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Superfly、一夜限りのスペシャルライブ【Superfly 15th Anniversary Live "Get Back!!"】ライブレポート

Superfly、一夜限りのスペシャルライブ【Superfly 15th Anniversary Live "Get Back!!"】ライブレポート

November 30, 2022 19:00

Superfly

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2007年にシングル「ハロー・ハロー」でメジャーデビューしたSuperfly。15周年を記念した配信限定アルバム『15th Anniversary Live Best』を11月2日(水)にリリース。更にアニバーサリーイヤーを飾る一夜限りのスペシャルライブ【Superfly 15th Anniversary Live “Get Back!!”】を11月23日(水・祝)東京・有明アリーナにて開催し、14,000人を熱狂の渦に巻き込んだ。

ピースマークを模った円形ステージ。SEと共にステージ上部から垂れ下がる紗幕をライトが照らし、ビートとクラップが会場に響き渡る。映像に映るのはステージ裏のメンバーと越智志帆の姿。そしてタイトル「“Get Back!!”」の文字。
「いくぜ、有明!」映像に気を取られている間に、ステージには越智とメンバーが。ダンサーの姿もある。なにせ今回は越智を含めると総勢22名の大所帯!分厚いサウンドを期待できる。

1曲目の「Bi li li Emotion」でいきなりボルテージを上げるとステージからスモークが吹き上がり「タマシイレボリューション」へ。この日はあいにくの雨模様だったが、会場に持ち込まれた湿気を一気に吹き飛ばす勢いで乱れ光るライト、ステージから延びた花道で踊るダンサー、フルスロットルのバンドサウンド、そしてそれに負けない越智の歌声。続く「Hi-Five!!」のイントロでは銀テープが発射。序盤からこんなにテンション高めでいくとは!


「私ね、こうやって誰かの前で歌を歌うの3年ぶりなんです。」その言葉どおり、2019年開催のアリーナ・ツアー【Superfly Arena Tour 2019 “0”】以来3年ぶりの大きなステージ。心臓が口から出そうなくらい緊張し、ライヴの感覚を思い出せるか不安だったと言う越智の口からは、心臓ではなく「みんなを目の前にするとあっという間に思い出しますね。」という言葉。それに反応するオーディエンスの笑顔と拍手。一気に距離が縮まったのを感じた。残念ながらオーディエンスが歓声を上げることはまだ出来ないが、越智は言う。「想いは伝わっていますから。」と。

笑顔で大きく深呼吸するとジャケットを脱ぎ、デビュー曲「ハロー・ハロー」を歌う。15年の月日を想い、越智はどんな想いでこの曲を歌っていたのだろうか?淀みない高らかな歌声に懐かしさで心の奥がじんわり暖かくなるのを感じながら、そんなことを考えた。そこから「輝く月のように」は感情を揺さぶられる。美しいコーラスとエモーショナルなサックスの響き。連続テレビ小説『スカーレット』の主題歌として世代を超え愛された「フレア」は、サビのリズムに楽しげなクラップが広がる。「On Your Side」は楽曲同様、ステージ演出も見事だった。前曲「Wildflower」が終わり、ステージを覆うようにかけられた紗幕に、魚の群れや赤く光る海藻などが幻想的に映し出される。越智のルーツを感じるソウルバラードはイントロのゴスペルコーラスと、この海底のような映像で会場を魅了し、アウトロに続く最後の越智の輝くような美しい高音まで圧巻としか言いようがなく、曲が終わると大きな拍手が会場に降り注いだ。

「みんなと一緒に15年作ってきた空気感があるから私もここに戻ってくることが出来てます。ありがとう。」最初はドキドキしていると言っていた越智だが、オーディエンスの愛情と熱量を感じ取り、笑顔でそう言った。今回のような円形ステージは越智としても初。できるだけ気持ち的に距離を近く感じられるステージデザインを考えたらしい。またコール&レスポンスが出来ない代わりに、アクションや拍手で一体感を感じようとしていた。拍手が沸いたのは、シンプルでありながら存在感を放つ「愛をこめて花束を」のイントロ。越智はオーディエンスの心の声を聴くように花道までゆっくり歩きながら歌った。

バンドのソロ回しが続く。「Beep!!」のイントロアレンジだ。着物をアレンジしたようなカラフルな衣装に着替えた越智はダンサーを引き連れ再び登場。バンドサウンドをこれでもかと見せつけるようなロックは「マニフェスト」へ。うねるベースは兎に角格好良いし、60’sロックテイスト全開のバンドサウンドは興奮しかない!ブルースハープにシャウト、「サンキュ!」と軽く言い放つ越智はまるでグレイス・スリックだ。最近ブルースヴァージョンで演ることが多かったこの曲を今回は久しぶりにCDに近いヴァージョンで演奏。
「眠っていた何かが目覚めちゃいますね(笑)」越智のこの言葉はまさにその通りだと感じた。俳優がたまに言う“憑依”に近いかもしれない。

