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長澤知之【Nagasawa Tomoyuki Acoustic Live 2016】ライヴレポート

長澤知之【Nagasawa Tomoyuki Acoustic Live 2016】ライヴレポート

November 15, 2016 20:00

長澤知之

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今年はALのメンバーとしても活動が目立った長澤知之が、約2年ぶりにソロ名義のアコースティックライヴ【Nagasawa Tomoyuki Acoustic Live 2016】を7月に東京、8月に福岡で開催。季節は夏から晩秋に変わった11月3日(木)渋谷Duo Music EX Changeにて【Nagasawa Tomoyuki Acoustic Live 2016】のファイナル公演が行われた。2006年8月にシングル『僕らの輝き』でデビューした長澤知之は今年10周年を迎え、9月に開催された【Augusta Camp 2016 ~produced by 秦 基博~】でも、同期の秦 基博と共に大勢の観客から祝福を受けていた。

開演時間を少し過ぎた頃、長澤が登場。床に落とした楽譜を無造作に足で後ろに追いやり、ボイスチェンジャーのような高い声で挨拶。大歓声を笑いに変えると、すぐさま“フラッシュバック瞬き”のイントロをつま弾きながら独特の高音をフロアへ響かせた。ペグを回しながら音階を下げると、12月7日リリースのミニアルバム『GIFT』に収録される“ボトラー”へ。細かく刻まれるギターリフに乗る淡々としたヴォーカルラインは時折シャウトに変わる。アウトロで振りかざされた長澤の手に、ギターはジャン!と音を立てて動きを止めた。

そっと歌う“あんまり素敵じゃない世界”。その歌声は訴えるように、解放するように力強く上昇。緩急をつけたリズムは感情の揺らめきを感じさせる。だから当然別の日、別の会場、別のオーディエンスの前で演奏すればリズムも変化する。彼から生まれる音や言葉は例えば彼のブログのようで、怒りをあらわにしている時もあればとてつもなく優しい時もある。でも嘘がない。衒いもない。音階を自由に楽しむハミングも、ふと曲の途中で笑ってしまうことも、この曲が終わったら力尽きてしまうのではないだろうか?と思わせるほど体の奥底から吐露する叫びも、みんなみんなこの日だけのもの。長澤のライヴを観ていると、いつもその数時間がとてつもなく貴重なものに感じられてくる。

ステージに立つ前、ガチガチに緊張するという長澤。しかし特に今日は、来てくれてありがとうという気持ちで挑みたいと語ると「楽しんで。」と笑顔を見せた。ミュートしたカッティングがアグレッシブに“誰より愛を込めて”のリズムを奏でるとアウトロ、長澤の小さな合図で「Woo〜愛を込めて」とオーディエンスの歌声が会場いっぱいに広がった。続く“茜ヶ空”でみせる絞り出すような魂のシャウトは、場面転換するが如く美しいファルセットへと色を変えた。上半身をかがめながら手際良くチューニングすると「ROVOの益子さんに色々とチューニングも教えてもらって。弦も切ろうと思ったんだけど…忘れちゃいました(笑)。」と、ヘッドから飛び出した弦を撫でながら笑う。“無条件幸福”を歌い終わりTシャツで汗を拭く長澤が、MCで何を話せば良いか分からないからつい自分の名前を繰り返してしまうと言うと、まるで「いいじゃん、それで」と言うような拍手でオーディエンスは盛り上がった。そのまま暫くチューニングをしていると、「これ夜中の2時までやっていたら面白いでしょ。」とつぶやく。これには思わず関係者エリアの面々(当然筆者も)も吹き出した。

