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平井 堅「Ken Hirai 25th Anniversary Special !! Ken's Bar - ON LINE -」ライヴレポート

平井 堅「Ken Hirai 25th Anniversary Special !! Ken's Bar - ON LINE -」ライヴレポート

December 29, 2020 15:00

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平井 堅が自身のライフワークと位置づけるコンセプト・ライブ【Ken’s Bar】の第1回公演は1998年5月。昨年は12月24日に【KEN HIRAI Ken's Bar Special!! in SHANGHAI】と題して自身初となる上海公演を開催。長きにわたり歴史を刻んだ【Ken’s Bar】。今年は【Ken Hirai 25th Anniversary Special !! Ken's Bar - ON LINE -】と題し、12月23日(木)に自身初の無観客オンラインライブという形で開催された。

その名の通り、Barでお酒やソフトドリンクを飲みながらアコースティック編成のライブを楽しむ演出で多くのファンを魅了してきた。

開演時刻になり、画面が切り替わると25周年を振り返るようにアルバムやシングルのジャケット、そしてMusic Videoが映し出された。デビューシングル「Precious Junk」の初々しさ。「楽園」のドレッドヘア。「君の好きなとこ」で子役に向けられた笑顔。どれも懐かしい。全編インドロケだった「ソレデモシタイ」のMVでは「アーティストがあれだけ頑張っているんだから、私たちスタッフだって頑張らないわけにはいかない!」と、力強い口調でロケを振り返るレーベルスタッフの表情を思い出す。

客席はいつもの【Ken’s Bar】同様、Bar仕立てになっており、一席一席にキャンドルが灯る。二部制のスタイルもそのままだ。登場した平井はフロア内に設置された小さなステージへ向かうと、鈴木 大のピアノの音色を連れ立ち「君の好きなとこ」でライブをスタートさせた。ミラーボールの光がロマンチックに揺らめくと、続く「桔梗が丘」では平井の優しい歌声と石成正人の温かいアコギに加え、会場には満天の星が広がり、それだけで感動のため息が出る。


「Ken’s Barへようこそ。」中央ステージに移動した平井は客席を見回しながら挨拶。・ライブは昨年上海での【KEN HIRAI Ken's Bar Special!! in SHANGHAI】以来、実に一年ぶり。今回は残念ながら無観客という形になってしまったが「色々なシチュエーションで様々なスタイルで皆さんが観てくださっていると思います。本当にありがとうございます。」とお礼を言うと「今、大変なご時世ですけど折角クリスマスイブイブにこうして皆さんと共に空間を共有、時間を共有できているということをより体感するために」と、普段のコンサートではしない乾杯をすることに。平井はバーテンについでもらい、画面の向こう側にいるBOYS&GIRLSたちと乾杯!

「僕はこの通り元気です。」改めて平井はここ一年を振り返り始めた。今年デビュー25周年のアニバーサリー・イヤーだったため、当初はデビュー日の5月13日に平井の地元 三重県でのライブや、10月から全国規模のホールツアーを予定していたが、新型コロナウィルスの影響で全て白紙となってしまった。更にあいみょんをフィーチャリングに迎え話題となった3月27日配信リリースの「怪物さん feat.あいみょん」でもプロモーション稼働が出来ず、その間じっくり自分のことを考えたという。デビュー後、特にこの20年間は一年間全く歌わないことがなかったからこそ、「歌うこと以外何もしてこなかったと痛感した」と言う。自身のアイデンティティについて考え「歌手以外の自分という人間を見つめる良い機会になったとは思いました。」と語った。

一気に話し終わると「わぁ…緊張しますね。」と少しホッとしたような笑顔をこぼし、軽く喉を潤すと「楽園」へ。言わずもがなオリジナルも大好きだが、やはりこの曲のアコースティックアレンジは格別だ。小さなライトがついたサンキャッチャーが平井を包み込み、ゆっくりしっとりとその歌声に酔いしれる。

