有華【YUKA『my space my time』TOUR 2025】東京公演ライブレポート
April 16, 2025 19:00
有華
3月19日(水)に、Major 2nd Full Album『my space my time』をリリースした、シンガーソングライター・有華。そのアルバムを携え、4月5日(土)大阪・サンケイホールブリーゼ、4月12日(土)東京・日本橋三井ホールにて東阪ツアー【YUKA『my space my time』TOUR 2025】を開催。ファイナルの東京公演は有華もオーディエンスもキラキラとした笑顔に包まれていた。
モータウンテイストの、“LOVESICK”でライブはスタート。
「みんな立てる?最初から盛り上がれる?」
続く“#Me”のイントロで、有華の言葉にクラップしながら立ち上がるオーディエンス。有華がステージを右に左に移動すれば、ツアータオルを首にかけた女子は嬉しそうに一生懸命手を振る。“Baby you”は何度耳にしたかしれない。2023年にデジタルリリースされたこのメジャーデビューシングル曲は、ビルボードが発表した「TikTok Weekly Top20」で1位を獲得。TikTok上半期トレンド大賞2023ミュージック部門を受賞し、国内のみに止まらず世界の8カ国のバイラルチャートでトップ10入りを果たしている。SNS上の楽曲の再生数は80億回を突破しストリーミングで5,000万回を突破している、言わずもがなのモンスターソングだ。
大阪人ならではの笑いを交えつつ、アルバム『my space my time』の曲を丁寧に届けたいと伝える有華。
有華の曲たちは、ネオアコやネオソウルなど60’s Meet 90’sのポップサウンドに、更に今のJ-POPをうまく融合させているものが多いように感じる。“Bad boy”もそのひとつだ。有華の出身地、大阪府高槻市の定住促進プロモーション楽曲“ミラクル”は、ポップなサウンドと弾む有華の歌声が背中を押してくれるビタミンソング。そこから、ABEMA『恋する♥週末ホームステイ 2024 冬』主題歌だった“告うた”、インディーズ時代の、“Hey girl !!!!”とクラップとコール&レスポンスが広がり、歓声にとびきりの笑顔を見せる有華。
「むちゃくちゃ可愛い子がいんねん。」MCではそう言いながら前列にいた2歳くらいの女の子をステージに上げると、色々聞いたり一緒にバイバイしたりしながら(すでにこの時点で有華がメロメロになっているのが分かる)、最後に「んまって出来る?」と、有華が投げキッスのジェスチャーを見せ、女の子も真似して可愛い投げキッス。これには有華も会場も悶絶!
「触れずにはいられなかった」その子を母親の元へ返し、我にかえるようにそう言うと、用意された椅子に座り、オーディエンスも腰掛けゆったりタイムへ。
「楽しい歌ばかりで溢れたら良かったんですけど……」有華は改めてアルバムの話でそう切り出すも、楽しいことばかりではないのが人生。なので苦しい時や寂しい時にも寄り添いたいと、楽曲たちへの想いを語るのだが、「寄り添いたい」その言葉は実に有華らしい。
“レモネード”も、そんな想いが詰まった1曲。切なく響く歌声。“Baby you”や“ミラクル”で楽しげに弾んだ会場は、ただただその歌声に聴き入っていた。
MCではChatGPTの話に。有華のことを知っているかChatGPTへ問いかけると、まさかの関西弁で畳み掛けるように「知ってるに決まっとるやん!」という返信があり「有華の愛が映画化になったらどんなタイトルやと思う?」とまで言ってきたらしい。恐るべしChatGPT!時には「ん?」と思うほど共感してくれるそうだが、逆に語って欲しくないという気持ちになったという有華。人間だから感じられる気持ちであり「みんなと話し合ったり音楽にしたりしたいんだなぁって改めて気づかしてくれた」と言うと、バンドメンバーが退場したステージで、“嫌いになれたら”をピアノの弾き語りで熱唱。忘れたいけど忘れられない、嫌いになれたらという感情を描いたラブバラードはオーディエンスの瞳を濡らしていた。
