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家入レオ【家入レオ YAON 〜SPRING TREE〜】@日比谷野外大音楽堂 初日3月16日(土)ライブレポート

家入レオ【家入レオ YAON 〜SPRING TREE〜】@日比谷野外大音楽堂 初日3月16日(土)ライブレポート

March 24, 2024 12:30

家入レオ

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3月16日(土)・17日(日)、日比谷野外大音楽堂にて【家入レオ YAON 〜SPRING TREE〜】が開催された。16日(土)は家入にとって8年ぶりの野音ワンマンライブ。17日(日)は、声優として活躍する麻倉ももとのツーマンライブと、趣向を変えオーディエンスを楽しませた。    麻倉と家入は、地元福岡の中学・高校時代の同級生で、2月21日(水)にはコラボシングル「希望の名前」を配信リリースしている。初日の野音は、数日前までの寒さとは一転、20℃を超える暖かさと風も穏やかな晴天。ステージには多くの植物が飾られており、中央のバックドロップ幕には春らしい大きな樹木、SPRING TREEがカラフルに描かれていた。矢野顕子、荒井由美、ハナレグミなどの会場BGMはつい口ずさみたくなる。

開演時間の17時になるとどこからともなくクラップが広がり、春らしい衣装を着たバンドメンバーが登場、程なくして歓声を受けながら家入も登場。バンドメンバーは家入のライブではおなじみの、宗本康兵(key)、仲道良(Gt)、イガラシ(Ba)、山本まき(Dr)、前田雄吾(Mnp)。そしてコーラスにおかのやともか、るーか、ヴァイオリンに大島梨紗子を迎えた、この日だけのスペシャル編成。

「春風」からライブがスタートすると、続く「僕たちの未来」で家入が「みんな、声をステージに届けて!」と言えば、オーディエンスは「Oh Oh〜♪」と歌声を届ける。

「ねぇ、めっちゃ気持ちよくない?この会場!」

8年ぶりの野音をとても楽しみにしていたという家入は、日比谷公園の木々を見回しながら、「こういう木に守られた中でみんなと音楽でひとつになっているんだと思ったら、まだ3曲しか歌ってないのにすごいグッときちゃって」と久々の野音に喜びながら、その空気感を噛み締めているようだった。この日は定番曲だけでなく、普段あまりライブで演らない曲も揃えてきたという言葉どおり「だってネコだから」や、「恋のはじまり」などライブでは久々の曲が続く。(特に「だってネコだから」は2018年の【家入レオ 6th Live Tour 2018〜TIME〜】ぶりではないだろうか)

コーラスとギターのイントロが印象的な「miss you」。切ない家入の歌声と、エモーショナルなバンドサウンドは、風の冷たさを少し感じ始めた外の空気に合う。昨年のツアーではライブハウスならではのサウンドを届けることが多かったということで、ここからはアコースティックコーナーへ。コーラスの、おかのやともかとるーかは家入とスタッフが熱望して今回参加。特におかのやの声をリハーサルで聴いた家入は、自分の声データがスピーカーから出ているのではないかと思うほど、声の成分が似ていると感じていて「歌っててすごく気持ち良いです」と語った。

「みなさんのクラップが重要になってきます」と話すと、次の「Relax」でオーディエンスへのクラップを求めるも「ちょ…みんな早い早い!間を感じて(笑)」とつっこみ、会場からも笑いが起きる。たまに出る方言やこういう気さくな物言いには筆者も心奪われる。やがて呼吸のあったクラップは、残響音を連れ立ち会場を包み込む。都会的なビートのオリジナルも好きだが、コーラス、ウッドベース、クラップと歌声のみの「Relax」は、まさにこの空間にピッタリのアレンジだ。都会のオアシスのように、自分がみんなの心を音楽という木になって守りたいという家入の想いが込められた大きなSPRING TREE。ライトがSPRING TREEを描いたバックドロップ幕を木漏れ日のように照らす。

やはりライブでは久しぶりの「ありきたりですが」。離れてしまった人への想いはオーディエンスの心に響いているのであろう。センチメンタルな家入の歌声とピアノの音色、優しく寄り添うコーラスを静かに聴き入っていた。どんなに忙しくても、1日の終わりに友人や家族と会話を楽しみながら食卓を囲む時間が、自分にとっての宝物だと語る家入は、杉山勝彦氏が作ったこの曲の“君とのごはんが恋しくて”という歌詞について、「とても自分に歩み寄って書いてくれた」と語り「この曲を歌いながら、この会場のみんなと食卓にいるような気持ち」と照れ笑いを見せる。

家入が“お良さん”と呼ぶのは、ギターの仲道良。知り合ったのは昨年2月の【家入レオ FanClub Live 2023 ~Rebuild~】から。春に開催した【家入レオ TOUR 2023 〜NOT ALONE〜】では、家入、仲道、スタッフの5人が、なんとバンでツアーを回ったらしく、濃密な時間を過ごした仲道との付き合いがまだ2年経っていないことに驚きを隠せない様子。