興奮を覚えたのは「UPSET」だ。レアな選曲というのもファンにとってありがたいが、大神田智彦‏のウッドベースと平井の歌声のみ。このミニマルな構成にしてグルーヴ感が半端ないことに驚く。<平井 堅=オーセンティックなバラード>のイメージを打ち砕く歌力を見せつけてくれた。有観客なら間違いなく大きな拍手と歓声が鳴り響いているだろう。そして続く「even if」ではきっと呼吸を忘れて平井の歌声を聴き入っているだろう。客席から観ているようなキャンドル越しのアングル、ブレス、途中のアカペラ、平井の呼吸を丁寧に汲み取る鈴木の姿。リズムをとる平井の指先。様々な角度から楽しめるこの時間に身を委ねる。それは1st STAGE最後の曲「LIFE is…」も然り。オンラインだとしても歌に酔いしれることは何も変わらない。

少しの休憩を挟み2nd STAGEがスタートすると、平井はセットアップに着替えてきた。「思いがかさなるその前に…」では光が舞い上がる幻想的なムード。ミニマルのステージだからこそ光の演出も際立ち、更に歌の世界観をより立体的にみせる。
「皆さん元気でいてくださいね。それだけが願いです。」オーディエンスの反応を直に感じることは出来ないが、皆の状況を心から心配するような口調でそう言った。平井自身はこのライブ前日に淹れたてのルイボスティをすべて足にこぼしてしまった話や(咄嗟の判断で火傷には至らなかった)、お風呂場で音楽を5曲聴きながら歌うルーティーンの話など、最近の状況を報告してくれた。そして【Ken’s Bar】の魅力といえば、カバーもそのひとつだろう。NiziUの「Make you happy」を大人の雰囲気で大胆アレンジ。 更にひとりですべてのパートを歌った「怪物さん feat.あいみょん」は、普段あいみょんとの掛け合いで聴き慣れているせいか、歌の世界観は変えずとも実に新鮮だった。

財津和夫氏の「切手のないおくりもの」は2014年のコンセプト・カヴァーアルバムの第3弾『Ken’s BarⅢ』にも収録され、Music Videoも公開。この日アカペラで歌い始め、その後は坂井”Lambsy”秀彰のパーカッションと大神田のウッドベースを重ねポップさが増すが、歌詞のメッセージはまさに今の平井からファンへのおくりものだろう。

「POP STAR」を歌い出すとフロアの小ステージに移動。アライグマのアックンとモグラのモックンも勿論登場!平井の背後で虹色に動く照明、再び会場を囲う満点の星のようなライト。アウトロで飛び出す金テープ。一気に華やかなムードが広がった。

「久しぶりのコンサート。しかもお客様がいないということでちょっと寂しい気持ちもありましたが、でもこのような場を設けていただいて本当に感謝しております。ありがとうございました。」改めてこの日、こういう形で歌声を届けることが出来たことにお礼を述べると、厳しい状況が続く中、躊躇することなく顔を近づけて話したり握手やハグができる日が早く来て欲しいと願い、「明るい未来や明るい出口がなかなか見つけづらい日々だと思うんですけども必ず夜は明けると思いますので、是非生きていて欲しいなと思います。僕自身もそうですけども毎日を一生懸命生きて、また笑顔でお会いすることを願っております。今日はどうもありがとうございました。」そう締めくくり、最後は「ノンフィクション」へ。“是非生きて欲しい”と言った平井の言葉と、まさに平井のノンフィクションが綴られたこの曲は今の状況下、更に胸に響く。それは綺麗ごとやくだらないおセンチなカタルシスとは違う、もっとむき出しの、リアルで尊い願いなのだ。

そんな願いを込め、全身全霊で歌い終わると平井はたゆたう白い煙をかき分け、コツコツと中央ステージに向かうと「平井 堅でした。どうもありがとう!」と生声で挨拶。【Ken Hirai 25th Anniversary Special !! Ken's Bar - ON LINE -】は幕を閉じた。

Photo:上飯坂一
Text:秋山雅美(@ps_masayan



□ SET LIST

■ ACT1
01. 君の好きなとこ
02. 桔梗が丘
MC
03. 楽園
04. hug
05. UPSET
06. even if
MC
07. LIFE is...

■ ACT2
01. 思いがかさなるその前に…
02. 魔法って言っていいかな?
MC
03. Make you happy/NiziU
04. 怪物さん feat.あいみょん
05. 切手のないおくりもの/財津和夫
06. POP STAR
MC
07. ノンフィクション


■ 平井 堅 オフィシャルサイト
https://kenhirai.jp/

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