越智はMCで再び一体感について語ると、ウェーブの練習をしようと言い出した。そのウェーブを先導するのはダンサーのKeita。大きな旗を持つKeitaの動きに合わせ会場が波を打つ。そして“謎のランナー”として、トランペットの川上鉄平も旗を持ち、Keitaと反対側からウェーブを先導。会場は見事な一体感に包まれた。「どこかでやるかもしれないので、皆さん思い出してくださいね。OK?じゃあみんな最後までよろしくー!」その言葉に煽られるように「Force」でテンションを上げると「Alright!!」で先程のウェーブ再び!更に今年5月にリリースされた新曲「ダイナマイト」でステージを囲うように上がった火炎は、筆者のいた2F席まで熱が伝わる。しかし歌声とサウンドの熱量は炎の熱さに負けてはいない。やはり今年4月にリリースされた「Voice」ではソリットに会場を照らす赤と白のライト、コンテンポラリーダンスの映像。それらはエモーショナルかつ懐かしい要素を持つダンスサウンドと実にマッチしていた。

思ったより早いタイミングでこの新曲たちを披露できたことを喜ぶ越智。3年ぶりということもあり “Get Back!!”と名付けられた今ライヴ。15周年でもあるので昔の曲も沢山歌いたいと考えた越智は、どうせなら昔の歌のフィーリングを取り戻してみるのも面白いと思い、三ヶ月ほど前から自身の過去作品を聴いて練習したと言う。最新の自分が一番でありたいと思うのはアーティストであれば当たり前だろう。だからこそ過去の自分に触れた時、その未熟さにがっかりするかもしれないと思ったらしいが実は違っていた。

「昔の自分の歌声も凄いなって思ったんですよ。格好良いって。粗削りなんだけどすごいエネルギーがあって、15年歌った今の私が真似できない何かがあるような感じで、初めて“良いじゃん!”って思えたんですね。」昔の自分に発見を観た越智は「今の私と昔の私が、最近すごく合体したような感じがしていたんです。そういう面白い発見があった状態でみんなに歌声を届けることが出来て、今日はすごく幸せです。」と笑顔を見せ、その言葉に大きな拍手が贈られた。そして来年6月からのツアー開催も発表。先程の拍手より更に大きな、割れんばかりの拍手が会場を覆い尽くした。

本編最後は「Starting Over」。映像では昔の越智と沢山出会えた。ロングヘアにヒッピーバンド姿で歌う越智。ベリーショートになった笑顔の越智。レコーディング中の真剣な眼差しの越智。そして今の越智は15年の月日を抱きしめるように歌い上げた。

アンコールの「Beautiful」。バスドラの力強さはサビの煌めくメロディを強調。オーディエンスが心の中でコール&レスポンスできるようなアレンジの前、越智の口は「心の中で」と動いているように感じた。(マイクを通していなかったので本当にそう言ったか定かではないが)

「皆さん、アンコールありがとうございます。」360度、様々な角度からオーディエンスのエネルギーを感じると感謝を述べた。ここで改めて21名のバンドメンバーを紹介。
ダンサーと共に円形ステージを移動しながら歌う「愛と感謝」のサビではダンサーが手話を取り入れ、パートごとに全メンバーが歌った。その演出はまさに愛と感謝に満ちあふれ、暖かいというより熱いものが込み上げる気がした。懐かしいこの曲。昔のようにオーディエンスのリフレインが響く日が早く戻ってきて欲しい。歌うこと、歌詞を書くこと、メロディをつけること。この3つを真剣に毎日考えまくった15年だったと越智は振り返る。昔はシンプルなことしか出来ない自分をネガティブに捉えた時もあったそうだが今は違う。様々なプロフェッショナルな人たちと音楽を作り上げる喜びや幸せを噛み締めながら、ポジティブな気持ちでみんなと再会出来たことを喜び、鳴り止まぬ拍手を掻き分け「これからもっともっと、更に軽やかに活動していきたいと思います。良い曲もいっぱい書いていこうと思うので、まだまだついて来てね、皆さん!」そう言うと、最新曲「Presence」で、この一夜限りのスペシャルライブの幕は閉じた。

来年6月からはツアーも始まる。越智の言葉ではないが、更に軽やかなSuperflyの活動からまだまだ目が離せない。

Photo:神藤剛 / カワベミサキ
Text:秋山雅美



<セットリスト>
M1. Bi li li Emotion
M2. タマシイレボリューション
M3. Hi-Five!!
M4. ハロー・ハロー
M5. 輝く月のように
M6. フレア
M7. Wildflower
M8. On Your Side
M9. 愛をこめて花束を
M10. Beep!!
M11. マニフェスト
M12. Force
M13. Alright!!
M14. ダイナマイト
M15. Voice
M16. Starting Over

Encore
En1. Beautiful
En2. 愛と感謝
En3. Presence

<メンバー>
Superfly:越智志帆
Guitar:八橋義幸
Guitar:名越由貴夫
Keyboards:鶴谷崇
Bass:須藤優
Drums:玉田豊夢
Strings:門脇大輔 / 山本大将 / 高橋輝 / 村中俊之
Trumpet:川上鉄平
Trombone:五十嵐誠
Sax:村瀬和広
Background Vocal:稲泉りん / 竹本健一 / 塚本直 / Luz / 若島史佳
Dancer:calin(LIFULL ALT-RHYTHM) / Miyu / Fumiya Matsumoto / Keita


■ Superfly オフィシャルサイト
https://www.superfly-web.com/

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