冷えてきた会場に「寒いよね。体を動かしたらあったまるんじゃない?」と言うと「空と青」へ。この曲は2021年に放送された、日本テレビ系水曜ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』 の主題歌。個人ごとで恐縮だが筆者はこのドラマの大ファンで、何ならこのライブの前日にもドラマを観ていた、(勿論主題歌はスキップしない!)仲道のアコギのナチュラルな響きは心地よく、ヴァイオリンはメロディを奏でながら時折ピチカートでポップさも表現。家入も楽しげにくるくると踊る。

「アコースティックですけど、盛り上がる準備出来てますか?!楽しむ準備出来てますか?!」そう言うと、「Hello To The World」でのパワフルな歌声で一気にテンションを上げ、「聴かせて日比谷ー!」の言葉には、手を上げ歌うオーディエンス。大きな歓声と拍手は「Party Girl」のイントロでクラップへと変わり、家入は「騒げー!」と会場を煽りステージの端から端まで動き回る。サビで広がるワイパーの動きはワクワクする。“ただ 朝まで付き合ってよ”の歌詞を「朝まで付き合ってくれるー?!」とオーディエンスに投げかけ、会場もヒートアップ!更にヘヴィーなギターソロからのロックチューン「BINKAN」はライブハウスのような熱気で野外の寒さを忘れさせた。

「いくぜ、日比谷!」そう言う家入の口調は前半で「ねぇ、めっちゃ気持ちよくない?この会場!」と言った可愛らしさではなく、完全にロックモードに突入。「シューティングスター」で回るタオルと「Oi!Oi!」の掛け声、刻むリズムに野音が揺れた!「待ってるよー、あなたの声をー!」家入の歌とオーディエンスのコーラスが重なるエモーショナルさに胸がアツくなる。最後は全員でジャンプ。曲が終わると、家入の名前を呼ぶ声があちこちから飛んだ。

「ありがとう!マジで最高の時間過ぎる。帰りたくなーい」

上気した顔で8年ぶりに野音へ帰ってこれたことの感謝を告げる家入。本編最後の「ラブレター」はBLUE ENCOUNTの田邊駿一氏が作詞作曲を担当。「なんかね、私はこの曲を歌ってるとファンのみんなを思い出します。いっぱい喧嘩して、いっぱいハグして、やっぱり手を繋いで、これからも15周年、20周年、25周年、ずーっと先までどうぞどうぞ、家入レオを宜しくお願いいたします。今日は本当にありがとうございました!」そう、まさにこの曲は家入からファンへのラブレターのようだ。

アンコールでレオコールが起こると、家入が再び登場。この日は、U-NEXTにて独占ライブ配信されていたこともあり、会場だけでなく画面の向こう側にいるファンにも優しく言葉をかける。

そしてこの日、新曲「ワルツ」を初披露。「すごく傷ついたけど、この恋をして良かったなぁって思ったことがあって」どうやらこの曲は家入の実体験からくるものらしい。恋愛においてこの恋をして良かったといえることは貴重だ。苦しさの先に見える光のような強さが、ミディアムバラードにのり、その想いは歌声となってオーディエンスへ届く。夜空を見上げると三日月がぽつんと浮かんでいた。この曲は4月21日(日)からスタートする、松本まりか主演のABCテレビ・テレビ朝日系連続ドラマ『ミス・ターゲット』の主題歌で、5月22日(水)にリリースされることも、この日発表された。更に10月からの全国ツアー開催も発表し、会場を大いに沸かせた。また東京公演は12月12日(木)・13日(金)の2DAYS。そう、12月13日は家入の誕生日なので、29歳最後のライブと30歳最初のライブが東京公演で観られるというわけだ。

色々な情報が自分の中に入ってくることにより、自分の気持ちを見つけるのが難しい今の時代。「私の音楽を聴くことによって、自分はこういう生き方をしたいんだったって思い出してもらえると良いなと思って、そんなエールを込めて最後、この曲をひとりひとりに届けたいと思います」
最後にそう言うと「Shine」で【家入レオ YAON 〜SPRING TREE〜<DAY1>】の幕は閉じた。

なお、この日のU-NEXT独占見逃し配信は3月24日(日)23:59:59までなので、ぜひチェックして欲しい。


PHOTO:サイトウダイシ
TEXT:秋山雅美


<セットリスト>

M1.春風
M2.僕たちの未来
M3.それぞれの明日へ
M4.だってネコだから
M5.恋のはじまり
M6.miss you
M7.Relax
M8.かわいい人
M9.ありきたりですが
M10.空と青
M11.Hello To The World
M12.Party Girl
M13.BINKAN
M14.シューティングスター
M15.ラブレター

・Encore
En1.ワルツ
En2.Shine


■ 家入レオ オフィシャルHP
https://leo-ieiri.com

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