「『GIFT』というニューアルバムを出します。」待望の最新作に拍手が舞い上がる。例えば二日酔い地獄から解き放たれて散歩に行き、好きな音楽を聴いている時に「人生って綺麗だな!」と感じると言う。「僕の名前も僕の体も…皆さんもそうですが、自分で作り上げたわけじゃないですからね。誰かに与えられている。そういう事に感謝をしている。」とタイトルへの想いを語り「皆さんの生活の中に流れたら良いなと思います。」と続けた。新曲(残念ながら『GIFT』には収録されない)“レストインピース”と“丘の上の記憶”を続けて披露。更にファンに人気の高い“MEDAMAYAKI”へ。

長澤は最近、映画を観たり曲を書く他、ポケモンGO!を楽しんでいるらしく、レベル27だと告げるとフロアから驚きの声が上がり「レベルが高いことで凄いって言われるのって、お前暇なのか?!ってことだから、あんまり誇らしくないんですよね。ちょっとドヤ顔しちゃったけど(笑)。」そう笑うと、ハロウィンイベント中に同じモンスターしか出てこなかったことがハイライトだと再び笑いながら「今が一番クライマックスなんですけどね。よろしく!」と勢いある口調で“俺はグビ”へ。続く“コーデュロイ”、長澤は丁寧にフロアへ目を配った。「君たち」に歌うのではなく、「君に」歌うように細かく細かく。オーディエンスの歌声は長澤と一体となり、最後は大きな拍手と歓声に包まれた。ライヴも後半、喉が枯れてくるも「この状態で120%いかせてもらう!」と、デビュー曲“僕らの輝き”を渾身の力で歌い上げ、本編最後に選んだのは“無題”。去年骨髄炎の治療で福岡に帰郷した彼が、病院で目にした彫刻「神の手」に刺激されて出来たこの曲。7月に同ライヴで聴いた時、どこか新しい長澤を感じ筆者はいっぺんで気に入ってしまったので『GIFT』に収録されることを知った時、個人的にも嬉しかった。

アンコール、勢いよくジャンプしながら登場した長澤は「アンコール、どうもありがとうございます。思いっきりラブソングを歌わせて頂きます。」と言いながら“君だけだ”を歌うと、沁みる歌声にフロアは耳を傾けた。『GIFT』にこの曲が収録されるのはファンとしても待望だと思う。「やっぱりもう1曲歌います。」そう言うと長澤は床に散らばした楽譜の束を無造作に掴みながら「1月にツアーがあります。」と、あまりにもさりげない口調で告げた。本当にさりげなさすぎて一瞬の間があったが、すぐに歓声に溢れかえった。「その時はキメキメでやっていきたい。」と意気込みを語ると、福岡・Live & 喫茶 照和を思い歌った“宛のない手紙たち”、更に“神様がいるなら”と続けて歌い、アンコールが終了した。長澤が退場した後もWアンコールを求める拍手はスタッフが機材を撤収し始めるまで響きわたり【Nagasawa Tomoyuki Acoustic Live 2016】の幕は閉じた。

Photo by 杉田 真
Text by 秋山昌未



□ セットリスト
01. フラッシュバック瞬き
02. ボトラー(GIFT収録曲)
03. いつものとこで待ってるわ
04. スーパーマーケットブルース
05. あんまり素敵じゃない世界
06. 誰より愛を込めて
07. 茜ヶ空
08. されど木馬
09. 無条件幸福
10. レストインピース(新曲)
11. 丘の上の記憶(新曲)
12. MEDAMAYAKI
13. 風を待つカーテン
14. 俺はグビ
15. コーデュロイ
16. 左巻きのゼンマイ
17. はぐれ雲けもの道ひとり旅
18. 僕らの輝き
19. 三年間
20. 無題(GIFT収録曲)

・Encore
En1. 君だけだ(GIFT収録曲)
En2. 宛のない手紙たち
En3. 神様がいるなら


■ オフィシャルウェブサイト
http://www.office-augusta.com/nagasawa/

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Information

Release

長澤知之
「GIFT」

2016年12月7日発売

-収録曲-

01. 時雨
02. 舌
03. アーティスト
04. 君だけだ Acoustic Ver.
05. ボトラー
06. 風鈴の音色
07. 無題