石原さとみ主演映画『ミッシング』舞台挨拶で、監督を関心させた石原のエピソードと、青木崇高の涙!
May 20, 2024 19:00
映画
石原さとみ主演の映画『ミッシング』が5月17日(金)に全国公開された。監督は『空白』(21)、『ヒメアノ~ル』(16)でメガホンをとった吉田恵輔監督。(※吉田監督の<吉>は、“つちよし”)その公開を記念し、公開翌日の5月18日(土)、東京・新宿ピカデリーにて公開記念舞台挨拶が開催され、石原さとみ、中村倫也、青木崇高、吉田恵輔監督が登壇した。
娘を探す母・沙織里を演じた石原さとみは、一人でも多くの人に観てもらいたい一心で多くの取材を受け、その度にこの映画に対する記者たちからの溢れる想いを聞けたことが幸せな時間だったと語り、監督をはじめ、この映画に携わった人たちへの感謝を口にした。完全オリジナル脚本の今作、監督は「余韻が残るような作品にしようと思って作った」と語った後「その余韻を壊さないように喋りたいんですけど、僕と中村さんは多分無理だと思うので、ごめんなさい(笑)」そう続けると、先ほどまで神妙な表情を浮かべていた石原も思わず笑いだしてしまった。
個人的に好きなシーンや注目して欲しいシーンについて聞かれると、石原は掲示板に貼られた娘・美羽のチラシの目に画鋲が刺さっているシーンをあげた。
すでにその状態が出来上がっている撮影現場を目にした石原は「本当に苦しくなって、泣くシーンじゃなかったんですけど段取りの時点でもう涙が止まらなくて……」と語った。沙織里の夫役の青木はたまたまその状態の現場を事前に見ていたらしく、演出と分かっていながら「本当に鬼だなって!」と当時の心境を苦笑いしながら語る。(このシーンに関して青木はこの後も「飲み込むのも辛いようなビジュアル」と語っていた)すると「何か思いついちゃうんですよね」と監督。こういう発想に至る監督に対して「怖すぎる!もう〜」、「残酷!」と石原。勿論褒め言葉だが「こんなディスられる日でしたっけ?」と、いつものように飄々とした口調で監督に言う中村の一言に会場からも笑いが。
印象に残っているシーンとして、飲み会でみんなが盛り上がっている時にマジレスして一瞬静かになるシーンをあげたのは、テレビ局の記者・砂田役を演じた中村。
台本を読んだ時からあるあるだと思ったらしく「僕も何か急にマジレスモードを入って変な感じになることがたまにあるんで。皆さんもあるんじゃないかな」と、劇中の共感性の高さが、映画を観ている人たちとこの映画を結びつけるのではないかと語った。「嗅覚は結構外さない」と言う監督。冷静に俯瞰して物事を見るタイプの砂田というキャラクターは、中村に合うと感じていたようだが、それは青木についても同様でカメラが回っていない時も石原を支え、夫婦を演じている感じがしたと振り返った。
同様の質問で、青木は沙織里の弟・圭吾(演・森優作)が、頭を掻いたり焦げたトーストをカリカリ削る動きについて触れた。「何かでヤベーなって思いませんでした?とんでもないキャストを放り込んできたなと思いましたね」と、森の佇まいが作品の中で印象的だったと言う。その後も森に関する撮影エピソードで盛り上がりつつ、現場での石原の表情に感動した監督が丸ごとカットしたシーンもあったようで、どこがアドリブでどこが演出か、脚本を完全収録したパンフレットの興味深さにも話は及んだ。
また監督が、作品内に出てくるサボテンを持ったおばさんについて触れると会場からも笑いが。それくらいキャラクターがかなり強めらしいが、石原はそれに動じることなく熱演しており、石原には悪いと思いつつ監督はそのギャップに笑いそうになったと言う。だが石原自身は、そのおばさんの高い叫び声がかえって感情を逆なでし、自分も大きな声を出したくなったと言う。そのシーンだけでなく随所で集中力を切らさず演技をし続ける石原に関心する監督。そんな監督は、折り合いをつけることが無理な状況の人がその先、生きていくには何が必要かをテーマにしたかったと語った。沙織里の行動や感情が人の心も動かし、それが救いになる。そういう監督自身の願いを込めて作ったと。
そしてここからは「辛いけどラストには優しい気持ちになれる」という感想も多く出ていることに因み『最近優しさを感じた出来事』というエピソードトークへ。中村が趣味とするDIYへの本気度に登壇者全員が驚いたり、監督のポケモンGO仲間のおばあさんからドーナツをもらった話など、終始会場を和ませた。
最後に石原が、家族とピクニック中に遭遇した迷子とお母さんの様子を話し始めた。迷子のアナウンス、なかなか見つからない子ども、叫ぶ母親……居ても立っても居られず石原もサービスカウンターで迷子の特徴を聞きにいったらしいが、最後は無事みつかり、泣く母親を見て「安堵の涙だったんだ。あのお母さん良かったと本当に思ったんです」と涙声。改めて「この映画で沙織という役を演じて、自分の財産となる<知らなければいけない感情>というものを知ることができました。そして1年以上経っても私は沙織っていう女性の気持ちが住み続けているんだなということも知りました。本日は本当に観てくださりありがとうございました。そしてこれから観られる皆さんには、少しでも彼女(沙織)の辛さが伝わったら良いなと。そして誰かに優しくて温かい言葉をかけてくださるような出来事、行動が一人でも増えていったら良いなと心から願っています。本日は本当にありがとうございました」と締めくくった。
ここでイベントは終了。フォトセッションのセッティングに移ったが、青木はその石原のエピソードにもらい泣きして後ろを向いてしまった。だがそれを晴れやかな笑顔で慰める石原。まさにこの映画を通して感じられる“優しさ”のようなの姿があり、印象的な最後だった。
映画『ミッシング』は現在、全国公開中。
※吉田恵輔監督の「吉」は<つちよし>が正式表記です。
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Information
『ミッシング』
全国公開中
□ STORY
とある街で起きた幼女の失踪事件。あらゆる手を尽くすも、見つからないまま3ヶ月が過ぎていた。娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。そんな中、娘の失踪時、沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られると、ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となってしまう。世の中に溢れる欺瞞や好奇の目に晒され続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じてしまうほど、心を失くしていく。一方、砂田には局上層部の意向で視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下ってしまう。それでも沙織里は「ただただ、娘に会いたい」という一心で、世の中にすがり続ける。その先にある、光に———
石原さとみ
青木崇高 森優作 有田麗未
小野花梨 小松和重 細川岳 カトウシンスケ 山本直寛
柳憂怜 美保純 / 中村倫也
監督・脚本:吉田恵輔 音楽:世武裕子
製作幹事:WOWOW 企画:スターサンズ 制作プロダクション:SS工房 配給:ワーナー・ブラザース映画
公式HP:missing-movie.jp
配給:ワーナー・ブラザース映画
コピーライト:©︎2024「missing」Film Partners
※吉田恵輔監督の「吉」は<つちよし>が正式表記です。