POPSCENE - ポップシーン
POPSCENE - ポップシーン

森 大翔、3rd Tour「Let It Grow」東京公演オフィシャルレポート

November 30, 2024 21:00

森 大翔

0
シェア LINE
森 大翔、3rd Tour「Let It Grow」東京公演オフィシャルレポート

森 大翔の3rd Tour「Let It Grow」が、11月30日の名古屋公演をもって終幕を迎えた。このツアーは、10月30日にリリースした2枚目のフルアルバム「Let It Grow」を掲げて開催したもの。今回は、11月20日、渋谷CLUB QUATTROにて行われた東京公演の模様をレポートしていく。

開演の少し前から、フロアから「森!」「大翔!」のコールが幾度となく巻き起こり始め、会場全体の熱気が沸々と高まった中、バンドメンバーと共に満を持して森 大翔がステージイン。まずは、まるで宙空を切り裂くように渾身のコードストロークを一発かまし、昂る感情の赴くままにギターソロを届ける。そして、人差し指を空高く掲げ、最新アルバム「Let It Grow」1曲目の「I thank myself (for all of me)」へ。「さぁ、始めます! 盛り上がる準備できてますか!」という森の呼びかけを受け、フロアからライブ冒頭とは思えないほど大きな歓声が飛び交う。森は、一人ひとりの観客としっかり呼吸を合わせながら、逞しく響く歌と鮮烈なギターを通して凄まじいエネルギーを放出していく。2番では、《もう やわじゃない》の歌詞の後に森が観客に「そうでしょ!」と力強く呼びかける一幕があり、そして曲の最後には《"混沌"と言う言葉で括られた時代の憂鬱は  その"愛"で息の根を止めてやろう》という揺るぎない宣誓を伝える。2曲目は、「剣とパレット」。「いくよ、いくよ、いくよ、もっと跳べますか、東京!」「手、貸してくれますか!」と観客を一気に巻き込みながら、次々と会場全体の一体感と高揚感を高め、「今日は最高の一日にしようぜ!」と高らかに呼びかける。圧巻のオープニングパートだ。

今回のライブの随所で要の役割を担っていたのが、最新アルバム「Let It Grow」の楽曲たちで、続いて披露されたのは、その一つである「Chaotic世界」。混沌を切り裂くように響く渾身のギターと歌は、まだ見ぬ未来へ向けて力強く突き進むような熱烈なエネルギーを感じさせる。同時に、観客たちを単に圧倒するのではなく、一人ひとりを包み込むような温かな包容力も感じさせるパフォーマンスで、森のライブアーティストとしての大きな成長を感じた。

最初のMCパートでは、リリースしたばかりの最新アルバムに込めた想いが語られた。2023年5月に1枚目のアルバムをリリースした後、初めてのワンマンライブを経験して、その後、初めてのワンマンツアーへ繰り出した。そうした一つ一つのライブを通して、お客さんからたくさんの熱とパワーを受け取ることができた。次は自分がお客さんに返していくために、ライブで熱くなったり、一緒に盛り上がったりできるような曲を作り、「Let It Grow」が完成した。だからこそ、こうしてたくさんのお客さんにライブに足を運んでもらえたことがとても嬉しい。そう語った後、丁寧に感謝の気持ちを伝えた森は、「皆さんの背中を押せるような曲を作ってきたので。」と告げ、ベースを持ち、スラップを交えながら重低音を轟かせていく。また、サポートベーシストの月川玲と向かい合いながらユニゾンプレイを炸裂させ、「大都会で闘う全てのあなたへ歌います。」と語り、「大都会のアゲハ」へ。ラテンのリズムと歌謡曲のメロディを導入した新基軸の楽曲で、まるでロックオペラのクライマックスのように過激なエモーションを解き放っていく森の姿にとても痺れた。

バンドアレンジが施された「台風の目」の後に披露されたのは、「悲しみの空の果て」だ。歌とギターの力によって、目の前の視界を力強く切り開いていくような圧巻のパフォーマンスだった。また、シンガロングのパートに重なる観客の歌声の大きさにも驚かされたし、その光景を観て、今回のライブの場を通して初めてこの曲の輝かしい真価に触れることができたような気がした。また、心の中のノスタルジックな情景を呼び起こすような「夏の落とし物」も素晴らしい名演だった。

今回のアルバムの中でも特に深い思い入れのある曲と紹介された上で披露されたのが、現在放送中の清原果耶主演のドラマ「マイダイアリー」の挿入歌に起用されている「群青日記」だ。ハンドマイクで溢れ出る想いを余すことなく丁寧に歌いながら、「一人だけど、孤独じゃない」という温かなメッセージを届けていく。そして間奏のギターソロでは、言葉にならない想いを鮮やかに奏でていく。とても感動的なパフォーマンスであったが、その中でも、ラストの《出逢ってくれて  本当にありがとう》という歌詞が、まるで一人ひとりの観客へのメッセージのように響いていて特にグッときた。

気付けばライブは終盤戦に突入。「ここからテンション上げていきますよ!」という呼びかけを合図に、「きっと上手くいくよ」へ。「一緒に歌ってくれますかー!」という森の呼びかけを受けてフロアから大きな歌声が響き、2番の観客による《SOS!》の合いの手のコールもばっちりきまっていた。「VSプライドモンスター」では、森はギターを下ろして歌い、自ら左手を大きく上下にバウンスしながら会場全体の一体感をさらに高めていく。華麗なターンをきめ、続けて、「ラララさよなら永遠に」へ。イントロでは、森を含めたフロントの3人が左右にステップを刻み、高揚感が際限なく高まる中、サビではフロアからたくさんの拳が上がり、高らかなシンガロングが巻き起こる。そして、森のギターソロにこれまでで一番大きな歓声が上がる。「もっといこうぜー!」という叫びと共に幕を開けた「Crybaby Fly!」においても、勇壮なシンガロングが巻き起こり、また、2つのミラーボールが燦々と光る中で披露されたパーティーチューン「アイライ」では、この日のピークをさらに更新してしまうような熱烈な盛り上がりが生まれていた。

アンコールでは、「最後まで全力で歌います。」と宣言し、この日最後の一曲「たいしたもんだよ」を披露。自らを、そして、一人ひとりの観客を力強く奮い立たせるように歌う渾身のパフォーマンスに、強く心を震わせられた。観客の熱烈なクラップ、大きく上げた手を左右にふる鮮やかなウェーブによって彩られた、あまりにも感動的な大団円だった。

ライブ全体を振り返ると、一曲一曲の全ての瞬間において、目の前の観客とのコミュニケーションを全力で謳歌しようとする森の誠実な姿勢が感じられた。そうしたライブアーティストとしての変化・成長は、来年1〜2月の弾き語りツアー「響縁」や、崎山蒼志をゲストに迎える弾き語り2マンライブ「響演」を通して、さらに加速していくのだと思う。総じて、来年以降のさらなる飛躍への期待が高まるような一夜だった。

<セットリスト>
01. I thank my self (for all of me)
02. 剣とパレット
03. Chaotic世界
04. 大都会とアゲハ
05. 台風の目
06. 悲しみの空の果て
07. 夏の落とし物
08. 群青日記
09. きっと上手くいくよ
10. VSプライドモンスター
11. ラララさよなら永遠に
12. Crybaby Fly!
13. アイライ
En.1. たいしたもんだよ

テキストクレジット:松本侃士
カメラマンクレジット:小西泰央



■ 森 大翔 Official HP
https://yamato-mori.com/