー なるほど。そういえばこの曲の中で「声が出なくなった時も」という歌詞がありますが、実際そういう経験があったんですか?

ありましたね。そのアカペラをやっていた時なんですが、自分が組んでいたグループ主催のライヴがあって、その日の為にみんなで構成を考えたり練習したり、チケットを手売りしたりチラシ配りしたりって頑張っていたんです。そうやって一生懸命やった甲斐があり満席になったんですが、僕が自分の不注意で声が全く出なくなっちゃって……。


ー それはキツイね……。

ええ。アカペラって一人欠けると曲としての構成が全然成り立たなくなっちゃうんですよ。だから頑張って歌ったけどやっぱりダメダメで。それでもメンバーや観に来てくれる皆さんのの声援があったし、良いものを作ろう、観ようっていう一体感が生まれてすごく素敵なライヴになりました。


ー それは本当に救われましたね。

本当にそうでした。僕、あんまり人前で泣かないんですけど、その時は泣きながらひたすらみんなに謝りましたもん。自分が悪いんですが、あの時は声が出なくて本当に悔しかった!でもそういうみんなに救われて今では良い思い出になりました。そうやって歌が自分の中で大切になってきたので、このアルバムも早く皆さんに届けたいですし、色々な新しい海蔵亮太も感じてもらいたいです。


ー ありがとうございました。


インタビュアー:秋山雅美(@ps_masayan


■ 海蔵亮太「僕が歌う理由(わけ)」MUSIC VIDEO
https://youtu.be/1vMFOmvUBfw

■ 海蔵亮太「素敵な人よ」MUSIC VIDEO
https://youtu.be/5ym--zD_y_s

■ 海蔵亮太「Everyday Heroes」MUSIC VIDEO
https://youtu.be/y5hxoZ7XYv8

■ 海蔵亮太 with 大竹しのぶ「ありがとうって気づいていてね」MUSIC VIDEO
https://youtu.be/_FxsaMICdII

■ 海蔵亮太 公式HP
https://www.ryota-kaizo.com

Information

Release

海蔵亮太 2ndアルバム
「僕が歌う理由(わけ)」

2021年2月17日発売

-収録曲-

□ CD(TYPE-A、B共通内容)
1. Opening
2. Everyday Heroes(Album ver.)
3. コトバの花束
4. 素敵な人よ
5. しゃぼん玉
6. Believe in you
7. Make you happy
8. イッショケンメイ
9. 秘密
10. アイシテル×アイシテル
11. 紫陽花
12. ステイ・ウィズ・ミー ~そばにいてほしい
13. 僕が歌う理由(わけ)
〈Bonus Track〉
14. ありがとうって気づいていてね/海蔵亮太 with 大竹しのぶ

□ DVD(TYPE-Aのみ)
LIVE DAM Ai presents
海蔵亮太 Streaming Live 2020
@ yokohama LANDMARK HALL(2020.09.26)より

1. Everyday Heroes
2. 接吻
3. Just a Friend
4. たいせつなひと
5. I LOVE YOU
6. ぬくもりを残して
7. 風
8. 抱きしめて
9. 紫陽花
10. 愛のカタチ
11. 素敵な人よ
12. Stripes
13. イッショケンメイ
14. 君と僕の挽歌
15. コーヒーカップ

僕が歌う理由(わけ)

TYPE-A(CD+DVD)

CRCP-40622 / ¥3,636+税

僕が歌う理由(わけ)

TYPE-B(CD)

CRCP-40623 / ¥2,727+税