再び登場したバンドメンバーを紹介しながら、メンバーが持ってきた浮き輪を被り「皆さん夏、感じましょうか、ここから!」そういうと、サマーソング“Darling Darling”で、有華もリズムに合わせ踊ったり笑顔で手を振ったり。かと思えば夏から季節は一気に冬へ。クリスマスカラーのライトで“Our Xmas”へ。小気味よいリズムと本音が詰まったユニークなセリフにクラップが広がればすぐさま、“バースデーソング - 2022 ver. - ”で、コール&レスポンスが響く。
「いや私、イベントソングめちゃくちゃ多いやんということに気づきまして、じゃあ今度ひな祭りも作る!鯉のぼりも作る!“こいのぼってこいのぼって〜♪”」と即興で歌いだし盛り上げると、挙手した前列4月生まれの人たちにおめでとうを言いながらの握手。YouTubeライブやインスタライブを観ていても思うが、楽曲だけでなくファンに対してこういう距離感の近い朗らかな有華の人柄が愛されるのだと感じた。
ライブも後半戦。ストリーミング総再生7,000万回、ミュージックビデオ再生3,000万回超え、SNS総再生回数15億回、LINEリアルタイムランキング1位を記録しSNSで大きな話題となった、“Partner”。キャッチーなメロとキュートな歌詞、コール&レスポンスしながらオーディエンスの笑顔に花咲く。
アルバム『my space my time』は、有華が20代から30代へステップアップする期間に制作された。29歳の1年間は、20代のうちに叶えられなかったことや出来なかったことばかり考え、気持ちが焦ることが多かったと有華は言う。しかし「ないものばかりに目を向けて、あれもない、これもないって言っていたけど、でもこうやってライブをしたらみんなが集まってくれたり、助けてくれる友達がいたり、支えてくださるスタッフの皆さんがいたり。そこに全然目を向けられてなかったなぁってめちゃめちゃ反省した」と29歳を振り返った。そして「30代からはあるものに沢山目を向けて、みんなにありがとうって伝えまくって歳を重ねていきたい」と、悩んだ先に見つけた想いを大切なファンたちに伝え、沢山の感謝の言葉も伝え、有華の20代最後と30代の出発を繋いだ、“2930”で本編は終了。
「聞いてよ!」アンコール、ひとりで再び登場した有華は、ツアーTシャツの上に着たオーバーサイズジャケットを指さしながら突然そう言うと「ほんまはさっきの衣装にこれを着て登場する予定やったの!」と、本編でそのジャケットを着ることを忘れていたことを告白。そんなところも妙に可愛いが、笑いを交えながらしっかりとグッツも紹介。
改めてピアノの前に座ると、“うたでつなごう”へ。コロナ禍に書いたこの曲を当時はみんなと一緒に歌うことが叶わずインスタライブで歌っていたが、そこから5年の月日が経ち、会場には有華の歌声とオーディエンスの歌声がつながっている。どのアーティストもそうだろうが、またこういう日が来たことは代えがたい喜びだろう。
再びメンバーを呼び入れながら有華は「嬉しいね、こうやってみんなと歌えるとね」と感慨深い表情を浮かべる。そして「ツアーファイナルなので、皆さんで拍手をしていただけませんでしょうか!」と、この日のステージを作り支えてくれたスタッフへ感謝の拍手が温かく広がった。
「さよならじゃなくてまたねってみんなにもよく言うてると思うし、それが今回曲にすることも出来ました。だからまた必ず!必ずみんな会おうね!本当に。住所知ってるよ、みんなの」と、やはり定番のオチをつけながらも(笑)「これからも一緒に色々な思い出を作りましょう。今日は来てくれて本当にありがとうございました」と、みんなへの感謝と想いを乗せ、“またね”で、【YUKA『my space my time』TOUR 2025】は幕を閉じた。
Photo:山川哲矢
Text:秋山雅美(@ps_masayan)
<セットリスト>
1.LOVESICK
2.#Me
3.Baby you
4.Bad boy
5.ミラクル
6.告うた
7.Hey girl !!!!
8.レモネード
9.ピーターパンシンドローム
10.嫌いになれたら
11.Darling Darling
12.Our Xmas
13.バースデーソング - 2022 ver. -
14.リングノート
15.Partner
16.Bestie
17.2930
Encore
Enc1.うたでつなごう
Enc2.またね
■ 有華 Official HP
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