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35周年記念ライブを終えたばかりのSING LIKE TALKING、1か月間FM COCOLOでDJを担当!

September 23, 2023 21:00

SING LIKE TALKING

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35周年記念ライブを終えたばかりのSING LIKE TALKING、1か月間FM COCOLOでDJを担当!

9月17日、大阪・大阪NHKホールでシング・ライク・トーキングのデビュー35周年を祝う『Sing Like Talking 35th Anniversary “OFF THE CHAIN”』が開催された。

今年4月にステージ4のがん闘病から西村智彦が復活し、そこからデビュー35周年を祝うライブ活動をスタートさせた彼ら。9月13日にはデビュー35周年を記念したEP「Blue Birds」をリリース。さらに、今年と来年でメンバー全員が60歳の還暦を迎えることもあり、復活に周年、新作リリースに還暦と、お祝い尽くしな一年に。この日の大阪公演を皮切りに、10月1日(日)には東京公演を予定。その前日の9月30日(土)には『Sing Like Talking 35th Anniversary “FRIENDS!”』と題し、小田和正や宮沢和史をはじめ、親交のあるアーティストが集まり、一夜限りの饗宴も予定しているが、チケットは全公演が早々にソールドアウト。10月1日の東京公演でのライブ配信チケットの販売もスタートしているが、今回はひと足先に大阪公演の模様についてお伝えしたい。

この日の大阪公演ではオープニングアクトに、アコースティックギタリストのわたなべゆうが登場。心休まる温かな音色で会場を和ましていたところに、佐藤竹善がふらりとステージに姿を現し、コラボライブを実現。開演時間までのんびりと過ごしていた観客にとっては突然のサプライズだったが、さっそくの美声披露に会場が大きく沸いた。

待ちに待った本番。藤田千章、西村智彦とともに、この日のステージを盛り上げてくれるバンドメンバーがステージイン。藤田、西村を含む総勢13名によるビッグバンドが音を鳴らし、佐藤竹善の芳醇で豊かな歌声が響くと、観客はあっという間に総立ちに! 藤田千章の色彩豊かなキーボード、西村智彦のエネルギッシュなギタープレイと、たった1曲の披露なのに満足度がとにかく高いことに驚かされる。それもそのはず。この日のサポートメンバーは江口信夫(Dr)、岡沢章(Ba)、金澤健太(Gt)、大儀見元(Per)、塩谷哲(Pf)、露崎春女(Cho)。そして、ホーン隊には米米CLUBのホーンセクションとしても活躍するBIG HORNS BEEと、佐藤曰く「Top of Top」なミュージシャンばかり。雄大かつ繊細に、時にジャジーにファンキーに、大きなバンドグルーヴを描き、至高の音空間を次々と生み出していく。

「あっという間の35周年。コンサートを開催できて、しかも超満員でうれしい。できるだけ色んな時代の曲を披露したい」(佐藤竹善)、「久しぶりの大阪公演。周年ライブはファンのみんなに感謝するためのステージ。今日を楽しんで」(藤田千章)。「みんなの声援の賜物で元気になれた。感謝が尽きません!阪神タイガースも18年ぶりの優勝おめでとう! めでたい続きで何より。みんなで”アレ”を楽しんでいこう!」(西村智彦)と、3人はファンに向け、それぞれ感謝の想いを伝える。そして、その言葉の通り、この日セレクトされた楽曲はデビューアルバム『Try And Try Again』(1988年)から、オリコン初登場1位を獲得した『ENCOUNTER』(1993年)や『togetherness』(1334年)、最新作『Blue Birds』(2023年)と新旧様々。バンドのこれまでの軌跡を濃縮させた楽曲陣、しかもそれが贅沢かつ圧巻のバンドサウンドでプレイされるとあって、観客は時折感嘆の声を漏らしながらライブに魅入っている。

MCでは披露した楽曲それぞれの制作エピソードや思い出を語りつつ、35年間の活動を振り返るトークも。3歳からの付き合いだという佐藤竹善と西村智彦の幼少期のエピソードや、今では当たり前となったアーティストのインストアライブの先駆者が実はSING LIKE TALKING だったり、還暦ならではのライブグッズとしてアクスタを制作してみたなど、お喋り好きな佐藤竹善のトークは止まる気配がない。藤田千章と西村智彦の2人は、佐藤のMCスタイルも昔から変わらないとあきれ顔を見せつつも、この3人のやり取りがあってこそのSING LIKE TALKING。ファンはこのトークが聞けるのもライブの醍醐味と、会場は終始和気あいあいとしたい雰囲気に。

そんな3人の信頼感を感じることができたのが、最新作として9月13日に発表された作品の表題曲『Blue Birds』だ。藤田千章が作詞作曲を担当したというが、藤田曰く「難しくても歌えるでしょ?」と、佐藤竹善の歌唱力の高さを活かした楽曲制作を試みたという。軽やかに跳ねるように歌い上げる歌声、懐かしさを滲ませたメロディと、SING LIKE TALKINGの魅力を詰めこんだサウンドに、観客は気持ちよさそうに体を揺らす。この日の藤田千章は『Blue Birds』にちなんで、衣装にメンバー3人を模した3つの青い鳥のピンバッチをつけていて、バンドへ、そして楽曲への思いもひとしお身に沁みる。

ライブはバンドの歴史と進化を体感させるべく、物語のページをめくるように感情豊かに進んでいく。この日の終演後にはメンバーによるお見送り会が実施されたのだが、ファンはライブの感想はもちろん、それぞれに想いを抱く楽曲や、まさかこの曲が披露されるなんてと驚きを伝えたり、たくさんのメッセージがメンバーに届けられた。SING LIKE TALKINGが紡いできた35年。それはファンにとっても同じ年月を経ていて、バンドの軌跡を辿り、楽曲に想いを馳せてきたファン、十人十色な想いが楽曲に積み重なっているのを感じ取れた。

ライブも後半、佐藤竹善がステージを飛び出し、客席で圧倒的な歌唱力を披露するシーンでは全身を震わせ力強く歌い上げる姿に観客は拍手喝采。その声の迫力をさらに倍増させるバンドサウンドも素晴らしく、会場は常にいっぱいの多幸感で満たされていた。

「35周年までやってこられた。(次の)40周年もライブができたら」(佐藤竹善)と意欲を語り、全20曲のステージを駆け抜けた彼ら。「毎日が輝くように」と祈りを込め、最後はメンバー3人だけで音源化されていない、コンサートのみで披露してきた楽曲を演奏。ライブバンドとして、いまこの瞬間に最高だと思える音を鳴らしたSING LIKE TALKING。次のステージでまた新たな音で楽しませてくれる、そんな予感を感じさせる唯一無二、圧巻のステージの幕が閉じた。

次の『Sing Like Talking 35th Anniversary “OFF THE CHAIN”』東京公演は10月1日(日)。すでにチケットは完売しているが、どんな楽曲を披露するのか気になった人はぜひ配信チケットをチェックしよう。

文:黒田 奈保子
写真:田浦ボン



■ SING LIKE TALKING Official Site
https://singliketalking.jp

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